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プロみ

元気は出ないが筆は進む。筆は進むが言うほどの文字量ではないので情けない。
ひどくしょげて自分の力のなさをもどかしく感じるが私の書いたのを読み返し、どうしておもしろいと思う。

昔、電気グルーヴの二人がラジオでB'zの曲名を話題に挙げて
「愛のままにわがままに僕は君だけを傷付け『ない』だってさ」
「『賛成の反対なのだ』みたいな」
「アンヴィバレンツな感情」
ぎゃははと大笑いしていたのを思い出す。その晩、ゲストのコーネリアスとゲームをして、負けたら腕に「オサゲン」とタトゥー掘って! とねだり、ラジオと言えど小山田さんの苦々しい顔がまざまざと目に浮かんだのは私だけではないだろう。

覇気のない、薄暗い顔をして自分の文章を読んで「いやぁ、おもしろいなぁ」と一人にやつき、一縷の光を見るし、世間に未だに掘り起こされないことに首を傾げる。私は生きていて、作品についてあれこれ語ることのできるまたとない時代だというのに、ほとんど誰からも何の問い合わせもないのは何故だろう。おそらく、自分の見せ方も、書いている内容もよくなくて、他の人にはお洒落に見えず笑えないのかもしれない。えっ、こんなに洒落てんのに? それでも私は自分の人生を信じている。人生が成功するか否かという話ではない。人生を文章に乗せて常に実験を試みているのだから、文学の心意気としては最高だろう。

何十年もその道について真摯に考えてきたのなら、飯を食えているか食えていないか問わず、プロだ。今日もプロみが冴え渡る


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