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人の生き方が知りたい

「どんだけインタビューが好きなんや、俺は」

時々そう思います。仕事で年に50件ほど取材をしている(今年4月以降はわずか2件ですが)うえに、歴史上の人物を対象とした架空のインタビュー記事を年に40本くらい書いていますから、自分でもちょっと異常かなという気がしてきます。

これはおそらく、個人の生き方を知りたいという思いが非常に強いからでしょう。30年以上の年季を有する歴史マニアであり、読書は好きですがフィクションはほとんど読みません。若い頃からずっと、実在の人物が何を思いどう生きたかに関心を持っているのです。

その背景には当然、自分の人生についての迷いや悩みがあります。今の日本社会は自分に合っていないという感覚は、中学生の頃からありました。大学時代に将棋部でそこそこ活躍したことで自分への評価は一変したのですが、氷河期の就職活動で見事に打ちのめされました。それ以来ずっと、世知辛い社会で自分はいかに生きていくべきかというのは私にとって重大なテーマになっています。

そんな私ですから、インタビューライターという職業はまさに天職と言えるでしょう。前の会社では店舗取材が多かったので自分の適性を感じることはなかったのですが、今の会社では個人の経歴や志向について聞く機会が多くなり、取材がとても楽しくなりました。あらゆる人の生き方に関心を持つ私の姿勢が先方に伝わることで、さまざまな話を引き出すことができ、記事のクオリティが高まるという一面もあるはずです。

今となってはもうインタビューライター以外の職業は考えられません。そこは何の迷いもないのですが、困ったことに取材の激減によって別の悩みが生じています。このように悩みはいつまでも尽きないから、生き方のサンプルを1つでも多く入手したくなるのでしょう。

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