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キンモクサイ

「キンモクサイね。甘い香りがするよ、わかる?」

息子は、くんくんと香りを探している。

「わかる。あまいかおりがする。いいにおい」

スーッと胸いっぱいに、息子と一緒に香りを吸い込んだ。

「いい匂いだね。金木犀の香りだよ」

キンモクサイとは、金木犀臭いきんもくせいくさい

キンモクセイとクサイの造語です。

キンモクサイ。

ヒトキリバットウサイ(人斬り抜刀斎 るろうに剣心)、トウトウサイ(刀々斎 犬夜叉)、ロクムサイ(六無斎 林子平)、江戸の偉人のような響きが気に入っています。

キンモクサイ。

いつからか使っている言葉。
友人が言っていたのか、私が言い出したのか、はたまたテレビや本で知ったのか、思い出せないけれど。


めっきりキンモクサクなってきた。

街を歩いていると、ふわぁと甘美な香りが漂ってくる。
「あ、そんな季節か」と秋を思う。
香りの出所を必ず見つけてしまう。
歩いていると、わかってしまう。
やっぱりね、こんな所に咲いていたのか。
今年もまた咲いたね。
秋の香りをありがとう。
金木犀を見つけると嬉しくなる。

金木犀の写真を撮りたいと思っていたのに、いつの間にか街から香りが消えていた。「もう、散ってしまったのか」枯れて茶色になって地面に散り積もっている小さな花を見て寂しく思っていた。

しかし、最近また甘い香りがする。
くんくん嗅いでみると、やっぱり金木犀の香りだ。近くの公園にある金木犀にオレンジ色がチラチラと見えている。
「まだ咲いているのかもしれない」
近くによってみると、枯れた花の中にオレンジ色の花が、まだではなく、また咲いていた。地球温暖化のせいなのか、昨今の金木犀は二度咲きするらしい。急に寒くなって散ってしまったが、また暑くなって咲いたのかもしれない。見頃は過ぎてしまって撮影は無理かと半ば諦めていたが、何とか写真を撮れた。蜘蛛の巣と雑草生い茂る中、健気に咲いていた。

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小さな星のようだ、と思う
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赤黄色の金木犀の香りがしてたまらくなって
何故か無駄に胸が騒いでしまう帰り道

赤黄色の金木犀

本当に、たまらなくなる。

金木犀の香りがすると、フジファブリックの 赤黄色の金木犀 が脳内再生される。香りとともに記憶された音楽や言葉は、香りが引き金となって頭に、心に流れてくる。

一度覚えたら、きっと忘れることはできない香り。

金木犀の香りが大好きだ。

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そして、今年もキンモクサイ。

キンモクサイな日々にありがとう。

ここまで、貴重なお時間を!ありがとうございます。あなたが、読んで下さる事が、奇跡のように思います。くだらない話ばかりですが、笑って楽しんでくれると嬉しいです。また、来て下さいね!