コロナによって空いた距離感は、あえてそのままに。
リモートによって「あいた距離」を維持しよう
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、リモートワークが普及し、リーダーとメンバーは強制的に距離をとることが増えました。
無駄な会議が減ったり、モチベーションの管理をしなくなったり、飲み会が減ったりなど、さまざまなメリットが生まれました。それにより識学の力が発揮されました。
「リーダーの仮面」の本質は、上司と部下が適度な距離を保ち、感情が生まれないようにすることにあります。
つまり、リモートワークと識学のマネジメント法は相性が良いのです。
こうして世の中が変わり、風穴が開いたのだから、ダメな組織は一気に変わるチャンスです。
繰り返しになりますが、リーダーが部下と距離を置くのは、「平等性」を保つためです。
「この組織は平等だ」という認識を全員が共有していることが大切です。厳密な意味で「平等を保つ」というのはとても難しいことです。
ただ、部下との距離が近いと、平等にしているつもりでも「なんか、あの人にえこひいきしているんじゃないか」といった印象を持たれやすくなります。
お互いの距離が近いと、ちょっとした差が大きなものに感じます。
例えば、新幹線で隣り合わせた人に、間の「手すり」を使われると、イラっとするはずです。
1メートルしか離れていなかったら、10センチの差ですら「大きな差」に感じます。100メートルも離れていれば、10センチの差は「誤差」になります。
日本人は、南米大陸やアフリカ大陸の国際問題には無関心でも、韓国や中国など、隣国の問題には感情がむき出しになりますよね。会社でも同じです。
だから、部下とはできるだけ距離をあけたほうがいいのです。
小集団をつくってしまう「残念なリーダー」
距離が近いことは、こんな弊害を引き起こします。
これはある販売会社のリーダーの話です。
そのリーダーは日ごろからよく社長の指示に反発していました。そこで彼がとった行動は、部下達を味方につけて「小集団」を形成し、自分たちだけのやり方で勝手に仕事を進めることでした。
社長を敵とみなしたことで、明らかに組織が分断してしまったのです。
このようなリーダーは、よく現れます。
以前のnoteで説明したように、組織の枠を外れてしまっているひとが要注意人物です。
まだ読んでいない人はこちらから👇
そういった人達が、出世して権限を持ち始めると、上に反発しながら仲間を増やすような態度を示します。
「自分たちを納得させないと、会社を辞めるぞ」ということを言い出す人もいます。たまたま派閥に分かれて、会社が分社化したりすることがありますが、内部では、こんなことが起こっていたのです。
社長の指示に従わないような管理職は、本来なら降格させるべきです。
リーダーになった以上、上の指示に従いつつ、部下達をマネジメントする責任があります。その「位置」にいることを自覚しなくてはいけません。
先ほどのリーダーは、辞めることをちらつかせながら社長をコントロールしようとしました。その上司である社長が、それに従ってしまうと、位置のズレが起こります。
社長がとるべき態度は、「いやなら辞めてもらって構わない。ただし、残るのであれば、私の決めたルールに従ってもらう」ということを伝えるだけです。
識学を導入し、社長の意識を変え、「軸」をブレさせないようにしました。
すると、最終的には、そのリーダーも退職を考え直し、ルールを守るように変化したそうです。
もし、社長がリーダーの言いなりになってしまって、いうことを聞いてしまったら、他の社員はどう思うでしょうか。
「言ったもの勝ち」になりますよね。そうなった瞬間、その会社は組織として終わります。
それぞれの「位置」を確かめることは、それほど大きなピンチからも組織を救う行為なのです。
飲みにケーションは完全に終わった
「あとで飲みに誘って指導しよう」
「2人で飯に行って本音を聞き出そう」
まだ、業務中にこんなことを考え、業務外で部下と仕事のコミュニケーションを取ろうとしていませんか?
そんなマネジメントは、コロナによって失われました。
業務中に指摘すべきことは業務中に指摘する。当たり前のことです。そのためにも、意識的に距離をあけましょう。
世間には「言い訳を聞いてあげるのがいい上司だ」という風潮があります。
上司が部下に対して「わかるわかる。気持ちはわかるけどさ。頑張っていこうよ。」みたいに言ってしまいます。そういう状況はまずいのです。
既にこれまで仲良くやってきてしまった人も、まず距離を置いてみてください。もし、急に距離を置くことに躊躇するのであれば、一度素直に説明するのも良いでしょう。
「このチームをどのチームよりも強くしたいし、みんなにもどこの部下よりも成長してほしいから、今日からやり方を変えます」と宣言するのも有効です。
そう説明しておけば、「ちょっと飲みに行きましょうよ」「ランチ行きましょう」と誘われても、「やり方を変えた」と言って断れるはずです。
ちなみに、識学では忘年会はやりません。年内最終日の就業のタイミングで、ちょっと缶ビールをあけるくらいのことはしていますが、皆で騒ぐようなことは一切ありません。
リーダーには、「割り切り」も大事になってくる場面があります。
「あの人、最近ちょっと冷たくなったよね」そんな声が聞こえてきたら、リーダーにふさわしい行動ができている証ですよ!