シェリー下連雀

23歳。キャリキャリのバリアウーマンです。

シェリー下連雀

23歳。キャリキャリのバリアウーマンです。

最近の記事

  • 固定された記事

名画モノマネ

「マラーの死」  耳慣れない言葉が、タイルの壁に反響する。「マラー?なにそれ」  エリは額の水滴を掻きはらい、バスタブのふちに腕を置いた。 「や、知ってるはず。頭にタオル巻いた男がさ、風呂入ったまんま死んでる絵。書きかけの手紙を持ってこんな風に」  エリは身体を大きく傾け、眉間にしわを寄せて瞼を閉じる。つけっぱなしのネックレスが、鎖骨の上でじゃりっと音を立てた。ドンキホーテで同じものを見た気がする。 「うまいな、名画モノマネ」 「つぎアンタの番」  真っ赤なペディキュアの

    • 6月15日まとめ

       皆さんの夢は何部構成ですか。  私はだいたい3~4部構成でシチュエーションも登場人物も目まぐるしく変わっていく脈絡皆無型です。ことがキレイに運ぶ夢なんて見たためしがない。たいがいの人が私と同じかと思っていたのですがそうでもないようです。高校の放送研究会に入っていた人はカメラワークやフレームの色指定あり、エンドロールまで流れる贅沢仕様の夢を見たことがあると語っていました。うらやましい反面、わりと心配にもなりましたがそのこはほんとうに優しくて常識人なので大丈夫だと信じてます。

      • 嬉しい青筋

        「血管フェチ」という言葉を知ったのは、中学2年生頃だったか。 主に男性の手の甲や腕に血管が浮きでているのを見て心をときめかす傾向にある人種のことだ。共感者は思ったより多い。 たくましい感じがするから、生きている感じがするから、ちょうど良く野性味を感じるから。フェチを公言するからには何かしら理由があって、みんなが挙げるそれはどれもこれも頷けた。 私は自分の血管が好きだった。 今でも、手の甲に青い凹凸が浮いているとなんとも言えず安らかな、それでいて昂るような気持ちが沸き

        • 洋楽の歌詞 めちゃめちゃ意訳した

           冬の英語課題を提出した直後、興が乗ったので好きなインディーズバンドの歌詞をざっくり意訳(逐語訳と意訳がないまぜです)してました。もっと簡単なのにすればよかったです・・・ あっちのイディオムとか慣用表現とか詳しくないので、こここうじゃね?みたいなのあれば指摘してください。 https://youtu.be/iwpnuaBoKPU Leave me alone/ I DON’T KNOW BUT THEY FOUND ME [Verse 1] Big shot, so

        • 固定された記事

        名画モノマネ

          同時視聴会の話~コラム調に~

          2020年は、例年になくたくさんの映像作品を観た。 一度目の緊急事態宣言が発令されたとき、在宅時間をどう使えばよいものかわからず頭を悩ませた人も多かろう。筆者は当時、親に呼び戻される形で帰省していて、自由の制限される実家で何をすれば…と途方に暮れた。ルーティンワークにしているような作業もないし、新しく趣味をつくるにはある程度初期投資が必要だ。部屋に居ながらにしてお金を掛けずにできる娯楽ならPCやスマホで簡単に手に入る。しかし、YouTubeやTwitterを眺め続けた日の終

          同時視聴会の話~コラム調に~

          ある百合小説が地雷だった件~「なんでも許せる人向け」について~

             ※注意。このnoteはいわゆる「お気持ち」です。筆者の個人的な主張・主義を多分に含んだ火力の強い内容となっています。それでも良ければこのままスクロールしてお読みください。 ★  長いことオタクをやっていると、いやというほど目にする文言がある。  <なんでも許せる人向けです>  だれでも小説・イラスト・漫画を公開し、読むことができる某サービスサイト(あえて伏せます)を巡回していると必ず見る。キャプションやイラストまとめの1ページ目に載っているだけで吐き気がする。

          ある百合小説が地雷だった件~「なんでも許せる人向け」について~

          あたまのなかをトントンする

          Twitterで呟くなり絵や文を投下するなりして、それに返ってくる他者からの反応を“対価”だと無意識に信じ込んでいるふしがある。 あるというかいつのまにか刷り込まれている。 そんな強迫観念は捨ててSNSなんか好きにやれという言説もたくさん見てきて、頭では分かったつもりでもやっぱり直ぐに反応が貰える快感には変えがたい。だから思いつきで中途半端なものを作っては投げ、作っては投げ。 たとえ中途半端でも習慣化して続けばいいけど、私はそういかない。 飽きていく。 好きでやっていたはず

          あたまのなかをトントンする

          上裸とデニム

          ある日ふと思い立って、上半身裸になってみた。 といってももちろん一人で、部屋の中で。玄関の施錠を確認し、窓のカーテンを引き、クーラーを寒すぎず暑すぎずの28度に設定した。 そして満を持し着ていたTシャツとブラフィールをがばっと脱いだ。下はジーンズ。 なんだこの解放感は・・・・・・・・・・ 羞恥的な味わいは特になく、ただただまっすぐにクーラーの風を受ける上半身と、ジーンズ生地の硬さが織りなす感触のコントラストが心地よかった。 なんだかウキウキしてきたので、コップに水を注ぎ、

          上裸とデニム

          透明なkosei

          「生理を”個性”と捉えれば 私たちはもっと生きやすくなる。」 8月18日に発表された、「花王 ロリエkosei-fulプロジェクト」の謳い文句です。 サイトはこちら。 なるほど!と思いました。 誰かが生理で休んだとき、 「お大事に」って口では言ったけれど、 心のどこかでは「生理で休むなんて…」と 思ってしまうことがあったり。 なるほど!けれど、その違いを受け入れ合うことができれば。 違いを“個性”ととらえることができれば。 なるほど!私たちはもっと気持ちよく 助け合え

          ビブリオバトル

          ビブリオバトルを知らない彼に、手持ちの本で戦うゲームだと教えた。 当日、彼は家庭の医学を持ってきた。 私は家にある中で最も厚いタウンページを持ってきた。さて、主催者にしてプレイヤーの委員長はいったい何を繰り出すのだろうか。私と彼は戦々恐々としていた。 委員長が手にしていたのはフランツ・カフカの『変身』だった。 ふざけるな!声を上げたのは新明解国語辞典を持ってきた赤瀬川だった。参加者の中でもとりわけ熱心な彼は、この日のために毎朝走り込み、夜は欠かさず素振りをおこなった。

          ビブリオバトル

          ソレ往け!ヤレ征け!我ら昭和軽薄隊!!

          皆さん、文章を読んでいてどことなくさぶいぼゾゾゾ〜ッという心持ちになったことはないだろーか。 そして(!!)、賢明なる読者諸君なれば、今マサに、ボクの書いている文章が、その類いであるとゆーことにも、おきづきなのではないかナ?果たして、そのとーりなのでR。 ★ はい。 ということで今回は、所謂「おじさん構文」に近しい文体であるところの「昭和軽薄体」について書こうと思います。 昭和軽薄体。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%AD%E

          ソレ往け!ヤレ征け!我ら昭和軽薄隊!!

          とんねるずのみなさんのおかげですのおかげです

          能天気な歌が、聴きてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!!!!!!! とにかく、あたま空っぽでドバドバ浴びられる曲が聴きたい。 身体を動かしたいのでユーロビートとかダンスミュージックがいい。 そのなかでも新奇性のない、ちょっと懐かしい曲が望ましい。 MVがバカバカしかったりするともう最高。 記憶のサーチエンジンに、以上の条件をぶち込んで検索して(つまりめちゃくちゃがんばって思い出して)みた。 長い長いロ

          とんねるずのみなさんのおかげですのおかげです

          アルフィーのこと

          多分食べ頃なんだろう。 味噌汁椀に移してラップをかけたコンビニおでんは、あたため7秒で破裂した。 たべごろだったのだな。おいしくなったのだな。 そう無理やりにでも言い聞かせないと、あの「バン!!!!」という乱暴な音、我が慎ましいくらしにはとうてい相応しからぬ音に対する動揺は、消えそうもなかった。牛すじとこんにゃくに脅かされる夜なんて聞いたこともない。 お酒は甘いのが飲みたかったので赤玉パンチを用意した。 で、缶とおでんを並べてみて気づいたが、ワインとおでんって合わないよね

          アルフィーのこと

          ひかりちゃん派でした

          「17年前だ!」 後頭部をグーで殴られたら、こんな感じだろうなと思った。 カラオケ屋でアルバイトを初めてから3ヶ月になる。まだペーペーの私は、先輩の指示に慌てふためきながらダスター(個室の清掃)とドリンク運びに走り回る日々だ。 先日、シフトが一緒になったスタッフの中に一人、Eさんという小柄でかわいらしいお姉さんがいた。お姉さんと言っても高校生なので私の方が歳上なのだが、私の何倍も化粧が上手だし仕事をこなす量も違う。他のスタッフが下の名前にちゃん付けで呼ぶ中、わたしには彼女

          ひかりちゃん派でした

          夏をロケハン

          ちょっと外に出たら、だれがどう見ても夏だ。 まっさおい空に、あまりにも3Dの入道雲。「ドン」っていう書き文字が、わたしには見えるぞ。 道行く人の影は濃く、壁という壁が日光を受けてくっきりとそびえ立つ。 柔らかそうな帽子をかぶったママと、ペタペタサンダルの子供たち。 その横を自転車でがむしゃらにはしりぬける、半袖ジャージの小学生計3人。 そんな彼らとすれ違ったり追い抜かれたりしながら歩くとうの私も、白いTシャツを着た自分の姿を確認したくて、お店のガラスをチラッと見てしまう。

          夏をロケハン

          中散歩、付け焼き刃の運動

          あてどなく歩くのが好きだ。 最終目的地だけ定めておいて、そこまでの経路は問わない。遠回りし過ぎなければどんなにヘンテコな道順でもよい。 つつじの咲く川沿いの道。無限に現れる虫と衝突しないよう祈りながら両腕を振る。 時折玉川上水を見下ろすと、錦鯉が泳いでいる。流れに逆らって尾びれを左右に振っている。鯉も鮭みたいに遡上するんですか。専門家、そこんとこどうですか。 ランナーに道を譲り譲られ井の頭公園。 薄暗い緑の中を抜けたら、アパートがずらりと並んでいる。 おばあさんが窓を開け

          中散歩、付け焼き刃の運動