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夫が登場する話

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#本

何もしない時間こそが至福

何もしない時間こそが至福

時が経つのは残酷だ。刻一刻と死に近づいていっていると感じるから(私はいたって健康体である)。

でも同時に過ぎていった日々は愛おしく、確実に私自身を育ててくれた。

夫と暮らし始めてもうすぐ丸四年経つ。特にこの四年間は、時そのものが愛おしい。抱きしめたくなるほどに。

時を慈しみながら毎日を過ごしたい。それは朝から活動的になって時間を「有効活用」したいという意味ではない。

時間は決して活用するも

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この世界は幸福で残酷

この世界は幸福で残酷

あー、この幸せな時間が永遠であればいいのに。こんなに楽しいこともうれしいことも、時が経つほど思い出となって記憶の片隅に追いやられていき、最後は、自分の死とともに思い出すら存在しなくなってしまうのか。

誠に残念だ。絶望。

だから私は、タイムリープものやファンタジーもの、永遠が存在する世界の物語に逃げる。

今でもそうした、現実から足が離れた物語が大好きだけど、ある物語に出会って、永遠に生きること

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寿命があるから愛がある?

寿命があるから愛がある?

タイトルは川上弘美さんの『某』を読んで感じたことだ。人を愛することって? 好きってどういう気持ちのことをいうのだろう? と思っている方に、ぜひこの本が届きますようにと心から願う。

以下、ネタバレを含みますので、未読の方は先を読むのをご遠慮ください。

上記の説明を読んだだけでは、いったいどんな小説なのか想像しにくいだろう。とんでもなく簡潔に言ってしまうと、『人間ではないが、人間のような「某」とい

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