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摘出 霧村悠康~読書記録4~

大阪大学医学部卒 元大阪大学付属病院腫瘍外科医の霧村悠康氏の医療サスペンス小説である。
さすがに大病院の外科医であっただけに、リアリティーもあり怖くなった。



主人公は生真面目な外科研修医。大阪にある国立のO大学附属病院勤務とあるから、大阪大学であろう。山崎豊子の「白い巨塔」、実際にあった話の映画化「愛と死を見つめて」も大阪大学付属病院だったな。。。しみじみ。
患者の乳がん手術を行う際に主人公は右胸と左胸を間違えるミスを犯してしまう。それに気づいたのは、癌ではない左胸を切除した後で、執刀医である教授は両方切除をする。そして、病理検査。左胸にも癌が見つかり、両方癌であったとされ、主人公は胸をなでおろすのだが、それは巧妙に仕組まれていた。教授の座に就きたい助教授が病理検査室に夜中に忍び込み、違う患者の癌細胞を混入したのだ。そして、自らがDNA鑑定をし、「違う人のもの」と医学部長に報告。更には、患者にも密告の手紙を送る。

執刀医は権威ある教授であっても、手術をする準備は全て研修医や看護師など。切除する箇所も用意された状態で、メスを入れる前に確認をしない状況。診察も短時間。という執刀医の怖さが描かれていた。それでも多くの患者はありがたがる。これは大学病院の性質なのであろうか。
教授になる為には政治力、立ち回りも必要であること。これはドラマ「ドクターX」で観るそのままだ。大名行列もある。

病院に行くのが怖くなった本でもある。

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