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JAMES BLAKE

リキッドルームのざわめき

このデビューアルバムを引っ提げて初来日したリキッドルームで観たライブは孤高とはジェイムス・ブレイクのことを呼ぶとあの場にいた全員が共通認識として感じたはずだ。
ステージには小さなDJの卓とキーボードのみ、ステージには彼1人、しかも大抵の曲をマイク一本のみで弾き語るわけでもなく淡々と歌う姿が延々と続くのではないか、それだけでもずっと観ていたい。
静けさまでがジェイムス・ブレイクの音楽そのものだった。
既発の『CMYK』EPの演奏で沸く時間があっただけ。後はもうライブに身を任せるだけだった。観客が皆体を揺らすというより、全身でライブを浴びる体験。ハウスミュージックのアーティストでも特別にアンビエントな今作のライブはリキッドルームの素晴らしい音響に照明の技術に観客がこのアルバムに擬人化するような圧倒的な体験をした。
今このアルバムを聴いて思うことはひとつ、リキッドルームでのライブの再開だ。ハウスミュージックファンのみならず、全音楽ファンが思い入れのあるライブハウスの復活を祈っている。
僕には今作がリキッドルームのざわめきとして感化し、復興を願う象徴的な1枚である。

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