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2021.05.16 中村佑介×後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION) トークショー&後藤正文ライブ 【Streaming+(配信)】

アジカン、結成25周年。本来であればアニバーサリーライブなりツアーなりあったはずだがご時世もあり、記念的催しはない様子。しかし現在、金沢21世紀美術館で開催中のイラストレーター・中村佑介の作品展『中村佑介展』での中村佑介×後藤正文トークショー、および後藤正文ライブが実にアジカンのアニバーサリーらしい内容だったので、走り書き程度に感想を書き残そうと思う。5/23までアーカイブ配信中。

シーンとしての所謂ゼロ年代ギターロック前夜的なエピソード、普段着のバンドとしてやっていくことの矜持といった、インディーズ期のアジカンのエピソードが掘り起こされたのも、20年来の付き合いである中村佑介との対談ならではだろう。また『マジックディスク』以降のリリース形態とアートワークへのこだわり、『ホームタウン』のジャケットに描かれた"可愛いアジカン"についての秘話など、近年のアジカンについての話も充実していた。長い付き合いと適度な距離感だからこそ見えてくるアジカンの歴史を辿る貴重なトークパートだった。


さらに、ゴッチの弾き語りパートはアジカンの楽曲をほぼリリース順に披露するレアな形式。Gotch名義でなく後藤正文名義での出演だったのはこういうことか、と納得。しかも1曲目から「未来の破片」のアコースティックverという聴いたことないにも程がある選曲なのだから驚きだ。ヒリヒリとした原曲の焦燥感は、弾き語りだとより物憂げに響く。何度となく聞いた曲の全く違う表情が見えてくる。続く「海岸通り」は原曲をさらに素朴で温かく歌い上げ、楽曲の滋味を染み渡らせていく。『ソルファ』曲が誇るメロディの強靭さを改めて思い知る。

楽曲の間に挟まるエピソードも楽しい。サビのメロディが某バンドの曲になりかけたという「ブルートレイン」は骨格だけを届けるようなこざっぱりしたアレンジに。また「ライカ」は原曲のシャッフル感がじゃかじゃかしたアコギに転生した実にしっくりするバージョンだった。ゴッチ史に残る名曲だという「迷子犬と雨のビート」は終始満足げなゴッチの表情が印象的だった。アジカンのライブや映像を見るときと違い、こんなにもゴッチのみを注視する機会はなかなか無いし、こんなにも歌う喜びを噛み締める人だったのか!と発見もあったりした。

終盤は今やりたい曲を、ということで選ばれた3曲。「生者のマーチ」は死を思うことが増えた今に痛切に響く。ゴッチだけの歌唱による最新シングル「触れたい 確かめたい」もこの並びで聴くと、浮かんでくる別離のイメージがさらに濃く上塗りされる。ライブをやることへの葛藤を語っていたゴッチは「音楽やってる時だけは励まし合いたい」という言葉も残した。別れから逆説的に今を鮮やかに映し出す「今を生きて」で締めくくったのも意義深い。また今度会う約束を果たすかのような60分だった。

<setlist>
1.未来の破片
2.海岸通り
3.ブルートレイン
4.ライカ
(「江ノ島エスカー」を一節)
5.迷子犬と雨のビート
6.生者のマーチ
7.触れたい 確かめたい
8.今を生きてい


ゴッチが弾き語りで25年を振り返る一方、喜多建介(Gt)と山田貴洋(Ba)はアジカンのYouTubeチャンネルでこれまでの歴史にちなんだトーク番組を配信中。月イチでアルバムの制作秘話などを紐解いていくようでこれは年間通して相当楽しみ。「遥か彼方」が『崩壊アンプリファー』入らなかった未来とか、「エントランス」が1stシングルだったかもしれない世界線について思いを馳せられる貴重な回顧録。


一方でまさか伊地知潔(Dr)がキャンプや料理をもう1つの軸にしだすとは思っていなかったけれど、ある意味では25周年あればどんなことでも起き得ることの証左だ。しっかり、我が家の晩御飯のメニューとして活躍してます!

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あと!せっかくなので2019年に福岡パルコで開かれた中村佑介展で撮ってた写真も載っけます。金沢のは最大規模の個展ということで是非とも福岡や九州近辺での開催もお願いしたい、、10月以降なら愛知にいるはずなのでそちら方面でも大丈夫です!

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