川西玲子

川西玲子

最近の記事

終戦の日に戦闘機パイロットを称賛した、TBSの「ひるおび」

TBSは10年ぐらい前から自衛隊広報を担ってきたが、ここまで露骨にするとは驚きだ。あえて反戦意識が高まる日にぶつけてきたのである。「報道特集」や「サンデーモーニング」のような真面目な番組もあるが、部署によって違うのだろう。 かつてはどのテレビ局も、終戦の日にはドラマを放映したものだ。それが今や、この惨状である。 最大の理由は、予算も労力もかかるのに、視聴率が取れないことらしい。しかし年に一回だ。視聴率に関係なく、メディアの矜持として何かやるべきではないだろうか。 さらに

    • NHKはパリ五輪一色で終戦特集もなし/孤軍奮闘の『虎に翼』

      毎日色々なニュースが流れてきて大変だ。頭痛がする。NHKは五輪一色で終戦特集もアリバイ程度にしかやらず、朝ドラに丸投げだ。「虎に翼」が一手に引き受けて孤軍奮闘状態である。  出色のフェミニズムドラマとして始まった「虎に翼」だが、先々週から朝鮮人虐殺、戦争責任と話が進んできて、今週から原爆投下の話になる。  主人公寅子の再婚相手となる星航一役が岡田将生だと聞いた時は、がっかりした。あんな超絶イケメンが登場したのでは、ドラマの世界観が壊れてしまうと思ったからだ。  しかし、

      • プロが撮った完璧な写真が伝える、アメリカと日本、そして世界の危機

        この写真、構図の完璧さに驚く。ポイントは画面を貫く縦の線。ロバート・キャパの「演説するトロッキー」を思い出した。 カメラマンの娘が、速報が流れた直後から「この写真は誰が撮ったのか」と言っていた。誰も写真が撮れる時代だからこそ、プロは違うということがわかる。硫黄島に星条旗を立てた時の写真のように、大きな政治的効果をもたらしそう。 バイデンは迷走しているし、これが決め手になって「もしトラ」決定か。トランプは日本に、もっと防衛費増額を求めると言っている。岸田首相はNATOの准メ

        • 石丸伸二の人気を分析したい中高年の前に立ちはだかる壁

           それにしても、都知事選で石丸伸二がどうしてあんなに支持を得たのか。一週間たっても腑に落ちない人は少なくないだろう。特に中高年層に。私もその一人で、頭ではSNS戦略、特にTikTokを使いこなしたとわかっていても、なお深掘りしたい。というわけで色々情報収集してみて、いくつかのことがわかった。  まず、フランスでも極右の大躍進を支えたのが、20代の若い党首によるTikTokの活用だったこと。TikTokの登場から全てが変わった感じがする。もちろんシリアやウクライナ、ガザその他

        終戦の日に戦闘機パイロットを称賛した、TBSの「ひるおび」

          Kpopグループ・TXTヒュニンカイとのコラボで「下手だ」と袋だたきに/SnowMan渡辺翔太の歌唱力についての、ある視点

          娘は小学校から音大附属に通っていたけれど、よく弾き間違える子だった。学校での採点は減点法だから、いつも評価が低かった。 しかし、個人的に指導を受けていたのは現役のオーケストラ付ピアニストで、「間違えることを恐れて萎縮してはいけない」と励まし、あるエピソードを話してくれた。 それは、世界的なピアニストの生演奏を聴いた時のこと。両手でオクターブを連続演奏する際、音を全て外していたそうだ。しかし、その演奏にはそれ以上のものがあって感動したと。 音楽は「音を楽しむ」と書く。自分

          Kpopグループ・TXTヒュニンカイとのコラボで「下手だ」と袋だたきに/SnowMan渡辺翔太の歌唱力についての、ある視点

          雰囲気詐欺・石丸伸二を押し上げた新自由主義の30年

           都知事選、現知事当選はまぁそうだろうという感じだが、問題は石丸伸二の2位である。  地元で様々な問題を起こし、質問した中学生をパワハラで泣かせ、議員と罵倒合戦を繰り広げ、印刷会社に訴訟まで起こされているモラハラパワハラ男が、「日本一のユーチューバーになる」「生徒会長に100万円配るから面白いことをやれ」と言って、多くの票を集めたのだ。言うなれば「令和の橋下徹」「橋下徹のネット版進化系」。  Xに興味深い投稿があった。共産党の地方議員の投稿である。二十歳の娘さんが「自分の

          雰囲気詐欺・石丸伸二を押し上げた新自由主義の30年

          マスコミは都知事選を無視して五輪モード/五輪は今や金まみれ政治まみれ

           都議選を無視して、テレビなどはもはや五輪ムードになっている。東京五輪であれだけ問題が噴出したのに、全く懲りていないのか。フランスだって、五輪どころじゃないだろうに。  先日死去したベテランのスポーツジャーナリストが(名前は失念)、「このまま五輪を続けていたらスポーツは終わる」と警鐘を鳴らし続けていた。  4月ごろから『週刊文春』で「バブル兄弟」と言う連載が始まって、私は毎週読んでいる。東京五輪後に逮捕された元電通の高橋治之と、故人である弟の治則の半生記だ。治則は「東南ア

          マスコミは都知事選を無視して五輪モード/五輪は今や金まみれ政治まみれ

          再開発という名の破壊/自治体と不動産屋とゼネコンと設計事務所の大罪

          いつもいい展示を行なっている練馬区立美術館が、70億円かけて建て替えられるという。しかも、こんな軽薄なデザインで。区長は「国宝を置きたい」などと馬鹿なことを言っている。 キャッチコピーは「本物に出会える場所」だとか。では、今までは本物ではなかったとでも言うのか。税金の無駄遣いだ。建築事務所もゼネコンも、こういうことで儲けているなんて恥を知るべきだ。

          再開発という名の破壊/自治体と不動産屋とゼネコンと設計事務所の大罪

          なぜ今、天皇皇后両陛下がイギリスを訪問したのか

          皇室デザイナーは誰だ。雅子さんの服がひどい。 メディアは賞賛一方だが、今なぜ両陛下がイギリスを訪問するのか。両国が軍事的に緊密な関係になってきたからだろう。融和ムードの演出である。 それにしても、武器の共同開発までするなんて。日英関係は過去最悪になった。

          なぜ今、天皇皇后両陛下がイギリスを訪問したのか

          玉城知事率いるオール沖縄の敗北と小池都知事の圧勝で、岸田政権がゾンビのように蘇る?!

           昨日夜のNHK7時のニュースは、沖縄県議会選挙の結果に全く触れなかった。NHKニュースの中で一番重要な夜7時のニュースで! これは沖縄軽視なのか、それとも取るに足らないニュースだとみなしたのか。あるいは、何らかの思惑があってあえて触れなかったのか。  嫌な感じのまま寝て起きて、いつものようにBSで各国のニュースを観たあと、購読している天木直人氏のメルマガを読んで落胆した。天木氏がこう予測していたからである。「玉木知事と蓮舫の敗北で、岸田政権が蘇る」と。  その可能性は大

          玉城知事率いるオール沖縄の敗北と小池都知事の圧勝で、岸田政権がゾンビのように蘇る?!

          欧州議会選挙結果の衝撃と、延々と続く日本のウクライナ支援/国民は切り捨て

           この前テレビで、伊勢志摩国立公園内に、外国人富裕層向けの高級ホテルがあるのを知って驚いた。調べてみたら何と昨年、環境省が「国立公園をブランド化し、外国人観光客や富裕層向けに高級ホテルを誘致する」という方針を決めていたんのだ。  全く噴飯物だが、そもそも環境省がやることか。経産省ならともかく(それでも許せないが) 何を考えているんだか。水俣病の患者団体を話を、まともに聞かないのも当然である。そう言えば、福島の汚染土を全国に配布して埋めると言っていた。環境省って何のためにある

          欧州議会選挙結果の衝撃と、延々と続く日本のウクライナ支援/国民は切り捨て

          マイナ保険証ゴリ推しで首相になろうとしている河野太郎大臣

           ニュースを見て怒っていたらキリがないので、怒らないようにしている。というかニュースから遠ざかっているのが、それでも情報が入ってくる。  実は昨日、調剤薬局に行ったら、いつもは保険証を出すだけで済むのに「マイナンバーカードはお持ちですか」と聞かれた。全員に聞いている。おかしいなと思いつつ、そう言えば河野大臣が何か言っていたような気がすると思っていたら、やはり国の指示だった。  今日の東京新聞が一面で取り上げている。マイナ保険証の取り扱い率が低い医療機関及び薬局には注意メー

          マイナ保険証ゴリ推しで首相になろうとしている河野太郎大臣

          「じゃ、自分で現地に見に行けば?」朝日新聞の、とんでもない悩み相談

           私は馬券を買わない競馬ファンで、日曜の夕方、家にいるときは必ず競馬中継を観る。今日は3歳馬の頂点を決める日本ダービー(東京優駿)で、56歳の横山典弘騎手が、史上最年長のダービー制覇を成し遂げた。  この東京優駿は昭和7年、つまり満洲国成立の年に始まった。すでに治安維持法が「改正」されて共産党は大弾圧されており、翌年には小林多喜二が惨殺されている。後世の我らは、そんなキナ臭い時代にどうして?と思うわけだが。そういう日常と戦争への道が同時進行だったところが、とても怖いのである

          「じゃ、自分で現地に見に行けば?」朝日新聞の、とんでもない悩み相談

           日本のエンタメ界はKpopの模倣でいいのか

           国を傾け国民を窮乏に追い込みながら、軍拡と独裁路線をひた走る我が政府を、信じられない思いで見てきたが。よく考えたら単純な話だった。富も権益も何もかも独占するためである。独裁国家の政府ってそういうものだ。めざすはミャンマーか北朝鮮か。  権力の後ろ盾となるアメリカに従い、あとは富裕層や財界、グローバル資本の意向に沿っていれば安泰。懐には大金が入るし、手中にした資産を増やしつつ子どもに譲り、悠々自適の人生だ。岸田首相なんか、それしか眼中にないことが傍目にもわかる。  与党議

           日本のエンタメ界はKpopの模倣でいいのか

          警察と裁判所による露骨なアジア人差別/いつまで名誉白人気分なのか

          昨年、膝の手術で入れたボルトを抜いて退院してきた。自宅に戻ってホッとしたのも束の間、すごく不快なニュースを新聞で読んで最悪の気分だ。 2021年、都内の公園で遊んでいた南アジア系の女性と娘が、全く知らない男性から息子を蹴ったと言いがかりをつけ、警察に事情聴取された。警察官たちは一方的に男性の言うことを信用し、3歳の娘を母親と引き離して事情聴取した挙句、親子の住所氏名を同意なく男性に教えたのである。 驚くべき話だ。幸い通りかかった男性が全てを見ていた。それによると、言いがか

          警察と裁判所による露骨なアジア人差別/いつまで名誉白人気分なのか

          たらい回しにされる難民を描いた『人間の境界』と、新宿の変貌

           新宿三丁目にあるミニシアター、キノシネマ新宿で『人間の境界』を観てきた。ベネチア国際映画祭銀獅子賞受賞作品。『オッペンハイマー』より面白かった。  ただその面白いという意味が・・・・2021年9月、ポーランドがベラルーシとの境界地域に非常事態令を発令し、EUに入ろうとする難民を両国が押しつけあったことがあった。それを、難民と国境警備隊員、助けようとする支援者という三つの視点から描いたものである。  いい映画だが、覚悟して観に行かないと大変な思いをすることになるだろう。私

          たらい回しにされる難民を描いた『人間の境界』と、新宿の変貌