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四條 識 音楽レビュー

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Lady Gaga『Chromatica』

Lady Gaga『Chromatica』

#georgefloyd

15年以上前に海辺の部屋で同棲していた彼女が窓を開けて化粧をしている朝に起きると部屋に流れていたマドンナのアルバム『Ray Of Light』1998年の傑作アルバム、僕はそれを知らず寝起きおぼろげに生まれて初めて「幸せ」だと感じ確信した。
レディーガガのニューアルバムと聴くより僕にはこのアルバムのサウンドの輪郭が『Ray Of Light』そのものを想起させれよう

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BiSH『CARROTS and STiCKS』

BiSH『CARROTS and STiCKS』

あなたなしでは難しいの

2020年代を象徴するアーティストはBishだと思う。
ビジュアルがコンセプトでキレイにまとまっていない点、個性の塊であるメンバー1人1人のキャラがはっきりとしていて、歌が決して声を揃えて上手い訳でもない、アイナの声、チッチの声、アユニの声、リンリンの声、モモコの声、ハシヤスメの声、Bishだけだ。歌を聴いていて誰が今歌っているのが分かるグループは他にいない。グループとし

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Massive Attack 『Mezzanine』

Massive Attack 『Mezzanine』

心刻まれ、健やかなる時も。

このアルバムはUKミュージックを語る上で欠かせない作品である。言ってしまえば最新鋭のロック・ミュージックと言える。とにかく攻めのアルバム、全体を通して硬質なベースサウンドにギターやシーケンサーが鳴り止むことなくリズムもとことん閉鎖的でこのアルバムに似た作品は他になく、今もこのアルバムを超える作品をマッシブ・アタックでさえ作り出せない。時代やブリストル・ミュージック

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ZARD『Oh My Love』

ZARD『Oh My Love』

ZARDの中で一番好きなアルバム

リアルタイム、中学生の時に聴いていたアルバム。
しかも、友達がたむろするうちで一人の時に決まって今作を歌詞カードで歌を追いながら聴いていた。
そのジャケットの写真の坂井泉水も凄く綺麗なのを今でも忘れない。私にとってZARDは友達に教えたくないアーティストだった。孤独な坂井泉水を独り占めした気分になれる、ZARDの歌にはそれだけ親近感が強くまるで自分のことを歌

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ZARD『揺れる思い』

ZARD『揺れる思い』

青春の意味を知らされた

今年で40歳になる世代にとって安室奈美恵、浜崎あゆみの二代歌姫(松田聖子、中森明菜)の両者の間には必ず孤高の歌姫がいた、それは山口百恵であり坂井泉水である。
自分はよくある話、親の財布からお小遣いには少し足りない3千円に届く金額を抜いた記憶が鮮明にある。ZARDはアルバムの曲が良い、それはファンの方なら全員が頷くのではないかと思う。勿論、シングルも欠かさず買うし、他のアー

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JAMES BLAKE

JAMES BLAKE

リキッドルームのざわめき

このデビューアルバムを引っ提げて初来日したリキッドルームで観たライブは孤高とはジェイムス・ブレイクのことを呼ぶとあの場にいた全員が共通認識として感じたはずだ。
ステージには小さなDJの卓とキーボードのみ、ステージには彼1人、しかも大抵の曲をマイク一本のみで弾き語るわけでもなく淡々と歌う姿が延々と続くのではないか、それだけでもずっと観ていたい。
静けさまでがジェイムス

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ebaby『BIRTH』

ebaby『BIRTH』

実力派

筆者がebabyを知ったのはYouTubeのオススメで観たM6『TWINKLE』だった。新人とは思えない快活に聞き取れるリリック、フロウも輪郭がしっかりしていて彼女が何かの企画や〜を得て、となくとも単身ヒップホップシーンに乗ってきたことに嬉しく思った。分かりやすく大人に作られず、自らDIYの精神できちんとヒップホップのマナーの上でラップをしているこのEPは既発の『I keep going

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Age Factory『EVERYNIGHT』

Age Factory『EVERYNIGHT』

Testify

名盤に必須な項目、1曲目が最高。筆者が彼らの『Dance all night my friends』のMVを初めて観た時、初めて観たとは到底思えない自覚のある光景と青春の苛立つ胸の高鳴りを感じた。例えばGoo Goo Dolls『Here Is Gone』やDeftones『Change』のミュージックビデオに準える曲の颯爽とした良さ。何度も同じ景色を観ながらまるでどこかへ向かっ

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岡村靖幸『操』

岡村靖幸『操』

マジ他人だけど岡村ちゃんって呼ぶわ

岡村ちゃんと言うと映画『モテキ』で真木よう子も呼ぶファンの間での愛称だが、尾崎豊の親友として1980年代から彼とは真逆な変わらないポップスを貫いている。
今作に至るまで、筆者は音楽を聴くようになった幼少の頃から全く岡村ちゃんの歌にサウンドを聴いたことがなかった。
今作に収録されているDAOKOとの『ステップアップLOVE』のミュージックビデオにジリジリとハ

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yonige『健全な社会』

yonige『健全な社会』

STAY HOME

マンガ『ソラニン』で種田に迫られた選択。
自らなのか、偶然なのか芽衣子を始め周囲の近い人間達にも分からない。
yonigeがアジカントリビュートで歌った『ソラニン』は原作ファンには、とてつもなくエモーショナルなもので、感傷的になる為にある曲と言っても過言ではない。
今作ではその経緯を踏まえ冒頭のM1.M2をアジカンの後藤正文がプロデュースしている。
牛丸ありさは今作について「

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¥ELLOW BUCKS & Tee『Aight』

¥ELLOW BUCKS & Tee『Aight』

MAPS

M1を聴いて、これはUSラップの真似事じゃないと胸を張って断言する。
もうyah yahなジャパニーズ・トラップミュージックには聴き飽きた。
M3ではOZworldが自分の作品とは違うアプローチのフロウでパンデミックを掌で踊らせる。
ヒップホップには稀に遊び心が必要だ、今作での¥ELLOW BUCKSのラップへのアプローチはこれまでになく変拍子満載でそのリズムだけでも各トラックが白

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Rykey『BEEF&CHICKEN』

Rykey『BEEF&CHICKEN』

同調、順応、適応、相応、至当。

また色々あり収監され出てきたRykeyの復帰作。その色々は実話ナックルズさんに任せておいて、Rykeyの復帰作はそれらをすべてリリックにする為だと思うと随分とサクリファイスだ。今作『BEEF&CHICKEN』ではこれまでの作品のような世間や特定の人への攻撃的なRykeyのリリックとは違い自身の「贖罪」に溢れた真っ当なヒップホップを成り立たせている。
M1.M3

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KOHH『worst』

KOHH『worst』

ラストアルバム

東京都北区のMCとして、普段の人との喋り方をフロウに県境を埼玉から世界に広げたkohhの引退作品。
M1のイントロから今までにない聴きやすさが分かる、それはM2からも遂行されていてM3.M4.M5.M7とすべてシングルで聴いたとしても一切遜色のないkohhの現在形のリリックがラストアルバムとも感じさせない。
『worst』という皮肉めいたタイトルも気持ちがいい。
M11とアコギと

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ent『ソラニン』サウンドトラック feat.ent』

ent『ソラニン』サウンドトラック feat.ent』

例えばゆるい幸せが

自宅で過ごす時間が多くなって働きに出ていた時の自分から失ったものを考える。浅野いにおのマンガ『ソラニン』の実写化でサウンドトラックとして、未やテレビ番組のコーナーにも選曲される程このアルバムのインパクトは強い。バンド、ストレイテナーのフロントマン・ホリエアツシのソロユニット、ent。サウンドは宅録の要素が随所に伺える。映画『ソラニン』を観るよりも個人的に今作の曲を耳にする

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