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ふたつの名前~読書記録13~

松村比呂美先生によるミステリー小説。




題名と挿絵から「女性が2つ名前を?」と思うかもしれないのだが、イヤイヤ。深い意味があるのだ。ここで面白いのは、2件の殺人事件が起きているのに警察や刑事が出て来ない点。
相棒の右京さんや、特捜9のイノッチや、戸津川警部などなど。。。実は、名刑事というのは小説で書くのは難しいのだ。
謎を解いたのは探偵だ。しかし、それも大した問題ではない。
2007年に書き下ろし作品であるから、殺人事件の時効も成立している。
2010年に時効撤廃される前は、かなりの作品が時効をテーマにしていたと思う。
犯人の心理状態を左右するからだ。


主人公は20代(多分)独身女性。母の再婚相手の血の繋がりのない父と3人、仲良く暮らしていた。
失踪した実の父の姉に会ってから、色々な真相がわかってくるのだった。
真犯人は。。。というよりも、夫から暴力を振るわれていた登場人物が実に多い。
主人公の母、祖母。血の繋がらない父の母。主人公が勤務する会社のお客様。
描写も生々しい。
暴力を受けることで気力も奪われる。助けてくれる人はいない。

(ここからネタバレ)
主人公の母、祖母が夫から暴力を振るわれていた時に助けてくれたのが、母の再婚相手である。
殺害を犯し、自分の実家に遺体を処理。
偽装の為に祖母の夫に成りすまし、その後又色々あり、名前を戻す。
ここで「ふたつの名前」の意味が出てくる。
読む方としては、主人公の伯母にイライラしてしまうのだが、最終的には良い終わり方だったと思う。



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