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追悼者~読書記録33~

折原一先生の2010年に書き下ろしたミステリー。
浅草で殺された30歳の女性。昼間は有能な総合職の会社員。夜は街に立ち、売春をしていたという事から、警察よりもマスコミが騒ぎ立て、主人公となるノンフィクションライターの笹尾は地道に取材していく。
物語は二転三転していき、読みながら「あ、この女性はこの人と同一人物かな?」と思ったのは見事に裏切られ(ネタバレになるので書かない)、犯人は意外な人物と。実は、被害者は売春などしていなかった事もわかる。
1人1人の取材した人たちの意味もラスト近くになりわかる。

1997年に起きた「東電OL殺人事件」を元にしているのだろうと思っていたのだが、折原先生ならではの主張も観られ考えさせられた。


少しネタバレになってしまうが、テレビの取材で「被害者があの店の前に立ち、売春をしていた」という証言をしたのは1人だけ。その店の店主は「おかしい」「あの人しか言っていないが、そんな人見たことない」と思っていた。だが、その証言からマスコミが面白おかしく飛びつき、警察の捜査とは離れ、勝手に被害者像を作ってしまったのだ。まさに死人に口なし?
実際には、真面目な会社員であり、取材していた人が言ったような悪だくみなどしていなかった被害者なのだが、悪意ある真犯人によるものだった。人は本当に怖い。。。

真犯人などは書けないが、マスコミの書くものが全て真実ではない。これは覚えたい。

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