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『ハリー・ポッター』の世界の魔法通貨について | 英国魔法界の貨幣単位
今回は、J.K.ローリングによる『ハリー・ポッター』の作中に登場する魔法通貨を紹介していく。
英国魔法界の貨幣単位は、ガリオン、シックル、クヌートの3種から成る。また、魔法界でも英国以外の地域では異なる通貨が使われているようである。作中では、ガリオンは金貨、シックルは銀貨、クヌートは銅貨と言及されており、それぞれに異なる神獣が描かれている。金銀銅を貨幣素材の基本としているのは、現実世界と共通している。
貨幣単位の原作の英表記は、下記の通りである。
Galleon(ガリオン)金貨
Sickle(シックル)銀貨
Knut(クヌート)銅貨
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直径はガリオン40mm、シックル33mm 、クヌート22mmで造られている。
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意外にも厚みがあり、エッジはプレーンである。ガリオンとシックルがプルーフ仕上げで、クヌートは通常仕上げとなっている。
貨幣の材質は、マグルの世界と共通している。魔法で貨幣を使用しない独自の取引も行えそうだが、そこは古典的な点が興味深い。クレジットや電子決済等、貨幣経済の上ではマグルの世界の方が進んでいるかもしれない。
マグル
魔法の力を有さない人間。魔法使いの一部は、マグルを下等な存在と見なす危うい思想を持っている。
The 英国魔法通貨のデザインは、表側に神獣、裏側にグリンゴッツ銀行の刻印とゴブリンの肖像画打たれている。
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Galleon
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シックル銀貨
Sickle
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Knut
また、作中での換算レートは次の通りである。
1ガリオン=17シックル=493クヌート
『ファンタスティック・ビースト』の時代(1920年代)に登場する『幻の動物とその生息地』という書籍では、34,000,872ガリオン=174,000,000ポンドと言及されている。この記述を基に試算すると、下記の通りとなる。
ファンタスティック・ビースト
ハリー・ポッターの外伝に相当する。ハリー・ポッターより前の時代を舞台としたエピソード。1920年代の米国ニューヨーク及び英国ロンドンが舞台。動物学者ニュート、若き日のダンブルドアなどの視点から描かれたサイドストーリーである。
1スターリング・ポンド=166円(2023年4月18日現在)を基準にして計算を行う。
よって、英国魔法通貨をスターリング・ポンド及び日本円に換算すると、下記の計算になる。
1ガリオン=約5.11ポンド=約848円
ハリー・ポッターの作中には、度々この通貨単位が登場する。下記、その購買力を示す物価を記載する。典拠となる物価は、登場する巻が早い順に記載した。品目と金額の後ろに記した括弧内が魔法通貨への言及がある登場巻数である。日本円表記は、場合によっては切り上げ・切り下げの調整を行った金額を示した。一部、品目の下部に筆者のコメントを入れたが、ただの独り言なので、こちらは気にせず大丈夫である。
ユニコーンの銀角:21ガリオン=約17,800円(第1巻)
→貴重な動物のものの割には安い(笑)
ハリー・ポッターの杖:7ガリオン=約6,000円(第1巻)
→安いな。一本自分も欲しい。
コガネムシの目玉 1さじ:5クヌート=約8.6円(第1巻)
フクロウ新聞の配達料:5クヌート=約8.6円(第1巻)
マグルの自動車に魔法をかけた罰金料:50ガリオン=約42,400円(第2巻)
預言者新聞クジの賞金:700ガリオン=約593,600円(第3巻)
→ひゃっはー!!ヽ(゚∀゚)ノ
三大魔法学校対抗試合優勝賞金:1,000ガリオン=848,000円(第4巻)
→ひゃっはー!!ヽ(゚∀゚)ノ
万眼鏡 :10ガリオン=約8,480円(第4巻)
クィディッチW杯チケット2枚組:約1ガリオン=約848円(第4巻)
ドビーの給与(週給) :1ガリオン=約848円(第4巻)
→ブラック過ぎる(笑)筆者泣きそうです( ;∀;) おい、ドビー大丈夫なのか?これは反逆を起こしても良いレベルでは。何かの間違いであって欲しい。一回ランチを食べたらほぼ週給ってこと!?それとも試算方法に誤りがあるのか。
アクロマンチュラの毒液半リットル:100ガリオン=約84,800円(第6巻)
バルッフィオの脳活性秘薬:12ガリオン=約10,200円(第6巻)
上級魔法薬(ホグワーツの教科書):9ガリオン=約7,600円(第6巻)
→現実世界に近しい無難な値段という印象。ジュンク堂で売っている専門書もこれくらいするしね。
上記、魔法通貨の言及が見られる主要な品目を列挙した。
魔法通貨とは、魔法界で使用されている通貨を指す。魔法使いは金額の計算を全て魔法で行っている。国や地域により様々な種類の通貨が存在しているが、彼らは魔法によってその換算を簡単に行うことができる設定になっている。英国の魔法通貨は、前述した通り、3つの硬貨から成る。複製呪文により貨幣の偽造も可能であることが作中では言及されている。どうやら偽造貨の発想は、現実世界と変わらないようだ。魔法界なら、常人では見抜けないような精巧な偽造貨も造れそうな気もする。
以上、今回はハリー・ポッターの世界に見る魔法通貨を紹介した。ファンタジーの世界の通貨制度というのも興味深いものだ。また、ハリー・ポッターは通貨制度まで作り込まれており、思わず夢中になってしまう。ハリー・ポッターの他にもファンタジー世界の通貨制度を題材にし、言及している人々はいる。それらは現実世界のものと比較すると楽しいし、より貨幣への理解・興味が深まるかもしれない。
最後に試算方法等に誤りがあれば、是非教えを請いたい。また、不思議なことに1920年代を舞台とした『ファンタスティック・ビースト』と1990年代を舞台とした『ハリー・ポッター』では、約70年前後の開きがあるにもかかわらず、物価の変動が見られない。これは現実世界での動きとは乖離している。
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*掲載した魔法通貨は、筆者私物を撮影した。The noble collectionのファンタジーコインである。作中では金銀銅の素材で造られているが、こちらのファンタジーコインは全て黄銅(真鍮)を中心とした卑金属でできている。
Shelk🦋