見出し画像

【あと2日!】母子保健分野の医療通訳活用場面のご紹介

私たちが取り組んでいる母子保健分野の医療通訳の活用促進。今日はその中から、2つほど活用事例をご紹介したいと思います。

1つ目は、出産後の家族のお話です。

出産後の妻の様子が心配だと、日本語の話せる夫から保健センターに連絡が入り、保健師さんが訪問する際に医療通訳の依頼となりました。数週間前に赤ちゃん訪問を行った際には、主に夫が対応し「大丈夫」と話され、特に問題はないとされていました。
訪問すると、お母さんは、母国語で話せるということに涙され、その後、夫が仕事で忙しく、まわりに相談できる人もおらず、一人で赤ちゃんと向き合わなければならない辛い気持ちを話されました。また夫が忙しいことは理解しているものの、どうにもならない状況への不満も表出されました。
その後、お母さんが休める環境が必要との判断で、しばらく産後ケアを利用し、状態は徐々に落ち着いていきました。

こういった事例は、もしかすると産後うつに繋がっていた事例だったかもしれないように思います。夫婦間でもお互いに気持ちをすべて伝えられているとは限らないため、夫が日本語を話せる場合でも、医療通訳を活用し、お母さん自身の気持ちをしっかり聴いていくこと、お母さんが気持ちを表出できる場を設けていくことの大切さを感じた事例となりました。

2つ目は、妊娠中に赤ちゃんに病気があることがわかった夫婦のお話です。

夫婦は日本人の妻と外国人の夫のカップルで、日本人の妻には胎児の病状について医師から説明があったものの、外国人の夫へは妻から話を伝えていただけでした。夫にも生まれてくる子どもについて十分理解してもらう必要があるとのことで、医療通訳を活用して説明が行われました。
医師からは、胎児の病状と出生後に予想される状態、いくつか可能な治療について説明があり、生まれてきた子どもへどのような治療を行っていきたいか、夫婦で考えてきてほしいとの話がありました。そして、時間をおいて、再度医療通訳を活用し、両親の子どもの治療に対する考え、意思の確認が行われました。

この事例では、医療通訳の活用により、両親ともに胎児の状況を正しく理解することができ、夫婦で相談し、2人の意見として、生まれてくる子どもの治療の方針を決め、出産に臨むことができました。
子どもに関することなど、重要な決断が求められる場合には、夫婦・家族で同じように状況を理解し、納得して決断できるように、医療通訳の活用が重要だと感じた事例となりました。

この他にも、妊娠中に生活状況や養育環境を整えていく際の面接や保健指導の場面、出産後の赤ちゃん訪問や乳幼児健診、保育園入園の調整の場面、発達の相談や療育機関の利用、病気や医療的ケアが必要な子どもの病状や治療の説明・在宅ケアの調整の場面など、母子保健分野の医療通訳は様々な場面でニーズがあります。

外国人のご家族にも、必要な、納得のいく治療やケア、サービス等を提供したいと思う保健医療福祉従事者の思いに添えるように、日本に住む外国人のご家族が、必要な情報やサービス等を得て、安心して日本で出産・子育てを行っていけるように、これからも活動を続けていきたいと思います。

クラウドファンディングも残り2日となりました。これまでの皆様のあたたかいご支援、応援、お気持ちに心より感謝申し上げます。そして最後まで応援いただけますと幸いです。

在日外国人支援事業 松尾沙織

*応援よろしくお願いいたします*
在日外国人の健康支援

↓↓↓過去の在日外国人支援事業 ブログアーカイブ↓↓↓
NGOスタッフブログ | すべての人に健康を![シェア] (livedoor.jp)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?