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マークの大冒険 現代日本編 | 過去を引き摺りし者


前回までのあらすじ
早川夜は古代ローマに向かい、あの日のマークを止める計画を話す。過去のマークの暴走を止め、ウェスタの眠りを阻止し、同時に黄金の果実を回収して夜は母の復活を果たすという計画だった。だが、優柔不断なマークは計画に乗るかいまだ決めかねていた。


「賭けてみても良いのかもしれない.....」

マークはこもった声色で呟いた。

「はっきりしねえな」

ホルスがぼやいた。

「分かった。行こう。あの日のローマに」

「そう来なくっちゃ!」

夜は微笑を浮かべた。

「それで、キミのお父さんは、どんな人なんだい?」

マークが夜に訊ねた。

「気になる?ママの相手が知りたいんでしょ?どんな人と結婚したのか」

「いや、別に......。ただ、瞳とは随分と長く会っていなかったから」

「パパは婿に入ったからね、だから私の名前は早川なの。めちゃくちゃカッコよくて、頭も良くて、完璧なパパよ。でも、ママを失ってから、おかしくなってしまった。パパはママが大好きだったから、耐えられなかった。だからパパを救うためにも、ママを助ける必要があるの」

「そうだったのか」

「パパの旧姓は、橘って言うんだけどね」

「橘?」

「聞き覚えがあるでしょ。当たり前よね、パパは教授の親友だったのだから。分かった?だから私はここに来たわけ」

「いや、それはない。橘は死んだ。自殺だった。優秀だったが、経済的に厳しい奨学金生だった。借金が重なって、それで......」

「失礼ね。パパは裕福な生まれよ」

「橘とは冥界で一度一緒になったが、ボクは彼を救い出せなかった。冥界と地上を繋ぐ最後の階段で、彼はボクを庇って後ろを振り向き、常闇に消えていった」

「いやいや、なら私がいないでしょ!」

「あり得ない。たぶん人違いだ」

「いや、あり得ないのは教授でしょ。じゃあ、私が幽霊だって言いたいわけ?」

「そういうわけじゃ......。だが、ボクの親友の橘は確かに死んだ。もうこの世にはいない。冥界を抜けたら、母校の時計台の下で待ち合わせようと約束したが、来なかった。第一、目の前で消えていくのを見た。だから、キミのお父さんとボクの親友だった橘は別人だ。キミの言う橘は、一体誰なんだ......」

「教授は記憶も喪失しちゃってるわけ?これも黄金の果実や指輪の影響?いや、喪失じゃない。これは改変か」

「......改変?」




🦋🦋🦋




10年前、エジプト、楽園イアル____。


「宝具を使っただろう?黄金の果実とアムラシュリングを。何の力も持たないキミが、無作為に特別な力を使ったんだ。大いなる力の前借り。その先にある未来は、恐ろしいぞ」

「記憶の代償か?」

「いや、そんなものじゃ済まされない。キミは最も大切にしているものを失うことになる」





To Be Continued...



Shelk🦋



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