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おやすみの日に


目覚めたら、眠る。
それが休日の流儀。

でも味気ないから時々動いてみる。ヤカンに水道水を入れて、カルキが抜けるまで煮沸させる。そして厚切り食パンをトースターで低温加熱。これまた時間がかかる。

窓を開けて日の光を浴びてみる。瞼を閉じて、瞳をあたためるように、じっと動かない。鼻がムズムズしてきたら、窓を閉じて鼻をかむ。

音楽をかける。気分次第だが、最近のブームはyanokamiさん。心地よい音に揺蕩う気分は夢見心地な朝模様。

コーヒーの豆を挽く。寝起きの頭にはガツンと細挽き。一つ穴のドリッパーにフィルターを敷き詰め、砂状の珈琲豆をそこに注ぐ。ミルの底に溜まった粉も指でこそげ取る。はしたないより勿体無い。

ドリップを始める。ちょっぴり注いで、豆全体を蒸らす。それから『の』の字を描くように、珈琲がいきいきと躍動するように。放置。

トースターを開け放し、食パンの温度を少し冷ます。熱々のままお皿に乗せると、食パンとお皿の隙間で蒸れが発生し、折角のパンがふにゃふにゃになてしまうから。食事の用意を整えて、珈琲の様子を覗き見て、調子が良さそうなら頂きます。

マーガリンは囓る直前に都度都度塗るのがベター。食パンはサクサクが正義だから。口の中に残る少しの粉っぽさを熱々の珈琲で流し込む。おいしい。

片付けて時間、宇多田ヒカルの『光』を流して洗い物をしようとするけど、何故か一人恥ずかしがって適当なラヂオを流す。些末なニュースや天気予報、疑わしき占いを耳に手を拭いて、寝巻きを脱いでシャツを羽織る。

読書にはシャツ、これが些細なお約束。本棚と睨めっこして、適当な一冊を選び、ページを捲り、気付けば時計は回っててお腹の悲鳴が食事時。

お昼は適当にスパゲティ。沸き立った鍋に乾麺を入れる時、曇る眼鏡に私は気づく。『スパゲティを茹でる時、私は必ず眼鏡をかけている』その言葉を真っ白な景色を前にいつも思い出す。そして直ぐに忘れていく。

午後は読書の続きから。目が疲れたら瞳を閉じてぼんやりして。あついタオルを瞼に乗せて、ほんの少しの瞑想時間。シャッキリ瞳が元気なら文章を書いてみる。まさにこんな文章。

気分が満足したら冷蔵庫をあけてビールを開ける。作り置きしたにんじんのマリネ、ポテトサラダをお摘みにちまちま晩酌、一本飲み終える頃にはへべけれで、お風呂に入るのが面倒臭くなって、入ろうか入るまいか無駄に倦ねる時間を過ごして、妥協してシャワーを浴びて。

身体の各所を優しく磨いて、身体の全てを乾かして、肌触り一本勝負の寝巻きに着替えて「あぁ、会社行きたくないなぁ」でもそんな悩みは明日の私に任せよう。

おやすみなさい。消灯です。
朝目覚めるまでが休日です。


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