今日から始められる問題解決の基本
仕事の本質は問題解決にある。人はめんどくさいと思えることを、それを得意な人にお願いすることで、その対価を支払い、解決しようとする。とても当たり前のことだ。とても当たり前のことなのだけれども、それは実に樹海のように奥深く、宇宙のように未だ謎めいている部分が数多くある。
これまで成果を上げることを生業とする多くの職業の方々と密接にさまざまな問題解決の場に居合わせたが、大きな成果を上げる場合には決まった共通点があったように思う。それを言語化することは、きっと未来の誰かの役に立つはずだ。
万能薬というほどの絶対的なものではないかもしれないが、ビジネスに限らず、私生活においても世の中の殆どの問題はこのアプローチで解決策を導き出すことができると思う。(解決できるとは言っていない)
1,一本筋の通った理想の仮説を立てる
まず最初に行うことは、一本筋の通った理想の仮説を立てることだ。あくまで理想で構わないし、仮説で構わない。出オチ感はあるが、これがめちゃくちゃ大事なのだという話を論理立てて後ほどする。
余談1.
ここで問題になるのは理想を洗い出すためには理想のバリエーションを手札として豊富に持っていなければ、選択肢に入ってこないということだ。選択肢を手に入れるために数をこなし、学ぶ必要がある。
余談2.
理想が無いままいきなり分析に入り、ボトルネックを見つけて穴を埋めるような実行をしても、応急処置には役立つが効果は制限されてしまう。このままでは大きな成功はありえない。
2,理想の仮説をセクション毎に小さく分けて、出来る出来ない(やりたくないなどの価値観も含む)、コスト(お金も時間もコスト)がかかるかからない、の四象限で表し、それぞれを因数分解する
コストがかからず出来ること、そして効果が高いと思われるものから始める。図でいうところの左上Aが最優先で取り組む事案になる。常に何が一番素早く、且つレバレッジがかかるかを天秤にかけて選択していく。問題解決に限らず、行動の基本は、コスト(金、時間)をかけるな知恵を使え、だ。
余談3.
知らない単語を話すことはできないのと同様に、多くの選択肢を手に入れるためには、実際に数をこなす(1日は24時間と制限がある)、擬似的に数をこなす(書籍や事例、他人の経験でポジションを取るなど、いわゆる素振り。実際に数をこなすより効果は薄いが幅を広げるのにはかなり意味はある)、この2つしかない。特に後者は自助努力に委ねられる部分が大きい。実際に数をこなそうが、擬似的に数をこなそうが、あなたが取れる選択肢はあなたが血肉としたものだけだ。自分の経験のみならず、他人の経験ですら自分のものにするくらいの意識がある人はそうでない人と比較すると加速度的な成長を辿る。
3,ここで初めて分析、そして実行
現在のフローを分析し、新たに立てた仮説と比較することで抜けている個所を付け加え、明らかに不必要な箇所を大胆に排除する。また、既存の取り組みの中でも重みづけの間違っている個所を変更する。もし、チームで取り組んでいる事項なのであれば、必ず関わる人間すべてと認識合わせを徹底する。あとは素早く着実に実行に移す。
4,仮説通りに推移しているかを早期に確認
その後、必ず早い段階で成果が思い通りになっているかを確認し、必要があれば戦術に変更を加える。実データが仮説から大きく乖離している場合には戦略の見直しも検討に入れる。基本はこの高速回転。やりっぱなしは害悪でしかない。特に改革を行った直後はさまざまな個所に負荷がかかっているので、新たに変更した個所をさらに良くしようという力学は多くの場合働きにくい。元来人間は怠惰な生き物だということを忘れてはいけない。
余談4.
「いついつまでに」といった形で期間で区切るのは最善ではない。少ないデータで判断できる人が素早く成果を上げる。早ければ早いほどにコストは安く済む。1分早く動ければ1分早く儲かるし、1分早く儲ければ1分早く拡大できる。1分早く拡大できれば1分早く還元できることを忘れてはいけない。
余談5.
チームで取り組んでいる場合、抜けている個所には比較的気づきやすいが、元々あるが実際に不必要なものを排除したり、重み付けを軽くしたりするのはハレーションの観点から難易度が高い。誰でも自分たちがこれまでこなしてきたことを無駄だと一蹴されるのはいい気がしないからね。感情にも寄り添いつつ、場合によっては時間をかけてでもなくしていく方が良い。最終的にはマインドを変えてもらうしかないが、マインドを簡単に変える方法は早期の圧倒的な成功体験だ。
余談6.
戦略、戦術に変更を加える前に時間軸の概念を念頭に入れることを忘れずに。世の中には取り組みからすぐに成果が現れるものAのようなものと、なかなか成果に現れずにじわじわと複利のように効くものBのようなものがある。
特に人間関係の問題や組織の問題は圧倒的に後者であることが多い。それらの多くの場合、仮に正しい打ち手だとしても成果を実感するまで待てずに戦略の変更を行ってしまうことも少なくない。こればかりは時間軸の概念を持つしか対策はない。問題はいつでも平面ではなく立体的であり、奥行きがあるということを忘れてはいけない。
まとめ
長々と書いてしまったが、そんなに難しいことを言っているわけではない。
一本筋の通った理想の仮説を立てる
理想の仮説をセクション毎に小さく分けて、出来る出来ない(やりたくないなどの価値観も含む)、コスト(お金も時間もコスト)がかかるかからない、の、四象限で表す。コストがかからず素早く出来ること、そして効果の高いと思われるものから始める
分析。現在のフローを確認し、仮説と比較し抜けている個所を付け加え、明らかに不必要な箇所を大胆に排除する。また、既存の取り組みの中でも重みづけの間違っている個所を変更、関わる人間との認識合わせを徹底する
その後、早い段階で成果が思い通りになっているかを確認し、戦術に変更を加える。場合によっては戦略の変更も考える。
基本はこの高速回転
肝は、分析の前に理想の仮説を導くことだ。これを忘れると無駄な時間を過ごすことになる。
つまりだ、分析の前に仮説を持って臨めば、その仮説が当たろうが外れようが大いなる学びを手に入れることができるということだ。一方で、仮説を持たずに問題解決にあたってしまっている場合は、本当の意味での問題解決にはなり得ず、あなたはその事象から何も学ぶことが出来ないということになる。取り組んだことはその場しのぎの応急処置的な止血のようなものに過ぎない。場合によっては無駄な時間を過ごしたと言ってもいいだろう。その手の人はこの構造に気づくまで、永遠にまた同じ過ちを繰り返す。
何故なら、世の中には全く同じ問題というものはほとんど存在しないからだ。繰り返しになるが、問題はいつでも平面ではなく立体的であり、奥行きがあり、そこには複雑な時間軸が関わってくる。
その代わり、同じような"構造"を持った問題は無数に存在する。すべての物事は構造を理解することで汎用性を手に入れることが出来る。逆に言えば、構造を理解しなければ、汎用性は手に入らないということだ。汎用性を手に入れたものだけが大きな成果を上げる。これは普遍の真理の1つだと思う。
分析の前に仮説だ。それを用意するだけで、驚くほどの学びを得られる。ラーニングが加速する。私が保証する。
余談7.
「例え話が上手い人は仕事ができる」と言われる所以は、物事を構造で捉えることができていて、汎用性を発揮している証拠なのだ。
余談8.
「同期などと同じ時間を過ごしたのにいつの間にか圧倒的な差が開いてしまった」と思ったことはありませんか?その真実はたったこれだけの差なんです。意識の違いと言ってもいい。
余談9.
分析の前に理想の仮説をなんてそんなのあたり前だ!と思った皆さん、自分のあたり前を言語化して、部下やチームのメンバーに共有したことはありますか?自分の当たり前は他人の当たり前ではない、と理解することが全ての始まりなのかもしれないですね。
※こんなことを毎日のように話してます。一緒に働きませんか?
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