【小説】あと34日で新型コロナウイルスは終わります。
~とうとう犯人がわかった!監視カメラに映ったモノとは?~
「監視カメラをザッと見たんだけど……」
警察官がそう言うと、その場に居合わせた誰もが固唾を飲んだ。
「それらしき人が誰も映っていなかったんだ。」
「えっ⁉」
財布を盗まれた男性は絶句した。その場に居合わせたスタッフもお客さんも、財布を盗まれたと主張する男性を凝視した。
(やっぱり、もともと財布を盗まれていなかったんじゃないのか⁉)
「いや、あれだよ。君が泊まってたブースは、ちょうど喫煙エリアのドアの近くだから人の出入りがあるところだし、そのうちの誰かが君のブースの扉を開けたかどうか、角度的に何とも言えないんだよ。」
「はぁー。」
財布を盗まれた男性はガックリ肩を落とした。
「彼がいた時間に、喫煙ブースを退店した客はいるかい?」
「午後11時半と午前9時に一人ずつです。」
店長はそう答えた。どちらも犯人ではなさそうだった。午後11時半に退店したお客さんはもちろん犯人ではないだろうし、午前9時に退店したお客さんも犯人ではないだろう。
なぜなら、財布を盗んでから、被害者と同じ喫煙エリアに6時間もとどまるとは考えにくかった。
他のエリアに泊まるお客さんも、わざわざ喫煙エリアに自動ドアから入って、そのお客さんのブースの扉を開けるとは考えにくかった。
自分が入店していることは店側に記録されている上に、監視カメラが何台もある中、そのブースにはどんな人物がいるかわかりもせずに扉を開けるリスクを誰が背負うだろうか。アキナは今一度、別の角度から要点をまとめた。
✔被害者のブースのドアは、ちょうど監視カメラの死角になっていて、開閉されたかどうか分かりにくいことを知っている人物がいた。
✔被害者が気弱そうな人かどうか知っている人物がいた。
✔被害者がバッグに財布を入れていることを知っている人物がいた。
✔ブースのドアを開けるところを、たとえ被害者にも他のお客さんにもスタッフにも見られても、怪しまれない人物、言い訳が通じる人物がいた。
アキナは思わず声を上げそうになった。
新型コロナウイルスが終わるまで、
あと34日。
これは、フィクションです。
◆自殺を防止するために厚生労働省のホームページで紹介している主な悩み相談窓口
▼いのちの電話 0570・783・556(午前10時~午後10時)、0120・783・556(午後4時~同9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時)
▼こころの健康相談統一ダイヤル 0570・064・556(対応の曜日・時間は都道府県により異なる)
▼よりそいホットライン 0120・279・338(24時間対応) 岩手、宮城、福島各県からは0120・279・226(24時間対応)
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