想い出の寺社仏閣

お寺や神社へ行くのが好きなわたしの、想い出の寺社仏閣を発表します。といっても、わたしには何の思想も信仰もありません。仏陀もイエス・キリストも七福神も、大好きなのです。それゆえ、お寺や神社へ行っても、お賽銭を投げることもほとんど無く、また、その場所における本来の意味合いや、何を祀っているのか、などといったことにも大して興味はありません。以下の文章は、ただ、ええ感じやで、という雰囲気のみのレビューです。

「生國魂神社」
我が店よりほど近い、地元の大きな神社である。いくたまじんじゃ、という。生きる國の魂という仰々しい名前とは裏腹に、地元民は皆、いくたまさんと呼ぶ。神社にさん付けする文化、よろしい。いくたまさんには、大きな本堂とは別に小さな社がいくつかある。中には芸能の神様もいて、上方落語の祖と呼ばれる米澤彦八という方の石碑もある。米澤彦八さんが誰なのかは知らないが、さぞ立派な方だったのだろう。境内の階段を下って木の生い茂る道の真ん中には、井原西鶴の像がある。滑稽な小説で一世風靡した作家である。「好色一代男」は、とんだヤリチン男の話と聞いたが本当だろうか。一度は読んでみたい。井原西鶴像から少し歩くと、地元の作家、織田作之助の像もある。織田作は大好きな作家の一人で、一時期自分は織田作のようになりたいと心から願ったほどである。織田作の像は、煙草を片手に、コートを羽織り、帽子を被って、キザに決めている。そして斜に構えたその視線の先には、井原西鶴像がある。尊敬していたらしい。7月には大きな夏祭りもある。自分はほぼ毎年行く。

「四天王寺」
四天王寺さんは、自分が通っていた学校の真向かいにある。我々の今度の単独ライヴのチラシも、ここで撮影をした。中学、高校の頃は学校帰りに四天王寺さんへ行き、一人で亀池の亀を眺めて時間を潰した。姉いわく、ここの亀は元々国産の亀であったが、あるとき国際交流で外来種の亀を寄贈されて、一緒に池に住まわせたところ、外来種の亀が国産の亀を全て喰ってしまい、そのため今いる亀は全て外来種の亀、彼らは非常に凶暴で、池に落ちれば最後、人間であろうとざわざわ寄って喰いに来るから気を付けろ、とのことであった。真実かどうかは分からないが、確かに四天王寺さんの亀は凶暴な感じがする。本堂へは、金を払えば入れるが、たまに無料のときもある。盆には万灯供養や盆踊り大会など、イベントも目白押し。また、境内には無料の休憩所もあり、夏場などは爺婆の憩いの場である。夜中もずっと開放しているので、夜散歩(よざんぽ)にも適している。一度だけ、池のほとりに狸がいるのを見た。

「宝山寺」
不気味なケーブルカーに乗って、途中下車をする。奈良の生駒山中腹にある宝山寺は、何とも妖艶な空気が漂っている。山を登るように参拝出来るシステムで、ただ広い斜面にいくつもの社が建っている。それにしてもこの妖艶な空気は何か、と思いつつ歩き眺めていると分かったのだが、ここには性の霊魂が存在しているようである。その昔、辺りは宝山寺新地という遊郭街でもあった。今でも参道に並ぶ古い日本旅館には、18歳未満お断りの立て札が掛けられている。つまり、遊女を呼びつける旅館というか、早い話が風俗店なのである。宝山寺の神様は聖天さまという。歓喜天ともいう。聖天さまにお参りして、昇天しよか。その実像は秘仏のため見られないが、オスとメスの象がセックスしている仏像だという噂だ。生駒山の山上には素敵な遊園地もある。

「朝護孫子寺」
お次は奈良の信貴山、ここはのどかなバーベキュー場などもあるのだが、山頂にそびえるのは、寺と神社を融合させた、大きな朝護孫子寺である。立派な赤い橋が風流である。向こう側には山が連なり、下には川がせせらぐ。そして、目の前には虎がいる。この寺は矢鱈と虎を推している。境内には虎のオブジェがいくつもあり、大口を開けて吠えている様は可愛らしい。狛犬の代わりに、狛虎がいる。巨大な虎には「世界一の福寅」と書いてあり、阿呆丸出しである。札束をくわえた、金虎、というセンスの悪いものもある。虎の胎内巡りは、虎の口から入って5メートルほど歩くだけであるが、楽しい。本堂へ行けば戒壇巡りというのもある。どうも巡らすのが好きなようである。戒壇巡りとは、暗闇の地下道を壁伝いにひたすら歩いていれば宝珠に触れることが出来る、というイベントで、こちらも楽しい。

「勝尾寺」
箕面の山間にある寺。自分は偶然そこに立ち寄ったのだが、入ってびっくり、境内には、無数のダルマがいた。巨大ダルマもいるのだが、沢山の小指サイズのダルマが色んな場所に隠れている。噴水の周りにダルマ、道の真ん中にもダルマ、木の枝にもダルマ、岩陰にもダルマ。可愛らしい。あ、こんなとこにもダルマおる、わ、いっぱいおるやんか。まるで妖精のようである。勝ちダルマ、というらしく、勝利のご利益がある。小指サイズのダルマおみくじは500円で購入出来る。そしてそのダルマは、境内の好きな場所に置いて帰っても良いそうで、それゆえ、この寺では日々ダルマが増殖しているのである。

「東寺」
京都の東寺は、何と言っても、空海が作った「立体曼荼羅」が見られる。森羅万象、宇宙の真理を表現した曼荼羅図は有名であるが、空海が、これ絵やなくて実物でやりたいわぁ、と言ったのであろう、曼荼羅を立体に、つまり、3D化したものが「立体曼荼羅」である。沢山の仏像がヒーロー戦隊のように並んでいて、いかにも、マンダラ!という感じで格好良い。

「大神神社」
奈良にある、日本最古の神社。おおみわじんじゃ、という。とにかくスケールが大きい。真っ赤な鳥居も阿呆ほど大きい。大鳥居の向こうにそびえ立つのは、大きな三輪山、その山自体を御神体としている大神神社は、木や草や落ち葉、全てが神聖なるもので、皆、裸足で杖をつきながら登山参拝をする。祀られているのは、大物主大神(おおものぬしのおおかみ)といって、名前からして、完全に大物である。写真などはあんまり撮るな、本気の参拝をせえよ、と受付で脅される。自分も杖をついて一切ふざけずに登山参拝をした。説明書きなどに書いてある様々な神話は、どれも凄すぎて意味が分からない。一度くらいは行ってみるのも良いだろう。

「耕三寺」
広島の離島、瀬戸田にある寺で、とにかく頭の悪い寺である。こうざんじ、という。昔、瀬戸田へ行った際、何も知らず入ってみると、入場料で1500円くらい取られて、畜生、と思ったのだが、入ってびっくり、凄まじい寺であった。広大な敷地に、平等院鳳凰堂や日光東照宮をパクった感じの門や本堂がごちゃごちゃとカラフルに点在している。地獄体験の地下道があり、入ると怖いBGMが流れていて、地獄の有様を絵で紹介している。まるでお化け屋敷であるが、ようやくそこを抜けて外に出ると、巨大な観音様がドデーーンとこちらを見下ろしていて、腰を抜かすこと間違い無し。あとは、未来の丘、みたいな名前の、大理石で出来た前衛ギリシャアートな丘などがある。全てにおいて意味が分からない。耕三寺を作ったのは、耕三寺耕三(こうざんじこうぞう)という名前のおっさんで、島の大金持ちであるという。最高。

番外編
「とんとん神社」
自分はぶたが大の大好きで、あるとき、どうしてもぶたと触れ合いたいという気持ちで一杯になり、車を飛ばして伊賀にある「もくもくファーム」という場所へ行った。その牧場では沢山のぶたと触れ合える、という噂であった。噂通り、そこでは沢山のぶた体験をすることが出来た。訳あって、悲しい思いもしたのだが、それについてはまたいつか詳しく書こうと思う。とんとん神社は牧場内にある小さな神社で、勿論、狛ぶたがいた。そして、ぶたの神様が祀られており、全てがとんとん拍子にいきます、と書かれてあった。自分はとんとんおみくじで、中トン吉を引いた。とことん頑張れ、みたいなことが書いてあった気がする。土産場でサラミを買った。

何もいりません。舞台に来てください。