僕の人生を変えちまった、罪なアルバム9選(後編)
さぁさぁ後編です。
前編はこちらから!
最近、大学では最終レポートラッシュが続いていまして、本当はこんなことしている暇はないのですが、いかんせんnote狂でありますし、唯一続いている日課なのでどうしても中断したくないのです。まぁ文章書くの好きだから、大学のレポートもそんなに嫌ではないんだけど。
そんなことはどうでもいい、さっそく始めます。
5.Green Day: "Dookie" (1994)
この"Dookie"がなかったら、今のアメリカのロック業界は鼻に指を突っ込んで、泣きながら愛の喪失と人生のくだらなさをなんのユーモアもなしに悶々と唸っていたことだろう。
それぐらいこのアルバムが与えたものは大きい。
このアルバムがリリースされたのは、1994年2月1日のこと。90年代前半のアメリカといえば、ニルヴァーナやパール・ジャムなどが起こしたグランジ(ロックのジャンルの一つ)が大ブームになり、こぞってみんなが穴の開いたジーンズを穿き、髪を伸ばして、人生の無意味さとか性の乱れとかについて歌っていた(らしい!)
そんな中、彗星のように現れて大爆発ヒットをたたき出したのが、このグリーン・デイのDookieだった。
Dookieの音楽性はグランジとは全く違う。たしかにやかましいのは同じだが、果てしなくポップで果てしなく軽快なのだ。ここからは個人的に感じることだけど、陰鬱で聴いているだけで自分の将来が心配になりそうなグランジとは大違いで、生きる心地が沸いてくる。
だけどグリーン・デイの面白いところは、グランジでも歌えそうな内容の歌詞をわざと軽快に歌ってしまうことだ。そして僕がグリーン・デイで一番好きな部分は、そんなクソみたいな現実を忘れて、俺たちをロックさせてくれるところだ。
大体はできの悪い若者の、つまらなくて退屈で最悪な毎日を題材にして、それを皮肉ることで彼らはカリスマになった。
当の僕も彼らのことをカリスマだと信奉していた。生まれて始めて自分のお金で借りたCDはこのアルバムだった。TSUTAYAでレンタルして、当時持っていたウォークマンに入れた。
はじめて聴いた当時の詳しい感覚こそ忘れてしまったが、このアルバムは当時の僕にとって、「今までで一番うるさいアルバム」だった。だからこうやってずーっと、その興奮と感動が記憶に刻まれているのである。
ちなみに"Dookie"と言うのは、英語のスラングで「うんち!!」という意味らしい。マジかよ!!すごいな!!うんち!!!
【おすすめ収録曲】
・Longview
・She
・When I Come Around
・In the End
6.Base Ball Bear: 増補改訂完全版「バンドBのベスト」(2016)
Base Ball Bearは僕が日本のバンドで今までで一番熱中したバンドと言っても過言ではない。
某ウイルス前の2019年の秋のツアーで初めて生で見る&聴くことができて、めちゃくちゃ感動したことを覚えている。
Base Ball Bearは音楽界を変えた!とかそういうバンドじゃないが、限られた人の人生を潤した存在であることに間違いはないと思う。そして間違いなく僕もその一人だ。
とにかく、歌詞があまりにも瑞々しい。正直、瑞々しいとかそんなものではなくて、本当に水が出ているみたい。
高校のキラキラしたあの感じ。あの二度と取り戻せないあの感じ。作詞担当の小出祐介さんが紡ぐ言葉は、今となっては正直読むだけでその青春度合いに痺れてしまい、決して平穏な気持ちで聴くことはできない。
ひ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~やめてくれ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
と叫びたくなるほどに甘酸っぱすぎる歌詞を、自分の気持ちの代弁かのように聴いていた高校生の頃のあのピュアな気持ちに戻りたい。
今ではポンペイ人のちんこの話をして、深夜にへらへらしている大人になってしまいました。ほんとすみません。
今になって思うのは、小出さんが書く歌詞にはいくつかの作詞ポイントがあるということだ。例えば「夏ってる」とか「刹那ってる」とか「夏い」とかそういうの。造語なんだけど意味はちゃんと通じるというすごく面白い表現だと思う。あと好きな女の子の崇拝具合方がえげつない。「君はそう、女の子の最高傑作」とか「神様、あの娘を作ったのは正解だね」とか。その辺はこのブログが面白くまとめてくれています。
正直、Base Ball Bearの歌詞みたいな青春を送ることはできなかったけど、Base Ball Bearを聴くことでそれを補完できていた。ほんとに僕の妄想をふつふつと沸かせてくれた最高に思い出深いバンドである。
【おすすめ曲】
・GIRL FRIEND
・changes
・kimino-me
・short hair
・初恋
・文化祭の夜
・不思議な夜
7.The Beatles: "Rubber Soul" (1965)
僕はあまり「もし世界に〇〇がなかったら~」みたいな話が得意ではない。別に人からされるのは構わないんだけど、僕はあんまり予想することができないから。
ただ、「もし世界に『ラバー・ソウル』がなかったら~」という話の答えを用意するのは簡単で、それでかつ、とても言葉では表しきれない恐怖を覚える。
『ラバー・ソウル』は間違いなく世界を変えた。
『ラバー・ソウル』が本国(イギリス)で発売されたのは、1965年12月3日のこと。ということは、1965年12月2日の世界と1965年12月3日の世界の間には、目では確認することのできないようなとてつもない大きな差があると言ってもまったく過言ではない。
もしビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンが『ラバー・ソウル』を聴かなかったら、『ペット・サウンズ』はないわけで、『ペット・サウンズ』がないと、『サージェント・ペパーズ』はないわけで~と、どんどんと答え合わせをしていくと、現代音楽の先祖には必ずと言っていいほどこのアルバムがいる。
僕がはじめて聴いたビートルズのオリジナルアルバムは『ラバー・ソウル』だった。これを選んだきっかけは、どこかのサイトに、初心者におすすめ!と書いてあったから。今思えばそんなわけないのだが、当時高校生の僕はまんまと騙されてこのアルバムを借りてしまったのである。
でも僕の第一印象はあまり芳しくなかった。その後に借りた『アビー・ロード』の方が全然良い印象を持った。
しかし、月日が経ってビートルズのこと、ロックのこと、ボブ・ディランのことをもっと知っていくうちに、このアルバムがダントツで好きになったしまったのだ。恋愛漫画でよくある、最初は印象最悪だったのに、気づいたら惹かれていた、といういわゆる「なんであんなヤツのこと、好きになってんのよ…!」系アルバムだったというわけだ。
ジョン・レノンは生前、このアルバムを「大麻アルバム」と呼んだ。保健の教科書に書いてある大麻の効能しか知らない僕からしてもこの表現は正しいんじゃないかと思う。まるで森の中に迷い込んだかのような、深緑を感じさせるサウンド。とにかく深淵で芸術的。まさにチルするための大麻のようなアルバムだ。(マジで使ったことないですからね)でも、「大麻アルバム」ってのはちょっとダサいから「ガンジャ・アルバム」とかにしませんか?
ビートルズのすべての曲を、耳に穴が開くほど聴いた僕にとって、『リボルバー』は前衛的&個人的に捨て曲が多い、そして『サージェント・ペパーズ』は中間部分が弱い。やっぱり『ラバー・ソウル』は唯一無二の最高傑作で、僕の音楽の趣向をなにより深めてくれた存在だ。
『ラバー・ソウル』を聴くと、いろいろな音楽に出会う機会に恵まれる。ディランなどのフォークに始まり、サイケ、カントリー、ブルースなど。音楽の幅を広げたい人は絶対に聴くべきだ。というか、音楽が好きな人は聴かなきゃダメだと思います。
【おすすめ曲】
・Drive My Car
・You Won't See Me
・Michelle
・Girl
・In My Life
8.Oasis: "(What's the Story) Morning Glory?" (1995)
オアシスをそこら辺のビッグバンドと同じにしてはいけない。
オアシスはもはやバンドや音楽を超えた存在だ。オアシスはもはや文化、ファッション、そして生き方のことを指す。
オアシスはいくら褒めても過大評価にはならない。ほとんど「教え」に近いこのアルバムを過大評価するとはいったいどういうことだろうか?僕にとっては 、"(What's the Story) Morning Glory?"と書いて、「バイブル」と読むぐらいのものなのだから。
このアルバムのセールスや評論家たちの評価について書くつもりはない。このアルバムのものすごいところはいくつもあるが、まず挙げるべきは20世紀の終わりから現代にかけて、多くの人にとってほとんどアンセムと化している"Wonderwall"と"Don't look back in anger"を二つ並べて収録している点だ。これはあまりに意図的過ぎるだろう。
グランジブームをぶっ壊したのは、また新たなブームだった。カート・コバーンが「死にたい」と歌うと、オアシスは「僕と君は、永遠に生き続ける」と歌った。決してあてつけなどではない。オアシスは生きることの美しさというあまりに普遍的なメッセージを僕らに全速力でぶつけてきたのだ。僕が好きなオアシスはそういった部分だ。
まず、"Wonderwall"のテーマは「救済」だ。
そもそも「ワンダーウォール」とは何か?直訳すると「不思議な壁」だ。この「壁」は僕を守ってくれる、いわゆる救世主だ。いや、救世主とは言わなくても、いつでも見守ってくれてピンチの時にはいつでも駆けつけてくれる頼れる存在というくらいでも構わない。
このワンダーウォールが与えてくれる無償の愛は、まるで母の愛であり、友の助けであり、恋人の想いであり、麻薬の救いかもしれない。それがどうにしろ、ワンダーウォールは僕らを必ず救ってくれる。そんなメッセージをたかだか4分半に収めてしまう、オアシス。
次に、"Don't look back in anger"のテーマは「宥免」、つまり「許すこと」だと思う。
この曲、まだ発表してから30年も経っていないのにもかかわらず、国内問わず様々なカルチャーでの引用がすごい。
2017年5月22日の夜、イギリス・マンチェスターのとある大型ライブ会場で、歌手のアリアナ・グランデのライブ終了後に自爆テロが起きた。
その追悼で、この曲を突然アカペラで歌いだす人が現れ、群衆もそれに倣って歌いだした。その瞬間、この曲はジョン・レノンの『イマジン』と並ぶ、平和の証となったのだ。
決して反戦とか平和の歌ではないが、この曲にはそれほど重たく崇高なメッセージを背負う価値がある曲だ。
作者の意図しない形でこの曲は大衆に受容され、大きくなっていった。
それでもこの曲が収録されているアルバムの価値は、一つの意味に収束することはない。この2曲のほかにも"Roll With It"や、"Morning Glory", "Some might say"など素晴らしい曲が詰まっている。たしかにオアシスは悪口を吐くし、文句ばっかり言う。しかし彼らはいつだって弱者の味方だ。
そしてこのアルバムは"Champagne Supernova"という曲である。
突然だが僕の中で、人は死ぬと、水がうすーく張った何もない少し肌寒い世界に放り出される、という謎のイメージを持っている。
この曲は、水をかき混ぜるような音で始まる。僕の中での死後の世界のイメージだ。メランコリーでアンビエントで、そしてサイケデリック。こうやって死ぬことができたらどれだけ幸せだろうか。
間違いなくオアシスの最高傑作の一つだ。この曲を聴きながら毎日眠りにつきたい。夢の中でもこの曲が聴きたい。人生最後に聴く曲はこの曲がいい。アルバムの最終曲でありながら、僕にいつも「最期」を想起させる曲だ。
【おすすめ曲などない。全部聴け。】
9.The Rolling Stones: "Through The Past, Darkly (Big Hits Vol. 2)" (1969)
正直、オアシスで力尽きてしまったので、あまり書く気力はないのだが、頑張って書こうと思う(?)
このアルバム、大体1966年から1969年のストーンズのベスト盤である。といっても収録曲は多くなく、全部で12曲ほど。
この時期のストーンズはマジで最強だったと思う。僕はブライアン・ジョーンズがいたころのストーンズが一番好きなので、このアルバムの収録曲が一番ぶっ刺さるのである。
"Jumpin' Jack Flash"や"Mother's Little Helper"などの名曲はもちろん、"We Love You"や"Sittin' On A Fence"などの隠れた名曲も収録されている。と言っても、絶対に『悪魔を憐れむ歌』とかを入れた方がいいと思うのだが、その辺の基準はよくわからない。
それに、僕がはじめて真面目に聴いたストーンズのアルバムがこれなのだ。これはサブスクではじめて聴いたんじゃなかったかな。
何を隠そう、僕はストーンズにハマったのはここ数年のことで、実はそれほど偉そうに語れるほど長いファンでもないのだ。
これより前にも他のオリジナルアルバムにチャレンジしてみたものの、それほど刺さらなかった。しかし、このベスト盤を聴きまくっているうちに良さに気づき、今ではズブズブの関係になっているという次第である。
これぐらいしか書けないです、あともう眠いし。
とりあえずジャケットも好きです、みんなカワイイ。
【おすすめ曲】
・Jumpin' Jack Flash
・Mother's Little Helper
・Ruby Tuesday
・Honky Tonk Women
いや~~~~~~~つかれた~~~~~~~
ちょっと今日はもう寝ます。
どうでしょうか、僕の音楽地盤の発達の歴史でした。
主にポップスとロックですが、ところどころに僕の偏屈で曲がった愛情なんかも垣間見えたかと思います。
みなさんの #私を構成する9枚のアルバム はなんでしょう~?
また明日!
小金持ちの皆さん!恵んで恵んで!