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読書記録

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ジャンル問わず。読んだ本の記録、紹介。
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#ミステリー小説

加田伶太郎全集 福永武彦~読書記録332~

加田伶太郎全集 福永武彦~読書記録332~

純文学作家・福永武彦が加田怜太郎というペンネームで発表した推理小説集である。短編ばかりで読みやすい。

福永武彦が加田伶太郎(かだれいたろう)のペンネームで発表した「完全犯罪」「幽霊事件」「温室事件」「失踪事件」「電話事件」「眠りの誘惑」「湖畔事件」「赤い靴」の傑作探偵小説8編に、随筆「素人探偵誕生記」を併せ収めた異色の一巻。文化大学古典文学科の助教授で、自ら安楽椅子探偵を以て任ずる伊丹英典(いた

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摘出 霧村悠康~読書記録4~

摘出 霧村悠康~読書記録4~

大阪大学医学部卒 元大阪大学付属病院腫瘍外科医の霧村悠康氏の医療サスペンス小説である。
さすがに大病院の外科医であっただけに、リアリティーもあり怖くなった。

主人公は生真面目な外科研修医。大阪にある国立のO大学附属病院勤務とあるから、大阪大学であろう。山崎豊子の「白い巨塔」、実際にあった話の映画化「愛と死を見つめて」も大阪大学付属病院だったな。。。しみじみ。
患者の乳がん手術を行う際に主人公は右

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昏睡~読書記録5~

昏睡~読書記録5~

元大阪大学腫瘍外科医・霧村悠康「摘出」の続編となる。

前作にて、高木教授は大阪にある国立O大学を追われ、高血圧の症状から入院となった。
助教授である神崎は第三外科全体を指示している実質教授の立場である。
教授空席の中、行われた教授戦。
神崎が違う患者の癌細胞を操作し、医学部長や患者に密告した自作自演であることを見抜いていた松本医学部長としては神崎に教授をさせたくはない。
だが、神崎は教授戦を勝ち

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全身麻酔~読書記録6~

全身麻酔~読書記録6~

元大阪大学医学部附属病院・腫瘍外科医・霧村悠康氏の作品。
舞台は大阪にある国立O大学付属病院。

上に写真に上げたが、この登場人物。これが又ややこしいのだ。ネタバレ覚悟で言うと、同じ人物がわからないように紹介されている。
「私」は、全身麻酔の際に意識があり、その時の様子を小説とする。ちなみに職業は弁護士である。
麻酔科医は28歳の研修を終えたばかりの雲井医師であるが。少しだけ脇役として登場する奈良

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ふたつの名前~読書記録13~

ふたつの名前~読書記録13~

松村比呂美先生によるミステリー小説。

題名と挿絵から「女性が2つ名前を?」と思うかもしれないのだが、イヤイヤ。深い意味があるのだ。ここで面白いのは、2件の殺人事件が起きているのに警察や刑事が出て来ない点。
相棒の右京さんや、特捜9のイノッチや、戸津川警部などなど。。。実は、名刑事というのは小説で書くのは難しいのだ。
謎を解いたのは探偵だ。しかし、それも大した問題ではない。
2007年に書き下ろし

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追悼者~読書記録33~

追悼者~読書記録33~

折原一先生の2010年に書き下ろしたミステリー。
浅草で殺された30歳の女性。昼間は有能な総合職の会社員。夜は街に立ち、売春をしていたという事から、警察よりもマスコミが騒ぎ立て、主人公となるノンフィクションライターの笹尾は地道に取材していく。
物語は二転三転していき、読みながら「あ、この女性はこの人と同一人物かな?」と思ったのは見事に裏切られ(ネタバレになるので書かない)、犯人は意外な人物と。実は

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善医の罪~読書記録39~

善医の罪~読書記録39~

大阪大学医学部卒、医師であり作家である久坂部羊の作品。

フィクションであるが、1998年に実際に川崎市で起きた事件を元に書かれている。

本書では、あくまでも物語として読み手を先に進ませる為、看護師や麻酔医をかなり悪意ある人物として誇張されて描かれており、わかりやすかった。結局、遺族はお金が目的で3年も経ってから訴訟を起こしたり。亡くなった患者さんの元婿(娘の別れた夫)の悪だくみ。弁護士による週

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