近藤 誠司

運用設計エンジニア、運用コンサルティングなどをやっています。趣味は小説書き。第47回埼…

近藤 誠司

運用設計エンジニア、運用コンサルティングなどをやっています。趣味は小説書き。第47回埼玉文学賞正賞受賞。

マガジン

  • K-model の記録

    株式会社K-model を立ち上げたときの話をまとめています。

  • メンタルを考える

    エンジニアのメンタルを保つ考えをまとめてみます。

  • ITILプロセスを考える

    ITILプロセスを実際に検討する場合の考え方をまとめていきます。

  • セキュリティ運用設計

    セキュリティ体制、SOC、CSRITについて考えたことや思ったことをまとめています。

  • 「運用改善の教科書」未収録コラム集

最近の記事

コロナ激震、2冊目の書籍、個人事業主で大切なこと

個人事業主になるのは簡単だ。 Freeeなどのアプリを使って必要項目を入力して、完成した書類を税務署に持っていけばいい。 入力ミスなどは窓口でチェックの時に教えてもらえるので、必要なのはわからないことをわからないまま窓口に聞きに行く勇気だけである。 無事に個人事業主になった僕は、元の会社で違う立場で働き始めた。 これが驚くほど性に合っていた。 働いてお金をもらう。 もらったお金から税金や社会保険料や経費を払う。 手元にお金が残る。 これが給料だ。 すべてのお金の流れがクリア

    • 書籍の出版と退職、そして個人事業主になる。

      2019年の8月。 「運用設計の教科書」を出版した。 その時、僕は控えめにいって怒り狂っていた。 業務で得た知識を書き記したので、何かあった時に社員を守るため。 ということで、著作権が会社になったのだ。 長い交渉をして、権利は会社だが著者には自分の名前を載せてもらうことを勝ち取った。 勝ち取った、と書くにはあまりに小さすぎる報酬だ。 この小さな報酬のために、僕は疲れ果てていた。 1年半、毎晩のように深夜のファミレスに通って書いた分身のような本である。 この書籍の権利は僕にと

      • 序章:四十にして惑う。

        かんたんにいうと、40歳になって人生に絶望していた。 3年前にサラリーマンを辞めて、個人事業主になった。 その後、いろいろと良縁に恵まれて仕事は順調だった。 収入は3年間増え続けているが、限界は見えていた。 僕の本業はコンサルタントなので、1時間当たりの単価で収入がほぼ確定する。 この単価の上限はいくらで、1か月160時間働いたとして最大の収入はこれぐらいという額が3年目にして完全に見えたのだ。 コンサル仕事を求められるだけ続けて、60歳か70歳まで続けてこれぐらい稼ぐ。そ

        • 曖昧さ耐性と役割

          曖昧さ耐性とは、心理学で「曖昧な状況をどのぐらいそのまま受け入れることができるか?」と定義されています。 運用設計や改善という活動において、この「曖昧さ耐性」が意外と重要になってくるのでそのあたりをまとめてみたいと思います。 曖昧さとは 株式会社ビジネスリサーチラボ 代表の伊達さんが、コラムの中で曖昧さには2つの要素があると定義しています。 運用設計を行う上でも、この2つの曖昧さはよく出てきます。 多義的であることは、依頼が抽象的であると言い換えることができます。 お

        コロナ激震、2冊目の書籍、個人事業主で大切なこと

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        • K-model の記録
          3本
        • メンタルを考える
          3本
        • ITILプロセスを考える
          4本
        • セキュリティ運用設計
          4本
        • 「運用改善の教科書」未収録コラム集
          5本
        • いまこそ、運用チームを見直そう!
          6本

        記事

          普遍的なスキルを習得する方法

          スキル分類の代名詞的な分類にカッツモデルがあります。 カッツモデルは、役職があがるとテクニカルスキル(職務に必要な技術)よりもヒューマンスキル(対人関係能力)やコンセプチュアルスキル(その物事が何であるかをとらえる能力)が必要になるという理論で、1950年代にロバート・カッツさんがアメリカで発表されて以来、あらゆる場所で引用されている考え方です。 中堅を過ぎたあたりのサラリーマンで、「あの人はできるな」と呼ばれる場合、ほとんどの場合はヒューマンスキルとコンセプチュアルスキ

          普遍的なスキルを習得する方法

          実践 システム運用設計講座(オンライン)

          今年の下半期に向けて、「実践 システム運用設計講座(オンライン)」の募集を開始しました。(とか書きつつ、実は年中受付していますw) 下期の教育予算の使い道に迷っている方、運用設計なんていかがでしょう? ホームページの内容を更新したので解説させてください。 実践 システム運用設計講座とは? この講座は、2019年ぐらいから「運用設計を丸ごと体験できる研修」として開発を開始して、早5年目になります。 その間、本当に各所でやりました。 ある時期は毎週のようにやり続け、アンケー

          実践 システム運用設計講座(オンライン)

          知的好奇心の持ち方と行動特性

          研修やワークショップをやるうえで、参加して頂いている方のスキルなどを意識します。 何度も実施するうちに、スキルと呼ぶかは微妙ですが、その人がどんなタイプかを図る尺度として知的好奇心の持ち方というのがあるな、と感じるようになりました。 今回は「知的好奇心尺度の作成」という論文を読んで考えたことをまとめていきたいと思います。 まず、「好奇心」は学業達成に対して、「知能」「勤勉さ」に続く3番目の影響力と言われています。 それは、仕事における「業務遂行」でも同じと解釈できます。

          知的好奇心の持ち方と行動特性

          運用項目の起源

          運用項目(運用中に実施する作業)が洗い出されるパターンはいくつかありますが、代表的なものは以下の3つがあります。 ① 運用要件に対応する まずは、企業の要望、事前にまとめた非機能要求、遵守する法令・規約などによって、運用項目が決まるというパターンです。 システムに対するレポートを毎週提出してほしいといわれれば、レポート提出が週次になります。 非機能要件として、リソース不足時の「サーバ処理能力増強」方針が「スケールアップ」で、その作業を運用でやる場合は「サーバのスケールアッ

          運用項目の起源

          「豊かさ」ドリブン

          皆さんのお陰もあり、株式会社K-modelも第一期が無事に終わりました。 はじめての経営に四苦八苦しながらも、昨年はK-model の法人としての人格を言語化する年でもありました。 いま流行りのMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)みたいなことはホームページに書いてありますが、それよりももうちょっと抽象的に大切にするべき会社の意義とは何なのかを考えていました。 せっかく会社の代表をしているのだから、出来るだけ自分が納得できる形で仕事をしていきたい。 そんなことを考えながら

          「豊かさ」ドリブン

          2023年を振り返る

          「今年も一年、早かったですねぇ」と、年末はなんとなくみんなに合わせて言っていましたが、いざ振り返ってみたらめちゃくちゃ長かったと感じました。(嘘ついてすみませんでした!) 法人設立一年目ということもあって、もう、怒涛のような毎日でした。 記録の意味も含めて、忘れないように振り返っておきたいと思います。 2023年1月 2023年1月23日に「株式会社K-model」を設立しました。 4月に契約を切り替えるので、この時はまだ作っただけで寝かせている状態です。 あとで政策金融

          2023年を振り返る

          SaaS運用を考えるの巻

          SaaSを利用すると、基本的には基盤運用の項目が激減します。 パッチ適用も減るし、監視も減るし、システムバックアップもなくなるし、といった感じです。 ただ、SaaSは独自の運用観点もありますので、今日はそのあたりをまとめてみたいと思います。 SaaS選定 そもそも、まずは安全なSaaSを選定する必要があります。 使ってみたら思ったより止まりました。あと、情報流出してました。てへ。 ではすまされません。 そのあたりは経済産業省の「SaaS向けSLA ガイドライン」に詳しくあ

          SaaS運用を考えるの巻

          他人は変えられるのか?

          メンタルシリーズ第3弾です。 過去のブログはこちら。 他人と過去は変えられないのか? 精神科医 エリック・バーンや心理学者のアルフレッド・アドラーの名言として「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる」というのがありますが、これについては総論合意・各論反対という立場です。 他人のすべてを変えられないとしてしまうと、最終的には教育の是非を問われることになります。 教育に意義があるという前提に立つと、他人の何かは変えられるはずです。 過去については、あんまり信用

          他人は変えられるのか?

          運用設計のケンミンSHOW 極

          自粛期間に社会がリモート対応を加速させたおかげで、私の運用設計生活にも変化がありました。 これまでは関東を中心に仕事をしていたのですが、関東以外の企業で運用設計/運用改善を対応することが増えました。 書籍に書くほどではないTIPSなので、ここにまとめておこうと思います。 ちなみに、完全に主観なので異論・反論はご容赦ください。 ① 関東(主に東京) 関東、特に東京という街は多くの大企業の本社があります。 それらの大企業ビルヂングの明かりに引き寄せられるように、地方から人々が

          運用設計のケンミンSHOW 極

          【改訂新版】運用設計の教科書 オンライン立ち読み

          X(旧Twitter)に投稿した運用設計の読みどころをまとめておきたいと思います。 書店が近くになくて、内容を確認して買いたいけど立ち読みもできないというあなたに向けてお送りします。 運用設計の教科書はサービス導入までに決めることを書いています。 サービス導入後については「運用改善の教科書」を参照ください。 運用を業務運用、基盤運用、運用管理の3つに分類しています。 理由としては、それぞれで設計の型が違うからです。 分けて考えた方が整理しやすくなります。 ウォーターフォ

          【改訂新版】運用設計の教科書 オンライン立ち読み

          仕事と居場所について

          前回の続きです。 メンタルの話を聞くとき、その人の居場所について考えることがあります。 人間は社会的な生き物なので、どうしても居場所が必要です。 アメリカの社会学者レイ・オルデンバーグさんが、著書『ザ・グレート・グッド・プレイス』(The Great Good Place)で「サード・プレイス」というものを提示しています。(原文は英語なので読んでないです、申し訳ない) 「ファースト・プレイス」は、自宅などのその人が生活を営む場所。 「セカンド・プレイス」は職場で、おそら

          仕事と居場所について

          メンタルを保つということ

          定期的にメンタルの相談を受けることがあります。 なかには希死念慮に苛まれている人もいて、けっこう真剣に取り組まないといけないことも少なくありません。 いくつかのサイトで調べると、システムエンジニアがうつ病になる理由として、 納期などでオーバーワークになりがち 日光を浴びることが少ない 人とのコミュニケーションが少ない キャリアが不安定で学ぶことが多い などと書いてありますが、「さすがにそりゃ表層的すぎるだろ」と思いました。 細かい原因追及はキリがないので止めます

          メンタルを保つということ