【詩】『幸先』
『幸先』
「失ったこと」を力に変えて戻ってきたんだ
夏の雨に重ね見る取り返せない日々
傷を深めた時の自分は確かに「独り」で
世界はただ冷たく濡れていた
「失ったこと」を力に変えて戻ってきたんだ
大切なものを奪う力だから
せめて楽に終わらせてあげたいと
そう想っているんだ
切れた弦は過去の綻びに似ていて
弱さを排して人は人を制する
声にならない叫びは
いつしか幻となってゆくから
「失ったこと」を力に変えて戻ってきたんだ
大切なものを奪う力だから
せめて楽に終わらせてあげたいと
そう願っているんだ
「失ったこと」を力に変えて戻ってきたんだ
大切なものを奪われても
光をなくさないその瞳に
懐かしい感情を抱きはじめている
偶然だと想っていたことも
必然的に決まっているんだ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?