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【短編小説】戀う -KOU-
「やっと あえた」
病棟の中庭にたたずむ男性を見つめて、ばあちゃんは絞り出すように言った。
「お~ん」
そして、いきなり泣き出す。車椅子から飛び降りるかと思うくらいに前のめりになり、おんおんと泣いている。迷子の子どもが親を見つけた時のような、あけすけな号泣っぷりだ。
「やだ、ばあちゃん、どうしたの?」
私は慌ててなだめるけれど、ばあちゃんのおんおんは中庭に大反響。散策中の患者やスタッフが、一
「やっと あえた」
病棟の中庭にたたずむ男性を見つめて、ばあちゃんは絞り出すように言った。
「お~ん」
そして、いきなり泣き出す。車椅子から飛び降りるかと思うくらいに前のめりになり、おんおんと泣いている。迷子の子どもが親を見つけた時のような、あけすけな号泣っぷりだ。
「やだ、ばあちゃん、どうしたの?」
私は慌ててなだめるけれど、ばあちゃんのおんおんは中庭に大反響。散策中の患者やスタッフが、一