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逃げて乾かせ、ランドリー

コインランドリーに置いてあるテキトーなグルメ漫画を読んでいるうちに雨が止んでいた。
帰りにコンビニに立ち寄って、冷やし中華とヨーグルトと新発売らしき缶ビールを買って、ササっと風呂に入っていたら、さっきの漫画の内容なんてすっかり忘れていた。
人生なんてそんなもんだ。

そういえば、コインランドリーで大量の下着を乾かしていた女性。歳のころは23歳ぐらい。一体何者なんだろう。
見るつもりはなかったけれど、下着の大半はピンク色だった。ヒモっぽいのもあった。もちろん、見るつもりなんてない。見えただけだ。

地元の同級生がひき逃げを起こして、逃走していると母親から連絡があった。「あんた、まさか匿ってないやろね」と。
たまの連絡は物騒な知らせが多い。

中学校が同じだったそいつは、クラスが一緒になったこともないし、何部にいたのかも知らない。俺はバドミントン部で体育館にいた部活の人は知っているから、外の部活か帰宅部だろう。
母親はほんとおせっかいだ。

風呂を上がると、ひき逃げ犯はコインランドリーで乾かしたばかりの俺のパジャマを着ている。
やっぱり、母親っておそろしい。

俺は、今朝からこいつを匿っている。中山君だ。

中山君はひき逃げで人を殺したぁぁと泣きついてきたが、母親の話ではなんとか意識を取り戻し、一命をとりとめたようだ。

それを中山に伝えてよいかわからない。

しばらくして、さっきコインランドリーであったピンク下着女性がやってきた。連絡先を交換した俺が呼んだのだ。
聞けば、お金に困っているようなので、料理を作ってもらうことにした。
ホントはもっと違うことをお願いしようとしたけど、断られた。

なんだか、よくわからない3人の生活が始まった。



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