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ネパール人妊婦対象母親学級での気づき ~参加者・実施者それぞれの思いに寄り添って~

みなさんこんにちは。バスケットボール男子ワールドカップでの日本チームの活躍に、連日一喜一憂、感動している在日外国人支援事業の松尾です。

さてシェアでは、8月12日(土)にシェア主催では3回目となるオンラインでのネパール人妊婦対象母親学級を行いました。
元々コロナ禍で情報が得られにくくなった外国人妊婦さんへ必要な情報を届けようと2021年に始めたこの母親学級ですが、最近では、妊婦さんへの情報提供はもちろん、私たちが外国人妊婦さんの文化や考え方、心配ごと等を知れる、貴重な機会にもなっています。

3回目となる今回は、自治体や病院の保健師・助産師さんの紹介、Facebookでの案内により、東京都内と関東地域から8名の申し込みがあり、当日6名の妊婦さんが参加してくれました。内容はこれまで同様、「食事と栄養の話」「妊娠・出産・子育ての話」「産後の手続きや母子保健サービスの話」にて行いました。(過去2回の活動報告はこちら   をご参照ください)。

ベビーを用いてお産の流れを説明中

ネパール人妊婦さんも一人一人様々な心配事があることを実感

これまで母親学級等を通じてネパール人妊産婦さんと関わってきた印象として、ネパール人妊婦さんは、静かに話を聞き、質問も少なく、最後に「いろいろと知れて良かった」と話す方が多いように感じていました。しかし今回は、積極的に質問する参加者につられて、他の参加者も話しだし、母親学級では様々な質問が飛び交いました。

「豆腐は2種類あるけれど、妊娠中に最も良い豆腐を教えてほしい。値段は関係ある?毎日食べてもよいの?」
「生ものは食べないほうが良い?」
「魚はいろいろな種類があるけれど、全て食べて良いわけではないと聞いた。どれなら食べてもよいの?海の魚には体に良くないものが入っていると聞いたので、魚を食べるのが怖い」
「基本的には家で食事をしているが、外食する時に気を付けることはある?」

といった食事に関する質問。それから、

「今つわりが全くないが、つわりがないのは何か悪いことがあるのだろうか?ほとんどの人はつわりがあると聞いたので心配」
「歯科健診はいつ頃いくと良い?」
「現在妊娠初期でクリニックに通っているが、今後は病院で妊婦健診を受けたい。病院を変えてもよい?」
「ネパールでは病院で葉酸や鉄剤のサプリが必ず処方されるが、日本の病院ではもらえないの?今、葉酸・鉄・カルシウムが含まれるサプリを買って飲んでいるけれどこのまま続けてもよい?」
「(病院の)資料に、自然分娩・無痛分娩・フリースタイル・帝王切開等が書かれていたが、無痛分娩やフリースタイルって何?リスクはあるの?」

といった、自分自身の身体や日本の保健医療サービスに関する質問もありました。

出産時の姿勢に関する質問に実演しながら回答

質問に答えながら、妊婦さん一人一人が、母親学級での説明を聞いて自分の状況を振り返り、自分事として母親学級に参加してくれていることを、とても嬉しく思いました。また、妊婦さんそれぞれに、心配なこと、気になることがあると実感し、参加者の知りたいことに答えられる時間も十分設けながら、より安心できる母親学級を作っていきたいなと思いました。

これまでの活動や自身の経験から大切に思っていることを伝えたい

また今回は、女性普及員(ネパール人保健ボランティア、普段はネパール人が多く通う幼稚園の先生として勤務)の2人も、これまでの経験を活かしながら母子保健サービス、特に母子手帳の大切さを丁寧に伝えてくれました。

一人は、妊産婦訪問や幼稚園での保護者とのやり取りを通して、母子手帳の子どもの発達について保護者が記載するページがいつも空欄になっていると感じていたことから、「保護者自身が子どもの発達について記録していくと、医師に言われなくても子どもの状況を把握でき、何かあった時には振り返ることもできるので、是非記録してほしい」と伝えてくれました。もう一人は、自身の子育て経験から、「母子手帳を読み返すと当時のことを思い出し、とても楽しい気持ちになるので、記録を残しながら大切に使ってほしい」と話してくれました。

日本の母子保健サービスについて説明する女性普及員

実施後の振り返りの際に、”普段から大切だと思っていることを妊婦さんに伝えることができてよかった”と話してくれた女性普及員の言葉に、今後も、参加者はもちろん、実施者の思いも大切にしながら母親学級を行っていきたいなと思いました。

母親学級の参加者と実施メンバーと一緒に(予定時間を超えたため参加者の半数はすでに退出)

毎回様々な気づきが得られる母親学級。参加者は決して多くはありませんが、その分一人一人の気持ちに寄り添いながら、一緒に行ってくれる女性普及員と通訳者の思いも大切に、今後も続けていきたいなと思っています。

※この活動は、赤い羽根福祉基金の支援により実施している「外国人母子の健康を守る切れ目ない支援体制構築事業」の一環として行っています。

在日外国人支援事業担当 松尾沙織

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