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珈琲の大霊師

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シャベルの1次創作、珈琲の大霊師のまとめマガジン。 なろうにも投稿してますが、こちらでもまとめています。
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珈琲の大霊師156

珈琲の大霊師156

 ドアの向こう。

「ツァーリ」

「なにぃー?」

 ボッと、炎を巻いてツァーリが現れる。その手の先にはサウロもいた。

「サウロから手を離すんじゃないさ?あたいから精気を送ってる間は、サウロも契約の外にいられるさ。もし手を離すと、契約に従ってサウロはリフレールに呼ばれるさ」

「分かった。離さなくていいってワケー」

 何故か嬉しそうに、ツァーリはサウロの手を握り直した。

「後は頼んださ。あ

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珈琲の大霊師148

珈琲の大霊師148

 午後になって出勤したルナに事情を聞く為、水宮の巫女長ケルンは廊下を歩いていた。

 そもそも、ほとんどの巫女は寮で生活している為、遅刻という事態がまず無いことだったし、ケルンが暇をもて余していたという事もあった。

(ゴウさん、最近見ませんね……。あっちで、よろしくやってるんでしょうけど。もう、とっくに契約期間は終わってるはずなんですが)

 数ヵ月前、リフレールの使者から応援要請を受け、我こそ

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珈琲の大霊師147

珈琲の大霊師147

(あー、やっちまったな)

 朝、腕枕で気持ち良さそうに眠っている一糸纏わぬルナを見ながら、ジョージは一人ごちた。

 後悔はしていないが、面倒な事になりそうだとは思っていた。酒の勢いもあったが、ルナに感じている愛情に偽りはない。

 調子に乗って早朝まで6回戦もした以上、体の相性が悪いわけがなく、また久しぶりの情交は素直に気持ちが良かった。

 ルナも今まで相当我慢していたと見え、積極的だった。

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珈琲の大霊師146

珈琲の大霊師146

「……なぁ、これ、真面目な話か?」

 ジョージは、ルナの頭をなんとなく撫でながら尋ねた。

「……顔見て解る、だろ?」

 こんなルナを、ジョージは知らない。いつも一緒にいるのは、幼馴染みのルナであって女のルナではないのだ。

「意味、分からない訳じゃないんだろ?知ってるよ。ジョージが、あたしに隠してきた事。母さんにも言わなかったこと」

「……何?」

「あんたに惚れてる、嫉妬深い女がさ。あた

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珈琲の大霊師145

珈琲の大霊師145

 ごろっと魚介類のスープ、地鶏の串焼き、スパイスを利かせた魚の竜田揚げ、食も酒も進む料理群がジョージの前に差し出される。

「さて、こんだけありゃ足りるかな?あたしも飲んでいいかい?」

「おう。グラス用意して待ってたぞ。飲むならやっぱ、一人より二人だよな。乾杯!」

「ふふ、乾杯」

 チンとグラスが軽くかち合って音が鳴る。ちなみにジョージとルナの分、2つしか無い高級品だ。

「いやしっかし、久

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