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【短編小説】1+1=2の理由

教室の窓から見える地球を覆う程大きい空は今日もご機嫌。
大好きなママとパパにハグをしてもらった時と張り合うぐらいにだ。

『今日もご機嫌だね』

そんな言葉を心の中でかけてあげていた。

なんの反応もしてくれない空、
唯一反応してくれたのは先生ぐらい。

「授業に集中」
当然先生はお呼びではない。
授業中に空を見ていたのにはちゃんとした理由がある。

ぼくは今、疑問を持っているのだ。
それは算数の授業を受けた時。
『1+1=2』
なぜ、なぜ2なんだ?1ってなに?


この問題が小さな頭を今も悩ませている。
「質問のある人は先生に聞いてください!」
ぼくはこの言葉に甘えて先生達に聞きに行くことを決めた。


「1+1=2の理由…」
いまだにすっきりしない答えを求めて
歩いた僕は図書室の前にたどり着いた。


事務員さんに聞くと、どうやら"スウガクシャ"という仕事をしている人に聞けば分かるらしい。


"スウガクシャ"の棚に手を伸ばした。
手に取った本にはカタカナがたくさん並んでいた。


「ガリ……ガリ…⁇」
ガリレオ・ガリレイ、、
変な名前に目を引かれ、ページをめくると
大きくこう書かれていた。


『数学は神が宇宙を書いたアルファベットだ』


「…うちゅー……宇宙!!」

ガリ、ガリに聞いても1+1=2の理由は、
教えてくれなかったけど
1+1=2の理由を探したら
宇宙のことが分かるらしいことは分かった。

きっとすごいことなんだ…

胸を躍らせながら
ガリ、ガリの本を掴み
家まで走って帰った。
息を切らしながら、台所にいた母さんに言った。
「母さん!僕、スウガクシャになる!1+1=2の理由を、宇宙を、知りたいんだ!」

母さんは振り返り、まっすぐな僕の瞳を少しだけ見つめた後、笑いながら頷いた。


「そう、いいじゃない。」