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社会情勢や経済格差を主軸とした韓国発のゾンビアニメ映画「ソウル•ステーション/パンデミック」【ホラー映画を毎日観る人】(370日目)

「ソウル•ステーション/パンデミック」(2017)
ヨン・サンホ監督

◆あらすじ
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とある夏の夜、首に大怪我を負った年老いたホームレスがソウル駅で息絶えた。しかし彼の弟が目を離した隙に遺体は無くなり、その後、凶暴化した大勢の人々が市民を襲う事件が多発する。
元風俗嬢のヘソンは彼氏のキウンと喧嘩をし、当てどなく街を歩いていた時にこの異常事態に巻き込まれてしまう。キウンとヘソンの父親は協力してヘソンを捜し回る。
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日本でも人気を博した韓国発のゾンビパニック映画「新感染 ファイナル•エクスプレス」(2017)の前日譚にあたる作品で監督はどちらもヨン・サンホ氏が務めています。

今作はヨン・サンホ氏が韓国の経済発展の象徴であるソウル駅とその発展の波に乗ることが出来なかった人々を主軸として作り始め、元々は短編として発表する予定でしたが後に長編のアニメ映画として製作されました。

その製作中に韓国の映画制作会社NEW(ネクスト•エンターテイメント•ワールド)から実写で撮ってみてはどうかという話を受け、結局それとはまた別に「新感染 ファイナル•エクスプレス」が製作される運びとなりました。

先に公開されたのは「新感染 ファイナルエクスプレス」の方で、“逃げ場のない新幹線内で感染者が襲いかかってくる”という絶望的な内容と先が読めない展開で日本でもかなり話題になりました。

今作の「ソウル•ステーション/パンデミック」は後発ではあったものの“あの新感染の前日譚”ということでこちらもかなり注目されていました。

前日譚とは言われているものの
前述したような理由を経ての前日譚という位置づけです。
時系列や設定も異なりますし、同じ登場人物が出ることもありません。ほとんど「新感染」との繋がりは無いように感じました。

普通に単体のゾンビアニメ映画として十分に楽しめます。
むしろ「前日譚なら先に「新感染」見たほうがいいのか。じゃあ後回しだな。」みたいになってしまうと勿体ないなと思いました。

繰り返しになりますが
ほとんど繋がりは無いので今作だけ見ても全然大丈夫です。

格差社会などの情勢を主軸としているため重い内容で、後半はかなり喰らってしまいますが面白かったです。

主人公ヘソン
声を担当しているシム•ウンギョンは「新感染」に
最初の感染者として出演しています。
登場人物のデザインは地味めですが
世界観に合っていて良かったです。

“主人公ヘソンのパート”“キウンとヘソンの父親パート”が交互に繰り返される展開が少し単調に感じてしまいました。
特に盛り上がらないままそのパートが終わることがあり、“感染者かと思ったらただの変なおばさんだった”とか“感染者が山のようにいる病院を訪れたのにすぐに立ち去るだけ”等など

“このシーンいる?”とか“結局何だったんだ?”と思うようなシーンがいくつか見受けられました。

感染者は圧倒的な数で、しかも全力疾走するタイプなので
めちゃくちゃ怖いし絶望感がすごいです。

殴る際などの効果音がかなり控え目で派手さはありませんでしたが個人的にはこっちのほうがリアルな気がするのでとても良かったです。後半にかけてのメンタルにくる重い内容や思わぬ展開で最後まで楽しめました。

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