マガジンのカバー画像

COVID-19

37
新型コロナウイルス関連の記事をまとめました
運営しているクリエイター

#新型コロナワクチン

東京都の新規陽性者数の動向 4月以降の年代別解析

東京都の新規陽性者数の動向 4月以降の年代別解析

4月以降の新規陽性者数の年代別データ

4月以降、75日間の新規陽性者数の年代別移動平均を示します。今回75日としたのは、デルタ株の流行期と比較するためです。

20歳代で増加→すぐに10歳代増加→少し遅れて10歳未満のピーク→その後10歳未満も含めゆっくり減少というパターンだったのが、ここ1-2週間は、20歳代までの若年者の割合が多いままに、すべての世代で横ばい(もしかしたら増加)となっています

もっとみる
イスラエルにおけるコミナティ4回接種の効果について NEJMの論文から

イスラエルにおけるコミナティ4回接種の効果について NEJMの論文から

ファイザーのmRNAワクチン、コミナティの4回接種の効果についての論文です。以下、結果だけを要約してわかりやすく書きました。

感染予防効果は短期間で減弱

・4回接種後4週間の時点で、感染率は3回投与群の1/2 (171 cases per 100,000 person-days vs 340 cases per 100,000 person-days)
・その後は6~8週と経過するにつれ、3回

もっとみる
3回目のワクチンは遅かったのか? 東京都の新規陽性者数の動向 2022/1~

3回目のワクチンは遅かったのか? 東京都の新規陽性者数の動向 2022/1~

 今日は、東京都の新規陽性者数の動向をお示しするとともに、オミクロン株の流行による第6波対策の問題点について考えてみたいと思います。

2022年1月以降の新規陽背者数の動向

 まず、図をお示しします。図1の左のグラフを見てください。低下傾向にありますが、他国と同様に低下速度はゆっくりです。子ども→成人の感染が増えたこと、不顕性感染者や軽症者が増えたこと、ワクチンの感染予防効果が低下していること

もっとみる
オミクロン株に対するT細胞応答 ー 抗CD20モノクローナル抗体で治療中の多発性硬化症患者での研究 ー

オミクロン株に対するT細胞応答 ー 抗CD20モノクローナル抗体で治療中の多発性硬化症患者での研究 ー

 今日はこの論文をご紹介します。少し免疫について復習したあと、論文の解説をいたします。この論文から得られるいちばん重要なメッセージは、抗体が作られない状況でも、ワクチンによって新型コロナウイルスと戦うT細胞ができるということです。しかも、抗体より長続きするようです。

抗体が減少すると?

 ワクチンによって作られた中和抗体が血液中にたくさんあると、侵入してきたウイルスが抗体により排除されるため感

もっとみる
COVID-19ワクチンについて

COVID-19ワクチンについて

現時点でのCOVID-19ワクチンについてのまとめを掲載します。日本感染症学会 ワクチン委員会のCOVID-19 ワクチンに関する提言(第 2 版)をもとに、他のデータや私の考えを加えました。わかりやすくするために、あえて詳細を省いたところもありますが(たとえば各ワクチンの詳しい原理や詳細、今承認待ちのワクチンの情報などは書いていません)、ご容赦ください。

まとめてみて実感したのですが、医師の観

もっとみる
免疫記憶について

免疫記憶について

新型コロナウイルスに対する抗体が減ったらどうなる?
ワクチン接種後にコロナウイルスに対する抗体ができることはご存じだと思います。この抗体がウイルスを中和し、感染を防いだり、重症化を抑制したり、感染症を治癒させたりします。抗体が半年で低下するという情報が出ておりますが、「そんなに早く効果がなくなっちゃうの」と不安になっている方は多いのではないでしょうか。

免疫記憶
抗体が減少しても、コロナウイルス

もっとみる
新型コロナウイルスとT細胞

新型コロナウイルスとT細胞

 今日はコロナウイルスに対する免疫の少しいい話。抗体は下がっても、新型コロナウイルスをやっつけるT細胞はしっかり反応しているよという内容です。2つの論文を紹介します。少し専門的な内容ですので難しいところがあってもご容赦を。

 メディアではウイルス中和抗体ばかりが取り上げられますが、免疫はそれだけではありません。テレビなどで解説する専門家が「抗体が減るから免疫が低下する」という言い方をすることがあ

もっとみる