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ネパール人妊婦対象母親学級での気づき

こんにちは。先日、女性普及員(Female Health Promoter ネパール人保健ボランティア)の皆さんと一緒に産婦訪問に行った際、教えてもらった住所に着いて産婦さんに連絡したら、引っ越して今は隣の市に住んでいるとお話があり、急いで電車とバスを乗り継ぎ、ご自宅に向かうというハプニングに、なんだかザンビアを思い出し、心配よりもワクワクしてしまった、在日外国人支援事業担当の松尾です。

さて今日は、先日11月6日に実施したネパール人妊婦対象の母親学級について報告します。
シェアでは、新型コロナウイルス感染症の流行により、保健センターや病院で母親学級が開催できない状況がある中、情報にアクセスできない外国人妊婦に必要な情報が届くよう、今年から、Zoomを活用しオンラインでの母親学級を開催しています。初回は1月に開催し、今回が2回目の開催となりました。

事前にコミュニケーションをとることの大切さを実感


当日は、東京都内と近隣県から、妊婦さん6名、妊婦さんの友人1名の合計7名の方が参加してくれました。
前回開催した際には、開始時間になっても誰もZoomに参加せず、申込者一人ずつに電話連絡をすると、“忘れていた”“メールを見ていない”と返答があり、その場でZoom情報を伝え、参加してもらった経緯がありました。今回は前回の反省を活かし、開催2日前に電話連絡をし、ネパール語通訳者より、母親学級のご案内、当日のZoom参加方法を伝えたところ、当日はほとんどの方が開始時間前から参加してくれました。
母親学級にも、SHAREという団体にも、オンライン実施にも馴染みがない中で、事前に連絡し母国語でコミュニケーションをとることで、母親学級への理解も、SHAREへの安心感も深まり、参加に繋がったように感じています。

食事に関する興味は高く、特性に合わせた情報提供が大切


母親学級では、栄養士より ”食材の栄養と摂取量ついて”、助産師より “妊娠中の体の変化や生活、出産、新生児の様子やお世話について”、女性普及員より “出産後の手続きや保健サービス、母子手帳の活用方法について”、お話ししました。

産後の手続きについて説明中の女性普及員

その中でも、参加者の関心が最も高かったのは食事についてでした。

「体重が増えすぎと病院で言われ、もう何も食べられない気がして困っています」
「妊娠の時期によって、食べてはいけない食材、食べてもいい食材はありますか」
「豆はタンパク質だと思っていたけど、炭水化物も多いんですか」

参加者からは、さまざまな質問や感想が寄せられ、栄養士が、実際に食材やご飯の量を見せながら説明していきました。

食材を3つの栄養素に分けながら、栄養について説明中

また、実施後の振り返りでは、ネパール人の通訳者や女性普及員より、
「ネパール人の中には、ご飯を減らしてと言われると、お米を少なくして豆やパンをたくさん食べる人もいるので、今日、“豆を食べすぎたらご飯をたくさん食べるのと一緒”という話があったのは良かった」
「ネパールでは、風邪をひいた時や妊娠した時、それぞれ食べて良いものや悪いものが民族によって決まっているから、“なんでも食べて良い”という日本人の感覚は理解しにくいかもしれない。これくらいの量なら食べて良いなど、しっかり示してくれると、話が伝わりやすいと思う」
という話がありました。
食文化が異なる中での保健指導は、対象者の認識や行動を確かめながら、ポイントをおさえて、特性に合わせて伝えていくことが大切だと改めて感じました。

母国語で情報を得らえる機会、つながれる機会の大切さ


母親学級終了後、参加者からは、「食事や赤ちゃんのケアについてわからなかったことを聞けて良かった」「気を付けないといけないことを知れて良かった」という感想が聞かれました。
また後日、たまたま通訳でつながったお母さんは、「母親学級では、ネパール人の顔を見て、ネパール語で話を聴いて、最初は驚いたけど、とっても安心できた、良かった」と話してくれました。
友人夫婦の代わりに参加した男性は「この話を女性だけでなく、ネパール人の男性も一緒に聞くことができたらすごくよくなると思う」という話もしてくれました。

今回参加した方々は、比較的日本語の話せる方も多いように感じましたが、それでも得られていない情報があったり、何より、母国語で話し、つながれる、聴きたいことを聴ける環境があることはとても大切だと改めて感じました。また、これまでは、妊娠中や産後の身体の変化の相談等は女性だけの方が話しやすいというネパール人の特徴から、積極的には夫の参加はすすめてきませんでしたが、オンラインであれば、隣で夫が一緒に聞くというのも良いかもしれないなと思いました。

母親学級に参加して下さった皆さん

毎回、学びの多い母親学級。来年は、初のミャンマー人妊婦対象の母親学級も計画しており、今回の気づきを活かしながら、必要な方へ必要な情報が届くよう、安心できる機会となるよう、進めていければと思っています。


※この活動は、赤い羽根福祉基金の支援により実施している「外国人母子の健康を守る切れ目ない支援体制構築事業」の一環として行っています。

在日外国人支援担当 松尾沙織

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