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高齢出産をした私が思った事 ③妊娠する

妊活をはじめるきっかけは、夫と母への思いである。東日本大震災で世の無常を知った。この先も、いつ死ぬか、何が起こるかわからない。兄弟の中で唯一結婚していたのが私で、母に孫の顔を見せれられるのは私しかいなかった。そして仕事を辞めてストレスが減って、気持ちに余裕ができた事も大きかった。

久しぶりに見た母は、とてもとても小さく感じて、「こんなに、小さかった?年をとったな、もう、おばぁちゃんだ」老い先短い事を実感した。「足腰元気で生きているうちに、孫の顔を見せてあげたい」と、本気で思った。

夫とは12年付き合ってから結婚した。お互いに、空気のような、気を遣わない関係で、老夫婦のようになっていた。妊活の話をすると、とても喜んでくれた。

夫も何日か休みが取れて、ゴールデンウィークから試しに妊活をはじめる事にした。ちょうど満月の夜だった。満月の日は願いが叶うという。

2週間目あたりから、吐き気がある。やたら眠くなり、味覚が変化したように思う。身体の変化を感じた。

妊娠したのかな?

その月に来るべきものが来なかった。いよいよかと思う。腹痛があり出血していた(着床出血だったようだ)。生理なのかな?と思いながらも、様子を見ることにした。夫に体調の変化を伝えると、とても喜んでくれて、「何か、できてる気がしたんだよ」と言っていた。ゆっくり休んで、お互いに心身ともに好調だったのだ。ストレスの影響は、大きい。

やっぱり、生理は来ない。
体が熱く、いつも眠い。
やたらに、甘い物が食べたくなる。
この頃、大福やたい焼きを毎日のように食べていた。

食べたかった物:甘い物。とくに、あずき!そして、よく言われる酸っぱい食べ物。アーモンド、クルミなどのナッツ類。アーモンドは、唯一苦手な食べ物だったのに、つわり以来、大好物になってしまった。クルミ柚餅子ゆべしが無性に食べたかった。

苦手になった食べ物:にんにく、セロリ、ネギなどの香味野菜。玉ねぎ、人参、ブロッコリー、味噌汁、麦茶。香味野菜は大好物なのに!吐き気がして食べられなくなってしまった。冷奴も、ネギなし、豆腐のみの方が美味しかった。ブロッコリーは、マツコデラックスさんも絶賛したというフォロドレッシングをかけて食べるのが好きで、妊娠前は毎日のように食べていた。ブロコリーには葉酸がたくさん含まれているので、妊娠前に食べると良いといわれている食材だった。たまたまだったけれども、摂取していてよかったと思っている。

たぶん、つわりってヤツじゃないかな?
そう思っていた。確かに気持ち悪い。口の中が常に甘い感じがする。吐き気はあるが吐くことはなかった。

妊娠検査薬にて、陽性の有無を確認した。思っていたよりも、うっすらと、ピンク色の縦線が2本出ていた。陽性の判定だった。
「嬉しい!ありがとう!」夫も喜んでくれた。

もしかしたら、妊娠できない体で、不妊治療になるかもしれない。そんな事も考えていたが、40歳の高齢にもかかわらず、あっさりと妊娠してしまった。

なんども不妊治療をして、子供が欲しくてもできない人もいる。そんなか、妊活始めてすぐに妊娠できた事は、幸運としか思えなかった。

今まで私たちは、というか、私は、夫婦関係でありながらも、頑なに子作りを拒否。必ず避妊していた。夫はよく私のことを、「鉄の女、サッチャーならぬshimaiku」とか、イタリアの鉄壁な守り・堅守を重視したサッカーの戦術に例えて「カテナチオshimaiku」とか言っていた。

真面目な性格の私は命を大切にしたかった。
子供を作る覚悟がなかったから、そんな中、計画とは違うところで思ってもいない妊娠という、急に人生が狂ってしまうような無責任な事は、それは、絶対に嫌だったのだ。本当は私の自由が奪われる事を、とても恐れていたのかも知れない。

夫は何も言わずに受け入れてくれていた。
私に対して何か意見を言う事は、今も、あまりない。本当は色々と我慢しているのだと思う。優しい人なのだ。
「夫の為に子供を作ろう。夫との子供が欲しい」はじめて、本気でそう思った。

産婦人科を受診した。
ドキドキだったが無事に赤ちゃんがいてくれて、「やっぱり、妊娠してたのか」ほっと安心した。赤ちゃんは8週目になっていた。心臓が動いているのを見て不思議な気持ちになる。私のお腹の中に、私とは別の生命が動いている、と。


ここまで、貴重なお時間を!ありがとうございます。あなたが、読んで下さる事が、奇跡のように思います。くだらない話ばかりですが、笑って楽しんでくれると嬉しいです。また、来て下さいね!