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芸術表現の自由の獲得、そして古い権威との闘いに大いなる説得力を与えるパワフルな原動力を古川雄大のダイナミックな演技の中に確認できる…★劇評★【ミュージカル=モーツァルト!(古川雄大・涼風真世・若杉葉奈出演回)(2024)】

 「天才」とは何か。それをミュージカルで探ろうとしたのである。なんという着眼点だろうか。天才だからアイデアは泉のように湧いてきて、けっして涸れることはない。依頼者のどんな難題にも対応し、たちまち作品を仕上げてしまう。そんなイメージを抱きがちな天才という存在を安易で順調なままの人生として描いたのでは何の説明にもならないし、クリエイティブな発想とは言えないだろう。そこで採り入れられたのが、天才のもとである「才能」という存在を取り出し、擬人化して、天才とされる人間の心の中に置いたのである。舞台作品だから、心の中という空間をいかようにも作り出せるはずだが、このミュージカル「モーツァルト!」では、才能は神童と呼ばれた子どものころのモーツァルトの姿かたちで、無尽蔵のエネルギーで曲を生み出し続ける存在として登場する。実際はモーツァルトは青年期以降に現代にも残る音楽を生み出し続けており、才能が枯渇したという事実はないが、この才能(あるいは子どものころの自分という幻想、分身)と闘い続けたことととらえることで説明できる史実も多く、納得できる設定と言える。日本での初演以来、日本のミュージカル界では再演ごとに中堅以上というよりは若手の成長株を抜擢し続けてきたこの作品に京本大我という新たな存在を得て、より洗練される中、モーツァルトの苦悩の表現がより深いところから引き出せるようになってきた古川雄大という大黒柱の存在はファンに限りない安心感を与えてくれる。そしてモーツァルトが短くも熾烈な人生を通して突き破ろうとした権威との闘いと芸術表現の自由の獲得のための闘いに大いなる説得力を与えるパワフルな原動力が古川のダイナミック運議の中に確認できる。(写真はミュージカル「モーツァルト!」とは一切関係ありません。単なるイメージです)
 
 ミュージカル「モーツァルト!」は2024年8月19日~9月29日に東京・丸の内の帝国劇場で、10月8~27日に大阪市の梅田芸術劇場メインホールで、10月4~30日に福岡市の博多座で上演される。
 
★序文はエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも無料でお読みいただけます。舞台写真はブログにのみ掲載します。

★無料のブログでの劇評は序文のみ掲載し、それ以降の続きを含めた劇評の全体像は通常はクリエイターのための作品発表型SNS「阪 清和note」で有料(300円)公開しています。なお劇評の続きには作品の魅力や前提となる設定の説明。古川雄大さん、真彩希帆さん、大塚千弘さん、涼風真世さん、山口祐一郎さん、市村正親さん、未来優希さんら俳優陣の演技や身体表現に対する評価、小池修一郎さんの演出や舞台表現に対する評価などが掲載されています。場合によっては、特定のスタッフワークについて言及することもあります。

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 なお、ミュージカル「モーツァルト!(2024)」はモーツァルト役とヴァルトシュテッテン男爵夫人役がダブルキャストでアマデ役がトリプルキャストであるため、さまざまな組み合わせが組まれていますが、劇評を掲載するのは【ミュージカル=モーツァルト!(古川雄大・涼風真世・若杉葉奈出演回)(2024)】と【ミュージカル=モーツァルト!(京本大我・香寿たつき・白石ひまり出演回)(2024)】のみとさせていただきます。すべての組み合わせをご紹介したいところですが、人気公演ゆえ、取材機会にも限りがございます。この組み合わせだけでは紹介できない方もいらっしゃいますが、また別の機会にご紹介させていただければ幸いです。ご容赦ください。
 
 ミュージカル「モーツァルト!(京本大我・香寿たつき・白石ひまり出演回)(2024)」の劇評は既に当ブログと<阪 清和 note>で公開済みです。以下のリンクで飛んで、ぜひご一読ください
 
★阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」ミュージカル「モーツァルト!(京本大我・香寿たつき・白石ひまり出演回)(2024)」劇評=2024.09.13投稿

★「阪 清和 note」ミュージカル「モーツァルト!(京本大我・香寿たつき・白石ひまり出演回)(2024)」劇評=2024.09.13投稿

 なお、ブログに掲載している舞台写真には、古川雄大、涼風真世、若杉葉奈以外の出演者の出演場面も含まれています。ご了承ください。
 
★ミュージカル「モーツァルト!」公式サイト

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