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石丸伸二の人気を分析したい中高年の前に立ちはだかる壁

 それにしても、都知事選で石丸伸二がどうしてあんなに支持を得たのか。一週間たっても腑に落ちない人は少なくないだろう。特に中高年層に。私もその一人で、頭ではSNS戦略、特にTikTokを使いこなしたとわかっていても、なお深掘りしたい。というわけで色々情報収集してみて、いくつかのことがわかった。

 まず、フランスでも極右の大躍進を支えたのが、20代の若い党首によるTikTokの活用だったこと。TikTokの登場から全てが変わった感じがする。もちろんシリアやウクライナ、ガザその他の地域から窮状を訴えるのにも使わるが。基本的には、人目を引く派手な動画がTikTokの命だ。

 X(旧ツィッター)が広まって140字以上読めず、書くこともできない人間が増えたと言われた。だが読み書きしていただけマシだった。もはや文字そのものから離れてしまっている。どうにかならないのか。歌や音楽も、TikTokでバズるために内容が変わってしまった。何かにつけて無駄に踊るようになったし。

 また、石丸伸二に投票した若者と話してみたという体験も、いくつか読んだ。そもそも「TikTokとYouTubeしか見ないから、石丸伸二以外知らない」という若者もいたとか。また、当選後の言動や安芸高田市長時代の言動が伝えられるようになって、投票行動を後悔しているかと言えば、そんなことはないとのこと。

 「そういうことは関係ない」と言ったという。そもそも「人間性も中身も関係ない、仕事ができそうなエリートならそれでいい」そうだ。また仕事が忙しくて、社会について考えたり調べたりする時間もなく、もちろん本を読む余裕もなく、少し時間があればスマホを見る。そしてゲームかTikTokを楽しむという。

 身近なところでも、外資系でバリバリ働いている長女の知人は、「インスタライブで話を聴いているとワクワクする」と言ったし、次女の知人は言動の矛盾を指摘しても「推し活だからいいの」と言ったそうだ。

 推し活はアイドルの応援のようなもので、何をしても全肯定する。次女は「最近マスコミが推し活を美化し過ぎるから、こういうことになる」と嘆いていた。
 
 若者は使い潰されて余裕もなく、スマホ依存にされている。そして、将来が不安だから投資に誘導される。何重にも業界の食い物にされている。全くひどい状況だ。私が今20代だったらどういう生き方をしているのだろうと、考えさせられる。

 しかしもっと深刻なのは、中高年の石丸支持かもしれない。テレビで見た61歳の男性は「しがらみのない若い人に改革をしてもらいたい」と言っていた。61歳でも、裏に資本や参謀がいるのがわからないとは。

 また、ある40代の男性はブログで「ぽっと出の若い人が必死で頑張っている」と書いていた。支援したドトールの会長はYouTubeで見て「川を泳ぐ鮎のような人」と感じて感動したとか。80代である。

 ただ、蓮舫の演説を聞いた娘は、猛暑の中で応援演説が長くてしんどかった。応援演説は要らない。「続きはwebで」という石丸伸二のやり方はうまいと言っていた。

 追記

 若者に対して、投資詐欺を繰り返していた男が逮捕された。そのセミナーの様子が映像で流れていて、「お前らより頭がいい俺が言うのだから間違いない。信じろ」と言っていたのである。

 こう言っては何だが、あんな見るからにアホ面の男に、ああ言われて騙されたのかと悲しくなった。これも、偉そうな石丸人気につながったのかもしれない。

 娘は「今の若者は自己肯定感が低いから」という意見。おそらく30年にわたって、日本社会に新自由主義が浸透した結果だろう。若者はその中で育ったから、能力の高い人間が偉いのだ。


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