講座メモを財産に書き続ける──ビジネスライター講座・受講者インタビュー
書いた原稿に、しっかりフィードバックをもらえる環境がない。だから、いつまでも自分の文章に自信が持てない。この先どうスキルアップすればいいのか。自分に足りないものは何なのか。成長意欲だけが空回りする。
ライティングのスキルアップの方法に迷い、日々悶々と過ごしているライターさんは少なくないように思います。「仕事としてインタビューライティングを続けていきたいライター」さんが、思考と実践からライティングを学べる場を作れないだろうか。そうした思いのもと、sentenceは2021年11月から約2か月にわたり、「ビジネスライター講座」を開講しました。
クライアントワークにおけるライティングの心構えをレクチャーする「座学」。座学で学んだことをもとに、各受講生が取材から執筆まで行う「実践」。講座はこの2パートで構成され、受講生は「座学」のみ、または「座学+実践」のいずれかのプランを選択して受講しました。
座学パートを受講した藤森ユウワさんに続き、今回は座学・実践パートを受講した、赤錆ナナさんをインタビュー。
講座のなかで「講座時間内では昇華しきれないほどの量と、質の高いフィードバックをもらったことは初めてです」と発言していたのが、印象的だった赤錆さん。講座でどのような学びを得て、現在その学びをどう生かしているか、また今後の展望について伺いました。
自己流で仕事をする不安。書くことへの「おそれ」に共感し受講へ
——約2ヶ月にわたる講座お疲れ様でした! 改めて、ビジネスライター講座を受講した理由を教えてください。
もともとはエンジニアとして働きながら、副業でライターをしていました。2021年の11月から、本格的にフリーランスのライターとして活動を開始。講座が開かれることを知ったのは、ちょうどライターとしてのキャリアを積んでいこうと決意したタイミングだったんです。
副業でライターを始めた当初は「書くことや読むことは嫌いじゃないし、やってみようか」ほどの軽い気持ちでした。そのためこれまで、編集プロダクションなどに所属した経験もなく、クライアントから執筆を依頼されてから校了するまでの一連のやりとりも手探りの状態でした。
読み手の心に届く原稿を書けるようになりたいのに、自分には何が必要なのかも分からない。全くの独学でライターとして仕事をするには不安があったため、受講を決めたんです。
——そうだったんですね。数あるライティング講座のなかで、sentenceを選んだのはなぜですか?
信頼感があったからだと思います。もともとsentenceのコミュニティには参加していて、運営メンバーの方々が、書くことに真摯に向き合っているのを感じていました。
講師がコミュニティ運営メンバーの1人であり、フリーライターとしても活躍する西山武志さんだったのも大きな理由です。
以前、西山さんのインタビュー記事を読み、「書くことはおそろしい」という考えに大変共感したんです。
インタビュー記事を書くときは、どうしても取材相手の人生の一部を切り取ってしまう。私自身初めてインタビュー記事を執筆した際にも、同じような思いを抱いたことがあり、西山さんの言葉が胸に刺さりました。
書くことのおそろしさを実感すると同時に、「おそれを持っていることは悪いことじゃない。むしろ持っていてもいいのかもしれない」と思えたんです。書くことにおそれながらも誠実に向き合う西山さんから、ライティングを学びたいと思いました。
常に「目的に資するか」を問いながら書く
——赤錆さんは、座学・実践の両パートを受講しました。実践のパートでは、「採用支援のためのインタビュー記事」をテーマに、4回の講座を通して、実際に取材から記事完成まで一連の流れを経験したと思います。書いた記事にフィードバックをもらい、ブラッシュアップを繰り返したことで、どのような学びがありましたか?
フィードバックは受講者からと講師から、二回に分けてたくさんもらいました。そもそも記事に赤入れをしてもらった経験が少なく、数え切れないほどのフィードバックをもらえたことは単純に嬉しかったです。
なかでも「読者視点」についてのフィードバックは勉強になりました。例えば、第一段落の終わりの文章に対して、以下のようなコメントを西山さんからもらいました。
そのフィードバックで、読者視点を持つということは「なるほど、こういうことなのか」と気がついたんです。確かに、これまで読者視点を持とうと心がけてはいたものの、具体的にどのように考えて、どう書けばいいのかは分かっていなかったなと。
段落の冒頭や終わりにこのような文章を置いたら、読者にどのような読後感を与えるのだろうか。伝えたいことを的確に伝えるにはここでこの言葉や表現を使うことが最適なのか。「読み手の視点を持つ」ということは、そのように具体的に、緻密に、文章に対して考えることだと理解でき、大変勉強になりました。
——座学だけではなく、実践パートも受講したからこそ学べたこともありそうですね。
そうですね。一番印象に残っているのは、西山さんが折に触れて言っていた「『目的に資する』文章になっていますか」という言葉。つまり、「その文章は、記事の目的に沿って書かれたものなのか」という問いです。
もしかすると、ある本でこの言葉を見つけても、気に留めず流してしまう可能性があったかもしれません。その点、講座では大事なポイントは何度も繰り返してくれました。そのおかげで自然と脳裏に焼きついていきました。
座学では、ビジネスライティングの心構えを学ぶなかで、「目的に資する」文章を書く大切さを学び、
実践で自分で書いた原稿に赤を入れてもらったからこそ、より具体的に理解できたのだと思います。実際、原稿でもらったフィードバックは、「この文章は目的に沿ったものになっているかどうか」という観点からもらったものが多かったです。
一つひとつの言葉や文章の並べ方、情報の取捨選択は「目的に資する」ものになっているか。「なぜ、ここにこの文章を書いているのか?」と問われたら、「〇〇という目的から、ここを読んだ人に××と感じてもらえるよう、▲▲のように書いています」と、答えられるくらいに、理解して書くことが重要なんだと実感しました。
講座のメモを胸に、社会から求められるようなライターへ
——講座後、普段のライター活動で何か生かせたことはありましたか?
今は原稿を書いたり推敲をしたりする際に、受講時にとったメモを度々見返していますね。自分の文章に、自分だけで赤入れするのは難しい。自分がやりがちなミスや、編集者の視点に立ち、文章をよりよくするためのポイントを振り返っています。講座でとったメモは、仕事として文章を書くための大事な観点が溢れていて、この先私がライターとして生きていくための「財産」になったなと思います。
——ライターとして成長する糧を得たんですね。赤錆さんが講師や受講生のフィードバックに対し真摯に向き合い、必死にメモをとっていた姿が印象的でした。今後講座が開かれるとしたら、どのような方におすすめしたいですか?
クライアントワークの心得を学べる点だと、ライターだけでなく、広報や営業など仕事で「書く」に触れる機会がある方々にとっても、受講する価値があると思います。
誰かと一緒に仕事を進める際は、どれだけ相手のことを考えられるかが大事です。本講座ではクライアントワークが中心となるビジネスライターとして、どのような心構えでいるべきか、クライアントとどのように要件を握っていくのかを学びました。
しかしこれはライターに限った話ではなく、クライアントワークを行う誰しもがその視点を持って働けるといいなと思っていて。お互いのことを思いながら仕事をすることが当たり前になれば、誰しもが気持ちよく仕事ができるようになるんじゃないかと思います。
——ありがとうございます。最後に赤錆さんの今後の展望を教えてください。
ライターとして経験を積み、安定してお仕事をいただけるようになることが直近の目標です。誰かの心に灯りをともす温かな文章や、社会に少しでもプラスのインパクトを与えられるような記事を書けるよう、精進していきます!
・・・
フィードバック一つひとつに、丁寧に向き合っていた赤錆さん。普段フィードバックが当たり前ではない環境だからこそ、講座では可能な限り学びを吸収し、得た学びをこれからの仕事に最大限活かしていく。そんな姿勢から「一つひとつの学びを取りこぼさず、学び尽くすぞ」というライティングを学ぶことへの熱意がひしひしと伝わってきました。今後、ライターとしての赤錆さんの活躍を応援しております。
▼ ビジネスライター講座の第2期を5月26日(木)から開講いたします。
藤森さんが受講されたビジネスライター講座の第2期を5月26日から開講予定です。講座にご興味のある方はぜひ下記noteをご覧ください。
また、講座開講に先立ち実施した説明会のアーカイブ動画がありますので、希望される方はPeatixのチケットをお申し込みください。説明会では、講師の西山さんによる講座の説明に加え、第1期の受講生さんにもお話いただきました。
説明会アーカイブ動画や講座へのお申し込みについては、下記noteをご覧くださいませ。みなさまのご参加をお待ちしております!
(ライター:フジカワ悠、編集:中川明日香)
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