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善医の罪~読書記録39~

大阪大学医学部卒、医師であり作家である久坂部羊の作品。

フィクションであるが、1998年に実際に川崎市で起きた事件を元に書かれている。


本書では、あくまでも物語として読み手を先に進ませる為、看護師や麻酔医をかなり悪意ある人物として誇張されて描かれており、わかりやすかった。結局、遺族はお金が目的で3年も経ってから訴訟を起こしたり。亡くなった患者さんの元婿(娘の別れた夫)の悪だくみ。弁護士による週刊誌へのリークなど。そのあたりは、フィクションならではの面白さだった。
作品では、主人公はオランダ人とのハーフの若い女医となっている。これは、オランダでは安楽死が認められている、事が大きいかと思う。
裁判では、医療ではなく、法律が全て。筋弛緩剤を点滴にしたか、静脈注射したか。それが争点となる。だが、主人公はあくまでも冷静。点滴でも静脈注射でも身体には同じ。
最後に、主人公は有罪判決が下され、控訴するところで終わる。

日本は高齢化社会となり、寝たきりの方も多くなっている。今後、終末医療に関しては法律はこのままで良いのだろうか?
脳死になった方をチューブに繋いで機械で生かす。私は常々、これが正しいのか?自分はこんな状態ならスイスに行きたいと思っていた。(ということで、現在、スイスフランを貯めとります!!)
何かあると患者や遺族が訴訟を起こす。これでは怖くて、訴訟の心配のない科に若い医師は行きはしないだろうか?実際、産婦人科、小児科医は減っているようだ。初期の流産は医師のせいじゃないのに。。。

幾つか、この事件についての記事を貼っておきたい。



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