もてはやされまくっている、ビートルズの『リボルバー』に茶々を入れてみようの回(2)
さぁさぁ、『リボルバー』評、曲の評価に入っていきましょう。
個人的に『リボルバー』は別にそんな好きでもない曲、いくつかあるんだよね。だって、みんなほんとに『イエロー・サブマリン』好きかい??
1.Taxman
ビートルズ最初で最後の、ジョージ・ハリスン作の楽曲からはじまるアルバム。
発売当時(1966年)はさ、音楽を聴くといったらライブに行くか、ラジオで聴くか、レコードで聴くか、だったわけだからさ。
でもビートルズは、昨日の記事で書いたように、もうライブをする気はなかったわけだから、そうなるとやっぱりラジオかレコードになってくる。でも、芸術作品としてのアルバムを目指していたビートルズは、すでにレコードの通しでの完成度に凝っていたと思うんだよ。
それに、当時のミュージシャンは1曲目から、そのアルバムの世界観にグッと引き込めるようなものに意識的にしてたと思う。だって、レコードで音楽を聴くとなると、曲を簡単に変えられないし、最初から聴く人が多かったと思うから。
そういう風に考えるとビートルズは、『リボルバー』の前作の『ラバー・ソウル』では、『ドライヴ・マイ・カー』っていう今までとはまったく違うポップさを前面に押し出しまくった曲からスタートしたわけで。そのから、「あ、このアルバム、なんか今までと違う」って聴く側はなったんじゃないかな。そもそも、ビートルズがアルバムの雰囲気を大事にし出したのは、このアルバムが最初だったしね。
では、この"Taxman"はどういう曲か?
まず、さっきも言ったように、作詞作曲はギターのジョージ・ハリスン。
このアルバムは、はじめてジョージの曲が3曲も収録されたアルバムで(今までは0~2曲)、彼の腕が上がってきた証拠だ!
この曲、ファースト・アルバムの1曲目、"I Saw Her Standing There"を彷彿とさせるカウントが流れ、その裏には、テープを逆再生?しているのか?何かの音が、ピュンピュン鳴っている。咳払いをして、曲が始まる。なんだか、一発撮りをそのまま収録しているみたいだ。
すると、ギターとベースの音が絡み合うようなリフが始まって、ジョージの歌が聴こえる。
Let me tell you how it will be
There’s one for you, nineteen for me
‘Cause I’m the taxman
Yeah, I’m the taxman
それがどんなものか教えてやろうか?
1つを君に、そして19は俺に
だって、俺はタックスマン(税取り)だから。
そう、俺はタックスマンさ。
こうやって、『リボルバー』は、幕を開けるのだ。
この曲は、当時のイギリスの課税の仕組みがバカで、めちゃくちゃ稼いでいたはずのジョージがある日、税理士に「あなた破産するよ?」って言われた経験から来ているらしい。
曲中にはこんな歌詞もあってすごく面白い。皮肉が利いていて、ある意味「イギリス人らしい」ような表現が満載だ。
If you drive a car, car, I’ll tax the street
If you try to sit, sit, I’ll tax your seat
If you get too cold, cold, I’ll tax the heat
If you take a walk, walk, I’ll tax your feet
車を運転するのか?道に課税しよう
座るのかい?席に課税しよう
寒いのか?じゃあ暖房に課税だ
散歩するって?じゃあお前の足に課税してやろう
いや、そんなわけあるかい(´∇`)
あと曲中に当時のイギリスの労働党・保守党の党首のハロルド・ウィルソンと、エドワード・ヒースの名前が出てきて、ややディスられている。ちゃんと両方出しているのは、たぶん片側に寄らないためだと思うけど、そこまでしてやる必要あるのか(笑)
ジョージの皮肉めいたキャラクターにぴったりですごくいいと思う。
それで、この曲、ベース・ギターラインもいいんだけど、俺はこの曲のギターソロが大好きなのだ。(曲では、1:11から1:24まで)
ギター担当のジョージの曲で、さそがしジョージが気持ちよく引いているんだろうと思ったら、なんとポールが弾いている。あんまりギターがうまくなかったのかな、、、(´д⊂)
こんな感じで、めちゃくちゃ好きな曲です。最高だぜジョージ。
2.Eleanor Rigby
ポール・マッカートニーがほとんどを作詞作曲、一部の歌詞を別の3人に手伝ってもらっている。
僕が思うにこの曲、『リボルバー』では1、2位を争う、最高傑作だ。
というか、ポール・マッカートニーのソングライティングスキルが一つのピークに達した瞬間だと思う。彼の一つの黄金期だ。
まず、この曲の何が今までと違うかというと、ビートルズは一切楽器を弾いていないのだ。つまりボーカルだけ。
それってビートルズの曲って言えるのか?
と思っているそこの君!!その通り、それたぶんみんな思ってる。
あと、ロックバンドのアルバムなのに全編ストリングス、つまり全編管楽器。これも当時としては斬新だった。攻めるね攻めるね~~~~~
そもそも歌詞の内容は、ポールお得意のストーリー仕立て。
とある老婆と神父の話。二人とも孤独で悲しい暮らしをしている。そして、最終的には老婆が死んで、誰にも気にかけられることなく埋められる。「あぁ、誰も救われなかったね」という歌。
え、、、悲し、、、
こんな曲を当時24歳で、子供たちから絶大な人気のあった若者が、新作アルバムの2曲目に入れちゃうってマジでどういうことなんだろう、、、
説明は抜きにして、一回聴いてみてくださいよ。
なんかすごい悲しい気持ちになるから。
あとねこの曲、すごい話が一つあって、この曲に出てくる人がエリナー・リグビーっていう老婆と、マッケンジー神父っていう老人なんだけど、その二人はポールが考えた、完全に架空の人物だったんだよ。だった「はず」なんだよ。
なんだけど、80年代にほんとにエリナー・リグビーと、マッケンジー神父の墓が発見される。もちろんガチの墓。
しかも何がすごいって、そのエリナー・リグビーの墓があったのは、ジョンとポールが生まれて初めて出会った、セント・ピーターズ教会の墓地っていう、、、
あーーー怖い、怖い。
3.I'm Only Sleeping
ジョン・レノン作詞作曲。これもほんとに大好き。
何を隠そう(?)、俺がこのアルバムで一番好きな曲だ。
というか、これは俺のことを歌ってると思っている。
歌詞の内容がそれの証拠。まず、この曲でジョンが言ってることを一言でまとめると、「寝たいから、ほっといてくれる?」これだけ。
全体的にそんなことばっかり言ってるんだよね。
特に気に入ってる箇所は、
Everybody seems to think I’m lazy.
I don’t mind, I think they’re crazy.
みんなが俺のことを怠け者だと思ってるみたい。
気にしないね。俺からしたら奴らが狂ってるよ。
lazyとcrazyで韻踏んでるし、なんか偉そうだし。すごく好き。
出だしから好きなんだよ。
タラランって、アコースティック・ギターの弦を撫でおろすような音から始まって、ジョンの気だるげな声が聴こえてくる。
この組み合わせで、すでに眠くなって、、zzz...
あと、ジョージが一生懸命弾いたギターを逆再生して、不思議な音を作っている。これがサイケデリック・ロックの要素として挙げられるけど、これ考えたのマジで天才だと思うわ。
あとはね、ポールのハモリもいいんだよな~~ほんとにジョンとポールの声のハモリって天才的で、この曲を聴くと本当にそう思う。ポールのベースラインもいいね。曲全体で一番目立つわけじゃないけど、邪魔しない程度にいい活躍してると思う。
あ、アコギもいいね。単なるリズム・ギターとして弾いてるんじゃなくて、変則的なリズムで弾いてて、それもこの曲の不思議感を増長させてると思う。この「不思議感」ってのが、俺はサイケデリック・ロックの真髄だって勝手に解釈してる。とにかく、すべてが最高です!!
そうそう、この曲をオアシスとステレオフェニックスがカバーしてて、そのバージョンも最高なんだよね。客席でストーンズのギターのロン・ウッドとオアシスのボーカルのリアムが女の子とチャラチャラしてて、全然真剣に聴いてないのもまたよし。一聴あれ。
疲れたんで、続きはまた明日で!