センジュ出版ブランドストーリー
センジュ出版は2015年9月創業。
あと2年で10周年というタイミングでリブランディングを進めたこの会社の、創業前からのストーリーを記しておきます。
本と共にあった少女時代
まず代表である自分の話を少しだけ。
1975年に福岡県鞍手郡(現在は宮若市)で生まれた私は、
小学校に上がる1年前に家族で東京北区に移り住み、
2000年には一人で足立区西新井で暮らすようになり、
2006年、結婚を機に足立区千住に引っ越し、
その後出産を経験。
千住に住み始めて9年近く経って、職住接近させようと自宅のそばに立ち上げたのが、土地の名前を預かった「センジュ出版」です。
幼い頃。
小学生時代は学級委員を務め、謝恩会のシナリオ、演出を手がけるなど、活発な子どもの面が主立っていました。
6年生になって、本をいつも買い与えてくれていた母から手渡されたのが、ミヒャエル・エンデの『モモ』。
この本がその後、自分の人生に大きく影響していくことを、この頃はまだ知りません。
中学に入ってすぐの頃は、頼まれもしないのに図書委員として書籍を紹介する壁新聞を毎月作成してクラスに掲示していたり、高校に入って生まれて初めてのアルバイトは、北区王子駅そばの「ブックストア談」での書店員と、本がすぐそばにある毎日。
日本大学芸術学部文芸学科に入学してからは、本を読み、文章を書く日々です。
一方でこの頃、卒業後の進路を考えることをきっかけに自己の振り返りをする上で心理学への興味が深まり、それを皮切りにレターカウンセラー養成講座を受講したり、児童養護施設や肢体不自由者の通所施設などでのボランティアに関わったり。
『モモ』の傾聴の意義を再確認したのは、この時です。
学校を卒業して初めての勤務は、高齢者向け福祉施設向け専門誌編集部。
その後、編集プロダクションや出版社などで書籍、雑誌、広告、WEBの、企画、編集、ライター、編集長職や取締役を経験し、東日本大震災と出産を経て独立しました。
なお、私自身の詳しいプロフィールはこちら。
あわいを、問い続けるセンジュ出版
2015年、自宅そばに「株式会社センジュ出版」を創業。
「しずけさとユーモア」を大切にするをモットーに、書籍を作る傍ら、事務所併設ブックカフェの営業、文章講座、本を届けるイベントを手掛けてきました。
創業の頃はどこか、資本主義に対するアンチテーゼといいますか、『モモ』に出てくる時間どろぼうに抗おうとしながらも少しずつ、時間どろぼうの足音が近づきつつあったと思います。
少しずつ息が上がり始めた2019年末より、昼間の出版社の営業の後に間借り型のブックスナックを営業開始。
しかし翌2020年、コロナウィルスの蔓延により事業見直しの必要に迫られ、ブックスナックは年末に間借りを解消。
この頃財務に関わる新たな出会いが生まれ、少しずつ会社の方向性を整理し始めた2021年末、地域の経営者よりまちの共有地の運営管理を任されることが決まり、再び本のある場所をプロデュースすることに。
「空中階」と名付けられたそのスペースは、2022年4月に全国からの支援を受けてオープンし、現在も全国各地からご利用が続いています。
この機会に前後して、これまで著者に対して行なっていた「対話」を、企業に向けたサービスをスタートさせ、
哲学対話の講演会やセミナー、企業のブランディングも事業展開することに。
編集と対話と本を掛け合わせながら、サービス設計を整えていきました。
同時に自社のブランディングも進み、2023年2月、「あわいを、問い続ける。」とブランドコンセプト、つまりセンジュ出版の「やくそくごと」に掲げてコーポレートサイトをリニューアル。
ブランドステイトメント、つまりブランドの価値観、考え方を明文化して、こちらを書き下ろしています。
併せて、この企業の「しめい」「ついきゅう」「かちかん」を言葉にすることに。
しずけさとユーモアを大切にする。
私たちは日々、本を読んだり、文章を書いたり、本を編んだり、自分や他者の声を聞いたりしながら「しずかな」時間を楽しみ、それらの時間から生まれてくるチャーミングで「ユーモア」あふれるひとときを他者と共に面白がる自分たちであろう、そんな「かちかん」を持っています。
本は対話を促す。
しずけさの中に身を置くと、自然と「こえ」が聞こえてきます。
自分のこえ、他者のこえ、過去のこえも、未来のこえも。
そして、ユーモアをポケットに入れて、目の前の人からもそのこえを聞き、自身のこえを伝えると、それはそのまま「対話」になります。
そんな対話を支え、潤滑油となってくれるものはいくつかありますが、センジュ出版では中でも「本」を大切にしている会社です。
本を書く人はしずかに自分と対話しています。
本を読む人はしずかに本と、自分と対話しています。
そんな本と触れていると、読み手に、書き手に、編み手にも、さらなる対話を促してくれる。
私たちはそれを信じて、「ついきゅう」する会社です。
対話の先にあるのは上機嫌
では、対話の先には何があるんでしょう。
その話をする前に、センジュ出版が創業してから今日までのことをお伝えしておきます。
センジュ出版はずっと、「モモ」になりたいと願った出版社です。
創業してすぐから、代表である私はモモになったような気分で、ブックカフェのお客様と、著者と、読者と、文章講座の受講者と、読書会の参加者と、そしてスタッフと、一人ひとりに向き合いながら話を聞き続けました。
ただ、今振り返ると、自分のこえ、家族のこえに耳を傾けることを少し後回しにしていたような気もします。
コロナ禍で希望を失いそうになり、自宅にこもっていた数週間。
これまで他者のこえを聞き続けた私はようやく、自分のこえに耳を澄まします。
きっかけは、社内外のスタッフ達からの「この会社はどこからきて、どこに向かうつもりなのか、そろそろ言葉にしてほしい」とのクレーム(苦笑)。
スタッフとの話し合いを何度も何度も重ねて言われたことは、
「センジュ出版はずっと、目の前の人と対話をしていましたよね。この会社はこれまでもこれからも、『対話』する会社なんじゃないですか」
との一言。
振り返る。前を向く。その足元に続く道に、立て看板があるのに初めて気づいたような気持ちでした。
「ここは対話の道」
と。
そこからは、センジュ出版の対話が何を指すのかを考え続けました。
対話にまつわる本を何冊も読んでも、その答えは記されていません。でも、ガイドとなる言葉は数多くありました。
そうやってたどり着いたのが、ブランドコンセプトの「あわいを、問い続ける。」。
私たちの対話は、理性と感性の対話であり、そしてその間にある重なりを求めて、ずっと問いを重ねるものだと、腑に落ちました。
対話ですこし、機嫌よく。
では、なぜ、その問いを重ねるのか。
この対話の先に、ほんの少し。
自分の機嫌を自分で取ることができる人が増えるからです。
支配されず、誰かの常識や、他人にとって都合のいい何かから距離を持って、
私たちはひょっとしたら、自由でいられる。
何が嫌で、何が好きですか?
何が得意で、何が苦手ですか?
あなたはどんな人ですか?
言葉にして、誰かに伝えて、お互いの対話が循環していったなら。
この世の中に、少しずつ、自分の機嫌を自分でよくできる人が増えるかもしれない。
そんな世界を見てみたい。
センジュ出版の「しめい」。「対話で少し、機嫌よく」。
人はいつも機嫌よくいることが難しいからこそ、機嫌よくいられる世界を、社会を、地域を、会社を、自分を目指して、一つひとつ。
センジュ出版との対話
最後に、センジュ出版との対話を体験くださった方々からのご感想を紹介して終わりにします。
皆さんと対話できたこと、嬉しかったです。本当にありがとうございました。