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ひび

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日々のことについて文章を書きます。
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2019年8月の記事一覧

8月の終わり

愚鱈の自分であるが、何気に毎日何らかの予定があり、忙しく、頑張っている。たとえば今日は、月末諸々の振込と、買い出し、トイレ掃除、喫茶営業、などをした。大変よく頑張りました、ご苦労さま、と自分を褒めつつ、今は家で一人ワインを飲んでいる。普通の社会人からすれば、そんな程度で何がご苦労じゃいこちとらブラック残業で上司の罵倒パワハラ&尻さわりセクハラじゃい、と怒られるかもしれぬが、自分は自分なりに、よく頑

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友達

よく考えたら、今の自分には友達というものが全然いない。昔に比べりゃ、知り合いは増えたけれど、友達は減ったような気がする。ちょい遊ぼうやー、おん、ええでー、ほな駅前のミスドに5時で、ほいほいー、と言い合える仲の人が、ほとんどおらず、2人か、せいぜい3人といったところである(相方を含む)。

歳を取るにつれて、最低限の礼儀をわきまえた関係の知り合いばかりが増えてしまって、それはきっと、友達とは呼べない

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眠れ

もし、ひとつだけ願いが叶うとしたら、自分は、眠りたい、と願う。普段から寝坊の多い自分であるが、実は不眠症で、たとえば次の日は午前10時に起きなければならない、となると、その前日の夜の時点で、明日起きれるのか?と不安で一杯になって何も手につかなくなる。8時間の睡眠と計算すれば午前2時には寝なければならない。しかし、計算通り2時頃に布団に入っても、自分は、まったく眠れない。頭が回りだして、思考が捗る時

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東京から帰宅する道で、蟹を想った。何となく、死んでいるような気がしたのだ。妙な想像が不安を煽り、自然と早歩きで帰宅した。荷物を置いて、すぐさま水槽を覗き込むと、蟹は土管の上でカタカタと動いていて、当たり前のように生きていた。心配して損をした。

蟹くんただいま、ほれ、ほれ、と手で触ろうとしたら、サッと逃げて土管の下に潜り込む。うちの蟹は、触られることを極度に嫌う。勿論それは寂しいことであるが、蟹が

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また東京

台風も過ぎ去り、自分は懲りずにまた東京へライヴをしに行った。単独ライヴをひとつと、オールナイトライヴをひとつ。今は帰りのバス車内である。案の定、肉体は疲労の極地であるが、全然眠れない。

行きの新幹線は、切符を買っていたのに、寝坊して乗り過ごした。起きた時間が、出発の時間だったのである。自分は、本当に、そうした当たり前のことが出来ないときがある。溜息をついて、再び寝た。しばらくして、むにゃむにゃ起

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台風クラブ

台風が近づいているようで、ドキドキ・ワクワクする。去年も大型の台風が来た。街中の民家がどんがらがっしゃんする中、我が店はまったくの無傷であった。少しがっかりしたのだが、実は、屋上へ通ずるドアのガラスが滅茶苦茶に割れていたようで、それを見た自分は、大いに喜んだ。

夜になり、風が窓を叩きつける音を聴くと、決まって「台風クラブ」を思い出す。日本の、古い、青春映画である。自分はこの映画が非常に好きで、も

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一人盆踊り

盆の暑さは侮れない。夜になっても生温い空気が身体中を纏い、皮膚の上を嫌な汗が滴り落ちていく。十三で単独ライヴを終えた泥まみれの自分は、大きな荷物を背負いながら阪急電車で梅田駅へ向かった。そこから大阪駅へ行き、JRに乗り換えて、最寄り駅へ行けば良い。早いところ家に帰って、風呂でも入ろう。まったく疲れちまったぜ。一瞬の夢。

夜の大阪駅は、あまりに人が多くて、すこぶる嫌な気持ちになる。皆おそらく盆休み

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妄想の果て

生来むっつり助平の自分は、幼少の頃より、一日の大半は淫らなことを考えていた。決して顔には出さぬが、頭の中は桃色の妄想で溢れていて、脳髄が我慢汁で洪水していた。起床すればエロス、昼飯食えばエロス、街を行けばエロス、電車に乗ればエロス、人と会えばエロス、帰宅すればエロス、風呂に入ればエロス、就寝前にエロス、といった具合で、もしもエロスが処方箋だとすれば、一日八錠は処方していることになり、完全にエロスの

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想い出の寺社仏閣

お寺や神社へ行くのが好きなわたしの、想い出の寺社仏閣を発表します。といっても、わたしには何の思想も信仰もありません。仏陀もイエス・キリストも七福神も、大好きなのです。それゆえ、お寺や神社へ行っても、お賽銭を投げることもほとんど無く、また、その場所における本来の意味合いや、何を祀っているのか、などといったことにも大して興味はありません。以下の文章は、ただ、ええ感じやで、という雰囲気のみのレビューです

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笑うあなたも同罪です

自身の根底にあるものを見つめ直すと、それはやはり、ホワイトに美しいものではなく、ブラックにうす汚れたものばかりであった。暴力、残酷、差別、猥褻、言い訳、保身、欲望、いやらしさ、嘘、でまかせ、死、孤独、嫉妬、狂気、苦しみ、寂しさ、弱音、と、どれを取っても決して褒められたものでなく、非社会的なものばかりで、しかし、それらは確かに純粋に湧き上がるものであった。

いくら穏やかな美人でも、爽やかなイケメン

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溺死

沢蟹は相変わらず臆病で、しかし、ようやく餌を食べてくれるようになった。魚肉ソーセージを一欠片、割り箸でつまんでホイとあげると、カタワのハサミで掴んでくれる。掴んだまま微動だにしないので、蟹くん、食べなさいモグモグしなさい、蟹くんモグモグ、と声を掛けるものの、びくりとも動かない。魚肉ソーセージを挟んだハサミを天空に掲げて、ゲットだぜ!みたいなポーズで停止している姿は、阿呆のようである。そうして無理や

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