見出し画像

赤身が怖い。赤身から逃げ続けてきました。


 マグロが大好きです。「マグロで飲食業界を変えていく。」鮪のシマハラの信念は、コロナウィルスの影響で休業中の現在も揺らぐことはありません。

 そんなマグロの数ある部位のなかでも、やっぱり大トロが好きです。トロと呼ばれる部位にロマンを感じ魅せられてきました。マグロが「海のダイヤモンド」と呼ばれるほど高価なのは、トロが希少だからです。大海原から届く「ダイヤモンド」。ワクワクせずにはいられません。

 では赤身は嫌いなのかというとそんなことはありません。本マグロのしっとりとした赤身の色合い、インドマグロの鉄分が放つ真っ赤な輝き。全部好きなんです。口の中でひろがる鉄分の香りと酸味、他の魚では味わえません。

 ただ、やっぱり赤身は難しい。ごまかしがききません。仕入れたものの善し悪しがハッキリと出てしまいます。競り場で高価なマグロを仕入れれば、どんなマグロの赤身だって美味しいのです。でも、それでは美味しいマグロを適正価格で提供する「鮪のシマハラ」のコンセプトから外れてしまいます。本当に難しいのです。

 正直に言います。赤身と向き合うことから逃げてきました。そんな恥ずかしいマグロ屋の私が、赤身と真剣に向き合わざるを得なくなりました。新しいプロジェクトで多くの赤身を取り扱うことになったのです。

 はい。そうです。よりマグロに魅せられる機会を得たのです。私は仲卸でもなければ料理人でもありません。今更難しいことはできません。今まで通り「下手の横好き」なスタイルで向き合って行きます。ただ好きなだけなんです。そんな私の赤身論がきっとあるはずです。他の方がどう思うのかは関係ありません。私はこの赤身が好きなんです。そんな赤身を探していきます。

 最近、毎日本マグロの赤身を食べています。解凍初日の赤身はさっぱりとした風味です。それが2日目にはしっとりと変わり、3日目にはねっとりとした豊潤な味わいに変わります。なんと奥が深いのでしょう。マグロの商いを始めて20数年です。いまさらこんな発見に驚いています。未熟です。爆笑です。

 「私の血液はマグロの鉄分でできている。」そんな私になりたいです。好きなだけ。好きなだけ。好きなだけ。新プロジェクトで、マグロの赤身が多くの人を巻き込み魅了していきます。どうです?「マグロで飲食業界を変えていく。」やっぱり最高でしょう。


追伸 新プロジェクト、準備が整ったらnoteでも案内させてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?