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「じゃ、自分で現地に見に行けば?」朝日新聞の、とんでもない悩み相談


 私は馬券を買わない競馬ファンで、日曜の夕方、家にいるときは必ず競馬中継を観る。今日は3歳馬の頂点を決める日本ダービー(東京優駿)で、56歳の横山典弘騎手が、史上最年長のダービー制覇を成し遂げた。

 この東京優駿は昭和7年、つまり満洲国成立の年に始まった。すでに治安維持法が「改正」されて共産党は大弾圧されており、翌年には小林多喜二が惨殺されている。後世の我らは、そんなキナ臭い時代にどうして?と思うわけだが。そういう日常と戦争への道が同時進行だったところが、とても怖いのである。

 今、政府は軍拡と独裁体制構築に邁進しているが、それを側面から支えているのが巷にあふれる奇妙な言論だ。なんか変な、おかしな発想や言論がまかり通るようになると、権力への抵抗が成り立たなくなる。

 ひろゆきや成田祐輔らが「高齢者は集団自決を」と笑いながら話し、批判されてもネットメディアやテレビが出続けていることがその典型だ。さらに最近こういうことがあった。

 朝日新聞デジタルの「悩みのるつぼ」に、50代の男性が「世界の理不尽に我慢できない」という悩みを寄せたのだ。至極真っ当な悩みである。自分自身は平穏に暮らしているものの、敗北を認めないトランプ支持者の議会襲撃、ウクライナ戦争、ガザ侵攻など、世の中に理不尽があふれていて耐えられないと。

 ところが、回答者の返事は「それなら、自分で現場に行ってみればいかがですか。現実は報道されている通りではないんですよ。実際、移民の増加で困っている人はたくさんいます」だったのである。

 は?

 もちろん、移民の増加で問題も起きているだろうが、「それなら自分の目で見てみれば?」とはどういう発想なのか。しかもそれに「この回答は、ぶっとんでいるようで実は重い」という、朝日新聞記者の賞賛コメントまでついていたのである。

 「ガザが無理なら、取り敢えず沖縄にでも行けば」とか何とか。全くひどい。 だいたい、回答者が野沢直子って何なんだ。一時売れていたのがアメリカに逃げて(本人がそう告白している)、最近戻ってきた。

こういう頓珍漢な人選て、奇をてらっているのか。そして野沢直子は、自分はアメリカを知っているんだとでも言いたいのか。

 野沢直子の発想は、いわゆる「逆張り」である。虚を突いた発想で人の上位に立とうとするもので、成田祐輔と同じ冷笑系だ。質問者の真面目な苦悩を小馬鹿にしている。

 それにしてもよく、これを堂々と載せたものだ。朝日新聞は今、優秀な人間から辞めていると言われるが、なるほどね。でも、やはりそれじゃ困るのである。

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