見出し画像

#334 EU加盟国がユーロを導入しない理由は?

EU加盟国は、共通通貨のユーロを導入している。
統一通貨を使用することで、両替にかかる手数料や手間をなくすことができるため、取引がスムーズになり、経済が活性化するというメリットがある。

しかし、EUに加盟しているすべての国がユーロを導入しているわけではない。
2023年11月現在、EUに加盟している27か国のうち、ユーロを導入しているのは20か国。
デンマーク、ブルガリア、チェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、スウェーデンの7か国はユーロを導入していない。

また、すでにEUを離脱したイギリスは、独自通貨の「ポンド」を使用しており、ユーロを導入しなかったことは有名である。

メリットばかりに見えるユーロだが、導入しない国があるのは統一通貨のデメリットがあるからである。

統一通貨を導入すると、国独自の金融政策を行うことが困難になってしまうのだ。
各国は、自国の通貨の価値を安定させるために、金融政策を行って市場に出回る通貨の供給量を調節している。
例えば日本では、日本銀行が一般の銀行と国債と現金をやりとりする公開市場操作とよばれる金融政策を行っている。

ユーロを導入した国の金融政策は欧州中央銀行が担うことになる。
裏を返すと、ユーロ導入国間で経済格差が広がったり、インフレ率や景気のサイクルに差が出た時などに自国独自の金融政策ができなくなってしまうということだ。
これがユーロ導入の大きなデメリットである。

2009年にユーロ導入国であるギリシャの財政赤字が発覚したことから、ユーロの信用が低下する「ユーロ危機」が発生した。
このようなことが起きると、ユーロ導入国は個別に対策をとることが難しく、経済は大きな打撃を受けてしまうのである。

それでもなおEUにおいてユーロ導入国が多数を占めているのは、デメリットよりもメリットの方が大きいと判断している国が多いからだ。

統一通貨は何をもたらすのか。EUとユーロから学べることは多い。

【目次】

【参考】

https://imidas.jp/jijikaitai/a-40-053-09-04-g002


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?