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雰囲気詐欺・石丸伸二を押し上げた新自由主義の30年

 都知事選、現知事当選はまぁそうだろうという感じだが、問題は石丸伸二の2位である。

 地元で様々な問題を起こし、質問した中学生をパワハラで泣かせ、議員と罵倒合戦を繰り広げ、印刷会社に訴訟まで起こされているモラハラパワハラ男が、「日本一のユーチューバーになる」「生徒会長に100万円配るから面白いことをやれ」と言って、多くの票を集めたのだ。言うなれば「令和の橋下徹」「橋下徹のネット版進化系」。

 Xに興味深い投稿があった。共産党の地方議員の投稿である。二十歳の娘さんが「自分の判断だけで投稿するなら石丸さんに入れる」と言ったという。理由は「自分で調べなくても、TikTokやYouTubeに次々に石丸さんの投稿が流れてくる。こういうことができる人は頭がいい」若くて何かやってくれそうという雰囲気詐欺である。

 「頭がいい」の定義が変わったようだ。ネットをスマートに使いこなすエリートビジネスマン的風情と、相手の上に立つ偉そうな態度で強さを演出する。これが石丸人気の秘密である。

 新自由主義教育30年の成果で、こういう人間の危うさを察知する本能が失われたようだ。強さと能力と成功こそ「正義」なのである。他者への気配りなど弱者がするものなのだ。成功していない人間が何を言っても負け犬の遠吠えだ。

 一度見た投稿の関連動画が、次々に自動的に流れてくるTikTokの仕組みも活用した。確かに狡猾かも(普通、これを頭がいいとは言わないが) TikTokとYouTube動画からしか情報を得ず、ネットを「調べる」という本来の意味で使わず、情報を受け取るだけの状況が現出している。SNSは洗脳の手段になる。

 石丸伸二はさっそく国政への意欲を口にしている。最初からそのつもりで、都知事選はその踏み台にしただけだ。都民をコケにしている。それなのに踏み台にされた人たちは喜んでいる。

 こういう人間が広島から議員になったら、広島の平和教育もいよいよ終わりだ。原爆忌の慰霊式典も危うい。

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