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8.20 TREASURE05X 2022@名古屋DIAMOND HALL

毎年8月から開催されているサンデーフォークプロモーション主催の夏イベント。愛知の夏の風物詩とも言えるシリーズライブで毎年9月頭のラグーナビーチでの野外フェスに至るまで、ライブハウスにて様々な形態で公演が打たれている。今回はDIAMOND HALLで行われた8組による1デイイベントに参加。オールスタンディングで1日中なのでところどころ休憩を挟んだけど6組はしっかり見ることができたのでその感想をズラリと。

13:00- ねぐせ。

トップバッターは愛知のバンド・ねぐせ。バンド名の時点でだいぶ色んなバンド匂いを漂わせているが、音楽性はさっぱりとした歌モノギターロック。今年はロッキンにも出演が予定されていたりかなり注目株だが結成は2020年8月。驚くべきことにコロナ禍の最中に活動が始動したという。いかにもライブライクな人懐っこさがあるがまず出発点には曲の良さがあったのだ。その証拠にスッと耳に馴染む良い声と良いメロディである。

恐らくはSaucy Dogの強い影響下にあるのだと思うがそれ以外のテン年代ギターロックの旨味があちこちに散りばめられていてキュンとなる。というか自分たちのモノにするのがうますぎる!愛嬌ある感じだけどセンスの面はかなり冴えてる気がする。MCでボーカルの子が「トレジャーのもっと大きい会場でやりたい」と言っていたし、このライブシリーズはメガフェスにおける小さなステージのような位置付けなのか、と理解した。

<setlist>
1.グッドな音楽を。
2.猫背と癖
3.愛煙家
4.花束が似合う君へ
5.ベイベイベイビー!
6.スーパー愛したい


13:55- NEE

去年1stアルバムを聴いてからずっと観たかったバンド。SEなしで出てきて、ギター、ベース、ドラムだけでセッションをするのだがその出音の迫力ったら!そこからボーカルが参加してライブが始まるまでの一連で一気に引き込まれていった。音源の印象は“ボカロを飲み込んだテン年代四つ打ちの究極進化系”だったけど、ライブだとラウドさが加わってテンションねじ切れっぱなし。ザクザクと突き進んでいく快楽と、緻密に仕込まれたアレンジのせめぎ合いがとても気持ち良い。

ギターを持たない曲では水泳用のゴーグルをかけてぴょこぴょこ飛び跳ねてフロアを煽るくぅ(Vo/Gt)の姿は、神聖かまってちゃんのの子を少し想起。考えてみれば、ネットカルチャーからライブシーンという出自&発展も似ている。くぅの場合はそこにミクスチャーロック的な破壊力が乗っかっていてよりソリッドかつスマートなバンドにNEEを仕上げているのかも。「不革命前夜」の高揚感は至高。イントロがドロップみたく機能してるんだよな。シメの「歩く花」も熱かった。

<setlist>
1.緊急生放送
2.ボキは最強
3.月曜日の歌
4.第一次世界
5.アウトバーン
6.不革命前夜
7.歩く花



14:50- Cody・Lee(李)

屋内で観るのは初のCody・Lee(李)。リハでちょっと歌ったdrizzleできのこ帝国を観た数年前のWILD BUNCH FEST.を思い出したり、記憶の引き出し力の高いバンドだ。そして本編、森道で聴いた時も思ったけど8月の真ん中で聴くとやはりこのバンドは2020年代の夏の匂いを引き連れていく存在になっていくのかなと楽しみになった
。ギターバンド多めのこの日、ややアウェーぽかったけど「異星人と熱帯夜」のメロウさ、「悶々」の怪しいグルーヴでぐいぐい引き込む。

夏のムードが高まるセトリだったが、ハイライトは「桜町」だった。ド直球のバラードでイベントでやるにはなかなかずっしりしすぎなのでは?と思ったけど、高橋響(Vo/Gt)と尾崎リノ(Vo/Gt)のツインボーカルで紡がれる美しいメロディにとろけそうになった。ラストのシャウトもとても良い。もう全ての季節をいっそ彩ってくれ、と言いたくなるような。最後は最新アルバムの中でも最もメチャクチャでアッパーな1曲でさっきまでの情感をひっくり返しエンド。無邪気で良い。

<setlist>
リハ:drizzle
1.愛してますっ!
2.異星人と熱帯夜
3.悶々
4.我爱你
5.桜町
6. 初恋・愛情・好き・ラヴ・ゾッコン・ダイバー・ロマンス・君に夢中!!


16:40- ユアネス

今はなきBARK UP 福岡でのMOSHIMO主催イベントで観て以来のユアネス。やっぱ同郷なんでね、離れた地でこそ観たくなってしまう。ボーカルの黒川裕司(Vo/Gt)は相変わらず笑ってしまうくらい歌がうますぎるのだけど、なんとコロナ療養期間明けだという驚き。「ヘリオトロープ」ではマイクスタンドが下がって思いがけずハンドマイクで歌うことになったりしていたがそれはむしろ完全に様になっててとてもしっくり来ていた。

持ち味の残響サウンドと、ビートのみならず鍵盤やオーケストレーションまで擁するシーケンスが美しく溶け合った現在のモードの音像も磨き上がっていた。なんか数年前までのギターロック界隈って生音至上主義みたいなところがあったけどこの日のバンドたちはユアネスをはじめとして同期音を前提としてより自由に音楽性を押し広げているような気がして、すごくシーンの変化を実感することが多かった。彼らの獲得しつつある路線は多分まだ空席なんでこのまま行き切って欲しい。

<setlist>
リハ:Bathroom
1.凩
2.ヘリオトロープ
3.日照雨
4.Layer
5.「私の最後の日」
6.籠の中に鳥



18:40- ヒトリエ

ヒトリエ自体も6年前のCDJ以来なのだが、シノダがボーカルになってからは初めて。リハでシノダが「IGGY POP FAN CLUB」を弾いてて既にご機嫌だったし、リハで人気曲をかましてキマリまくり。そして宣言通り、“この日1番やかましい音”を出してくれて痛快だった。「ゲノゲノゲ」、あんな乱痴気騒ぎになれるのか。更に電子音が煌めく「風、花」やシノダがハンドマイクで踊り歌う「SLEEWALK」など沸かせ方もとても多彩。3ピースバンドとしてかなり鍛え上がっている。

18年前にこの会場でTREASUREに参加しSalyuやスムルースを観たという思い出を語るシノダ。なるほどこういう物語を伴うイベントでもあるのか、と実感する。そんな当時のシノダ少年にも届くはずの無邪気で強靭なキレ味の楽曲が後半は続く。「curved edge」のハードな重量感、「ハイゲイン」の高速で繰り出されるサビの破壊力。イガラシ(Ba)、ゆーまお(Dr)のプレイもどんどんキレてくる。ラストは「ステレオジュブナイル」。この曲を示す原点と未来、気づいたら泣いてた。

<setlist>
リハ1:カラノワレモノ
リハ2:アンノウン・マザーグース
1.ポラリス
2.ゲノゲノゲ
3.風、花
4.SLEEPWALK
5.curved edge
6.ハイゲイン
7.3分29秒
8.ステレオジュブナイル



19:40- おいしくるメロンパン 

トリは2018年のJAPAN JAM以来に観たおいしくるメロンパン。最後にこういうソリッドなバンドを持ってくるイベントだというのもとてもユニークだと思った。ライブは4年前に観た時よりも曲の色味が増えていて景色が次々切り替わっていくような35分だった。このずっと転がっていくようなグルーヴ、ものすごく奇妙なんだけど妙に癖になって心がざわめく。同期音のない3ピースサウンドゆえ、その演奏の粒立ちはくっきりとしていてそのトリッキーさがとても耳に残るのだ。

良い意味でカラッと質感の風景写真のような曲が多いバンドと思っていたが、5月に出た新譜からの曲、「utopia」や「トロイメライ」はどこか湿り気も纏っていて、性急に追い立てる曲が多い中でしっかりと沁みる時間を増やしていた。あとやっぱ想像以上にベースのプレイが目立っている。ギターがバッキングに徹する時間も長いので曲全体のうねりを担っているのが必然的にベースで、あのつんのめりまくるドラムが高揚感をもたらしてるのだな、と。独自進化を続けるサウンドだz

<setlist>
リハ:透明造花
1.look at the sea
2.utopia
3.シュガーサーフ
4.epilogue
5.色水
6.斜陽
7.マテリアル
8.トロイメライ
-encore-
9.5月の呪い


ダイヤモンドホールはビルの5階にあり階段でのぼりおりしないといけないので、再入場可能とはいえそう簡単に退場したくない気持ちは湧いたけども、1日中しっかり楽しめる良いイベントだった。久々にエレキギターがどかーんと鳴るバンドばかりのライブに行って再確認したけど、やっぱ僕は邦ロックが好きだな!!人によっては聴く価値がないものらしいですが、価値は人それぞれなのでね。自分にしか見えない価値、見つけてこ!

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