【ハーブ天然ものがたり】ユーカリ
地球上で最も高い樹々たち
フトモモ科のユーカリはオーストラリア原産の大木。
自生地では１００メートル近くまで育つものもあり、１００メートル越えをする木としてはアメリカのセコイア、ベイマツと順位を競い合っています。
（今現在ではセコイアが一番の高さだそうです）
ユーカリは世界各地に移植され、
・パルプ、材木の原料として
・景観、空間を清浄にする目的で
・アロマテラピーや伝統療法の使用に
はばひろく分布し、すでに５００種以上、変種も含めると１０００種類ほどが確認されています。
コアラはユーカリの葉を主食として、地球上の生存場所を確保しました。
ユーカリの葉には青酸化合物などの毒性があるのですが、コアラは身の内に毒素を分解する機能をもち、ほかの動物とは競合せずに食べられるものを確保して存続してきたといえます。
毒素を分解・解毒するために、体内エネルギーをたくさん使って消化活動をしているので、その分動作がゆっくりで、食事以外ほとんど寝ています。
ユーカリの木は乾燥地帯に自生してきただけあって根がとても発達し、地下深くから水をたっぷり吸い上げることができます。
ユーカリをつかった砂漠化緑地プロジェクトも成功した事例がいくつかあり、成長速度が速いことや、産業用の植物として有用であることを含め、今後ますます注目されてゆくと思います。
過去にはマラリアの発生を防ぐため、逆に土壌の水はけをよくする目的で植樹されることもありました。
ユーカリの香り成分・精油は葉から採油されます。
1，8シネオールを多く含み、殺菌作用、抗炎症作用、抗ウイルス作用などが有名です。
すっきり爽やかな芳香が花粉症や風邪の予防にと重宝されています。
精油として主に出まわっているのは
・ユーカリプタス・グロブルス（ごく一般的）
・ユーカリプタス・ラジアータ（香りも刺激もやや強い）
・ユーカリプタス・シトリオドラ（レモン様の香り、レモンユーカリ）
・ユーカリプタス・ディベス（ミント様の香り）
などで、レモンユーカリは園芸種としても人気が高いです。
ユーカリ属は水の上昇・循環力が強いので、風水にもよさそうだなぁと思います。
想像を超える巨大さ
オーストラリアで散策したユーカリの森は、日本の森林とはまたちがった原風景を呼び覚ましてくれました。
日本で見る樹々よりはるかに大きい、というのもあったと思いますが、地下深くから水を汲み上げ、100メートル近い高さまで水を上昇させる気配を目の当たりにして、シンプルに圧倒されました。
迫力ある音や風圧こそないものの、100メートル級の滝が目の前にあるような臨場感で、いろいろなものがすさまじい勢いでうごいている気配に、足がすくみました。
それまで森の気配というと、大きな繭のなかに包み込まれるような、森に抱かれる感覚が強かったのですが、ユーカリの森は地球にも、天空にも筒抜けで、スコーンと広がった空間にほうり出されるような、うっかりすると自分のカタチを忘れてしまいそうな、心もとなさも感じました。
想像をはるかに超えた巨大なものとの遭遇に、少しばかりなじんでくると、その壮大さや解放感にすっかり夢中になりましたが、それまでは１歩１歩を踏みしめるように、大地と接触していることを確認するように、へっぴり腰で歩くしかありませんでした。
空間認識には個人差があって、自分のオーラが満ちていないと感じる場所があると、そこに引き寄せられるように感じて、恐怖心がわき起こるそうですが（俗にいう高所恐怖症とか）、ユーカリの森で体験した空間認識の妙は、高所恐怖症の逆をいくような感覚で、天高くそびえる梢の先に意識が放たれてしまい、突如として天空広くつながってしまったオーラを、どうしたらいいかわからん、というような感覚でした。
動植物の生態系が特殊なことも含めて、オーストラリアは地球上の特異点なのかもしれないなぁ、などとひとりごちておりました。
地球上でものの見事に空間認識の妙を体得している生き物にヤギがいます。
高地や崖をホイホイ往来し、アルガンの木にもすいすいと登り、もしかするとヤギはエーテル界の網状梯子が見えている生きもので、地表全てに自らのオーラをつなげることができる。からの高度なクライマーっぷりなのかしらん、と。
そう考えるともっと身近にいるネコさまも、エーテル界の住人なのだろうと思えてきます。身のこなしは液体のごとく、通常運転は半眠のごとく、さらに人の目からするとなにもない空間をじっと見つめていらっしゃる、なんてことも珍しくはありませんし。
オーストラリアには縁があり何度か訪れましたが、コアラやカンガルー、ディンゴやエミュー、ロットネスト島のコッカや野生のイルカ、野生のインコたちなど、面白めずらしい生きものとふれあう機会もたくさんあり、野ヤギをはじめて見たのも彼の地でありました。
もとは家畜だった子たちが野生化したと聞きましたが、ルンルンと楽し気な足取りで目のまえを通り過ぎていく様子がなんともほほえましく、連れといっしょに「ペンパルになってくださーい」と後ろ姿に手を振りつづけました。
神話などに伝承されてきたヤギは、ぎょしゃ座のアルファ星カペラや、クレタ島の雌山羊で豊穣の角をもつとされるニンフ・アマルテアなどが有名です。
また半獣神パン、森の精サテュロス、さらにはバフォメットも山羊の頭とコウモリの翼をもつ悪魔として、伝承されてきました。
メソポタミア神話の中心的神様キャラクター・エンキのシンボルは山羊と魚、占星学の山羊座も下半身お魚のヤギの姿形をしています。
海でも山でもどこにでも行ける、地球マスターを象徴しています。
メソポタミア神話はBC4000年からの約4000年間、現代のイラク、クウェート、トルコ、シリアあたりで栄えたメソポタミアと呼ばれる地域で信仰されてきた体系です。
創造神話、エデンの園、洪水、バベルの塔など、旧約聖書との類似性が強いですが、大きくちがうのは2000を超える神々を擁する多神教だったことです。
メソポタミア神殿は文字どり神の家として建てられ、特定の神を模した聖像が創られて、その 聖像に神を宿すという考え方を軸に様々な儀式が行われました。
神殿をしつらえ、聖像を着飾り、香を焚き、供物をささげ、神が満足すればその聖像に宿られたといいます。
まいど懲りずに妄想考察を披露させて頂くと、2000以上もいたという古い神々は、現代の12星座や十二支で表される象徴となり、ひと時代を管理する時代霊や民族魂の守護神のようなお役目があったのだろう、と考えています。
時代がめぐり、お役目終了とともに本体（エッセンス）は星界に戻り、それまでのからだを小さく分化して地上にいきる動物へ化身してきたのではないかな、と。
ゴンドワナ大陸から分離したオーストラリア大陸は、独自の進化を遂げた動植物たち、固有種の宝庫です。
お役目を終えたものの、また次のサイクルが巡ってきたら地球でご活躍される古い神々もいらっしゃることでしょうし、細く長くご縁を結ぶための依り代となる種を、彼の地でそっとつなぎ続けているのかもしれません。
ユーカリの木は地球から遠くなった神々用のきざはしとして、天高くその梢をのばしているのではないかな、と。
風のファミリア
ユーカリの森散策では葉をゆらす風の音が、はるか上空でカラコロと乾いて響くたび、おもわず空を見上げ、そのたびに異質な次元に迷い込みそうになって、深い深い吐息で気を鎮めていました。
呼吸はいつの間にか深く、長く、それでいてとても静かで、息をしているのかしていないのか、わからなくなるような…。
深い呼吸がそうさせたのか、ユーカリの森がそうさせたのかはわかりませんが、この場所は、ここではないどこかに、つながっているのかもしれないと、未知への怖さのドキドキと、好奇心発動のドキドキがオーバーラップして、自分の心臓音がとても大きく聴こえていたことを思い出します。
ユーカリの森は「虹の森」と呼ばれることもあります。
虹色に輝くレインボーユーカリは学名 Eucalyptus deglupta。
ニューブリテン島、ニューギニア島、セラム島、スラウェシ島、ミンダナオ島を自生地とするユーカリ属で、樹皮が虹色に輝くのが特徴です。
レインボーユーカリは外側の樹皮を落脱させては再生し、内側の明るい色合いの樹皮が現れて、樹皮は時間が経つにつれて、青、紫、橙、赤茶色に変化して虹のように輝きます。
美しいユーカリ、大きなユーカリ、コアラ種族と共生するユーカリ、北半球でも育つユーカリ、ヒトの暮らしに有用な成分や木材を提供してくれるユーカリ。
いろんなユーカリがいますが、どの木も水の吸い上げ力が強く、大気を清浄にして、景観をよくしてくれる。
地球をぐるりとりまく大気は、気流となり風圧となり、さまざまな風となって地表を駆けめぐります。
地球上で最も高くなる樹々たちは、風の精霊とは竹馬の友で、そうとうの仲良しなんだろうなぁ、でないと、あんなに大きくなれないんじゃなかろうか。
わたしたち人間も風の精霊・大気を吸って、吐いて、呼吸することでいのちを紡いでいます。
ユーカリがそばにいるだけで、自然と呼吸が深くなるのは、広大な空間を自由に移動していたころの原風景・風とひとつだったころの記憶を、呼び覚ましてくれるからかもしれません。
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お読みくださりありがとうございました。
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