見出し画像

toBデザインのおいしいところ

マネーフォワードのデザイナーのセルジオです。

私が担当する「マネーフォワード クラウド」は会計業務、給与計算など、バックオフィスの業務を効率化するビジネス向けのプロダクト、いわゆるtoBプロダクトです。toBプロダクトは誰もが日常的に使うものではないため、toCプロダクトに比べると、どこか日陰のような存在というイメージがないでしょうか。しかし私はtoBプロダクトこそ、今最も楽しくおいしいデザインの領域ではないかと思うのです。

私が日頃、toBプロダクトのデザインをしていて感じる3つのおいしさについてご紹介します。

1. 荒野にオアシスを作るおいしさ
2. パズルを解くおいしさ
3. 世界を変えるおいしさ

1. 荒野にオアシスを作るおいしさ

業務プロダクトは、機能の充足が絶対的に求められます。そして、その機能は往々にして非常に複雑で難しいものです。業務フローを深く理解した者でないとその画面は作れません。そこで、よく起こる問題が二つあります。

・画面要素が多すぎて使いづらい
・迷路のようなナビゲーションで分かりづらい

それでも機能を満たしていれば、採用いただけるケースはあります。そして管理部門が選定し営業部門が使用するといったように、プロダクトの選定者が必ずしもプロダクトの使用者ではないケースもあり、使い勝手が悪くても我慢して使い続けるといったことが起こります。

それゆえ使い勝手よりも機能の追加が優先され、デザインを重視しない傾向がこれまでありました。toBプロダクトはデザインというものから取り残された、荒野のような領域だったのです。デザイナーからしてみると、これほどおいしいことはありません。力の見せ所です。荒野にオアシスが突然現れるように、使いづらさに疲れ果てたユーザーに癒やしの水をもたらすことができるのです。そしてデザインを取り入れたtoBプロダクトは、大きな競争優位性を発揮することになります。

2. パズルを解くおいしさ

画像1

荒野にオアシスを作るのは簡単ではありませんが、難しいからこそ、それは楽しいものです。

toBプロダクトは一般的にユーザーの課題が明確です。そしてそれはとても複雑なものです。これをデザインで解決したとき、まるで難しいパズルを解いたときのようなスッキリ感を味わうことができます。課題が難しければ難しいほど、その感動は高まります。toBプロダクトのデザインは、テーブルの上に広がった何千個の課題を、じっくりとひとつずつ整理していくような味わいがあるのです。

toCプロダクトの場合は課題が見つかりにくかったり、また正しい答えが分からないケースが多くあります。それゆえtoBプロダクトに比べると、このような感覚を味わえる機会は少ないように思います。

3. 世界を変えるおいしさ

私がtoBプロダクトのデザインをやっていて、一番面白さを感じるのはこの部分です。

このアクションを1秒短縮したら、どれほど世界が良くなるだろうか

画面要素の置き方次第で、ユーザーの手間を1秒でも短くすることは可能です。それは業務プロダクトのデザインをする上で必ず意識することです。1秒の短縮だとしても、その操作を1日に10回行うのであれば合計10秒です。1年間に250日仕事するとして、年間で2,500秒。仮に1,000人従業員がいる会社だとすると合計2,500,000秒になります。これは1日8時間として日付に換算すると約86日にもなります。

画像2

そこで生まれた時間で、ユーザーは新しい仕事に取りかかることができます。業務プロダクトの操作ではなく、もっと本質的でクリエイティブな仕事に時間に使うことができるのです。そしてそこで生み出されたアイデアは、世界をよくするかもしれない。そう考えると、少しのデザインが影響を及ぼす範囲はとても大きいのです。

今考えているデザインが、もしかしたら世界を変えることにつながるかもしれない。少し言い過ぎかもしれませんが、その広がりを感じられるのはtoBデザインならではのおいしさです。

まとめ

toBデザインの3つの「おいしさ」について触れました。決してtoCデザインよりもtoBデザインの方が面白いと言うつもりはありません。それぞれの魅力があります。ただ、toBデザインに対して距離を感じている人がいるとすれば、これを期にその魅力を感じていただけると嬉しいです。

1. 荒野にオアシスを作るおいしさ
2. パズルを解くおいしさ
3. 世界を変えるおいしさ

マネーフォワード クラウドでは、このおいしさを一緒に味わうデザイナーを募集中です!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?