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神話から学ぶ世界を救う前に自分にやさしくすることの大切さ(偶然日記#13)

前回の記事「ブレるって悪いこと?ブレてこそ分かるブレてないこと(偶然日記#12)」では、

ブレることを気にせず自分探しをしていると、”何か”の周りを回っていることに気づく。ドーナツ型の足跡。中心は空。それが自分。たくさんブレることで自分という見えない中心が浮かんでくる。だからどんどんブレていこう。

という趣旨のことを書き、昨日今日も考えてみた。

たくさんブレることよりも、その一歩手前の「ブレることを気にせず」という点が大切かなと思った。

結果的に、モノやコトを産んでいると中心の磁場がハッキリと浮かび上がり、その磁場に色んな人が吸い寄せられて行くんだな、と思った。だから、具体的に「何をつくる」とか「何をやるか」とかを頭の中で詰めて行くのは程々に、「ブレる」ことを恐れずに中途半端でも足跡を残してみよう。

初めて自転車に乗る時のように、最初はどうしても頭で考えてしまうのは仕方ない。でも、最初の一歩が次の一歩の後押しになり、その一歩が次の一歩の後押しになる。その内に自然と頭で考えずに歩けるようになる。

初めて自転車に乗る時のように、信頼できる人の手を借りたって良いし、憧れの誰かに向かって、漕ぎ出してもいい。全部一人でやらなくたって良いと思う。


最近、街づくりやコミュニティづくりが流行っているけれども、農耕のために定住が始まったときから僕たちはそれをやっている。別に新しいことではない。その時々の社会に必要な組織を作ってきた。

僕たちは今、定住しなくても暮らしていける時代に入ってきている。さらに、狩猟をしていた時代は移動せざるを得なかったが、移動するか留まるかを選べる時代だ。ただし狩猟をするにはチームの前に個のスキルが求められる。

「組織」の前に「個」。「自分自身の命を守るスキル」、「自分自身を大切にするスキル」が求められているのではないかと思う。

ジョージ・ルーカスがスターウォーズのインスピレーションを得た比較神話学者のジョセフ・キャンベルが行った対談録「神話の力」で、彼は次のことを話した。

私たちの人間性を最もよく養い育て、開花させてくれるものはなにかを知り、それに自己を捧げなければならない。でも、天国なんてものはない。〈フォース〉を自分の内に見いださなくてはならない。だからこそ東洋の教えを伝える導師たちの「それはあなたの内にある。行ってそれを探しなさい。」という言葉は若者たちに絶大な説得力を持っているのです。

これを受けた対談相手のビル・モイヤーズの

自分の中ー暗闇の中ーにいる内なる怪物を倒すためにしなければならない旅ー魂の高い冒険ーとは、どういうものか?

という質問に対し、ジョセフ・キャンベルは、こう応えたのだった。

Follow your bliss.(自分の至福を追求しなさい)ということです。

さらにもう少し続けて、自分たちは英雄たちのような世界を救う旅路ではなく、自分を救う旅に出るのだと言う。

人々は、物事を動かしたり、制度を変えたり、指導者を選んだり、そういうことで世界を救えると考えている。ノー、違うんです!生きた世界ならば、どんな世界でもまっとうな世界です。必要なのは世界に生命をもたらすこと、そのためのただ一つの道は、自分自身にとっての生命のありかを見つけ、自分がいきいきと生きることです。

傍から見れば、僕はずっと「自分を救う旅」をしていたと見えただろう。実際そうなのだが、僕はそれをそのまま肯定するのは自尊心が邪魔して、「どんな世界を救うのか」というカッコいい大義名分づくりばっかりしていた。

ジョセフ・キャンベルの言葉に出会って1年。やっと僕は「自分を救う旅をしている。」と大手を振って言えるようになってきた。そしたら、大義名分づくりはどうでもよくなって、「自分を救う旅」を楽しむ時間が取れるようになった。とはいえ、「今までも楽しんどけば良かったな」という後悔も不思議とない。長い間、閉じていたからこそ、今ピュアに楽しめている。


※「神話の力」だけでも十分面白いですが、同じくジョセフ・キャンベルの「千の顔をもつ英雄」を先に読んでおくと、前提の知識を先に入れられるので、内容をより味わえると思います。

雄手舟瑞の過去の話をベースにしたフィクション「雄手舟瑞物語」と雄手舟瑞の今を書くエッセー「偶然日記」を毎日交互に更新しています。よろしければご覧ください


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