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コロナ激震、2冊目の書籍、個人事業主で大切なこと

個人事業主になるのは簡単だ。
Freeeなどのアプリを使って必要項目を入力して、完成した書類を税務署に持っていけばいい。
入力ミスなどは窓口でチェックの時に教えてもらえるので、必要なのはわからないことをわからないまま窓口に聞きに行く勇気だけである。

無事に個人事業主になった僕は、元の会社で違う立場で働き始めた。
これが驚くほど性に合っていた。
働いてお金をもらう。
もらったお金から税金や社会保険料や経費を払う。
手元にお金が残る。
これが給料だ。
すべてのお金の流れがクリアになり、何にいくらかかっているか全部把握できる。
予算達成目標も自分で決められる。義務的な誰かのための目標設定もない。
やらなければいけないこと、やるべきこと、やらなくていいこと、すべて自分でコントロールできるのだ。
あれだけ怒っていた会社に対しても、お客さんになれば感謝が湧いてくる。

個人事業主になって痛感したには、僕が本当に欲していたのは裁量だったのだ。
案件の状況や信頼関係上で必要なしがらみはあっても、自分がやるべきでないと判断したら次の契約を結ばなければよいだけのことなのだ。
この裁量を自分に手繰りよせたことは、僕にとっては人生を自分に取り戻したぐらい大きなことだった。
これをおそらく、世間では自由と呼ぶ。
これからは自由に、自分の本性に合ったことをやっていこう!

と思った矢先の2020年4月。
世界は新型コロナウイルスによって揺れた。
経験したことのない激震だった。

日本中の企業はあらゆる予算を押さえ、無駄な出費を抑える方向に進んだ。
当然、吹けば飛ぶような個人事業主の僕は真っ先に切られる立場なことを理解した。
つかの間の自由だったと再就職を覚悟した時、契約している部長から、

「近藤くんはコストだと思っていないから、契約を切る事はないよ」

と言ってもらった。
一安心すると同時に、一層の忠誠心で仕事を頑張ろうと思った。
これが半年前に会社を辞めた奴の思うことなので、人間とはなんとも不思議な生き物である。
結果として、元の会社とはいまでも良好な関係のまま仕事をさせてもらっている。

新型コロナで良くなったこともある。
リモートワークが主体になったおかげで、時間の余裕ができて2冊目の「運用改善の教科書」を書き始める時間ができた。
2006年にIT業界に入ってから、ずっとシステム運用に関わる仕事ばっかりやっていた。
システム運用は重要な仕事に関わらず、IT業界では軽視されている。
運用は言われたことだけをやり続ければよいという、IT業界全体に蔓延している空気を吹き飛ばしたかった。

書籍を書くのは2冊目なので、サクッと書けるかと思ったが、結局また1年半かかった。
経験など関係ない。
僕が書籍を書き上げるには、どんな状態でも1年半かかるのだ。
ようやく「運用改善の教科書」を書きあげたころに、いろいろなところからセミナーや研修の依頼が入り始めた。
まだ2冊目は発売していない。
1冊目の「運用設計の教科書」が発売から1年半たってようやく反響が出始めたのである。
とにかく、なんでもかんでも1年半かかる。
これはコンテンツビジネスやサービス販売でもよくあることらしく、発売タイミングと顧客の認知行動タイミングはズレる。
僕としては2冊目の「運用改善」ことでいっぱいになっているのに、世間的には「運用設計」としての需要が増え始めたのである。

来た依頼はいったん全部受けて、急いでオンラインでの研修やセミナーのやり方を練り上げた。
これがビジネスの新しい柱になっていった。
それに伴い、取引先も増えてた。
企業コンサル案件も増え、単価の交渉もさせてもらった。
コロナ禍の厳しい時期だったが、個人事業主時代の2020年から2022年までの3年は右肩上がりで年商は増えていった。

ただ、そうなるとひとつの問題を抱え始める。
大きな企業は個人事業主との契約を行っていない場合が多く、僕と契約するためにいろいろな部署が「前例のない作業」を強いられることになる。
多くの場合は、その会社のトップからの一声を頂いて契約することになるのだが、それはそれで心苦しいものがある。

あと、個人事業主は社会的信用がほぼない。
これを残りの人生続けていくのか? という気持ちにもなる。
コンサルや研修を続けて、単価を上げていって収入を上げるという労働集約型のビジネススタイルに限界も感じる。
かといって、ようやく手に入れた裁量を手放してサラリーマンに戻る選択肢は、もうない。

そうなると、もう起業するしかない。
でも、起業ってなによ?

こんな時は、萬くんとキムに相談である。
サラリーマンから個人事業主になったときと同様、この二人への相談が僕の人生を大きく変えることになる。


話は少しそれるが、個人事業主としてもっとも重要なのは営業力だと思う。
技術力やスキルがあっても、営業力がないとITフリーランス仲介会社から紹介を受けて仕事をすることになる。
そうなると結局、会社で案件をアサインされるのと一緒だし、世のSESとあまり変わらなくなってしまう。
自分に興味を持った顧客に、自分を売り込む。
これができると、相手の期待値とこちらの能力の齟齬がなくて上手くいく。
そして顧客と金額を交渉する力がないなら、個人事業主でも自由な裁量を得ることは難しいと思う。

僕の場合は、書籍やブログを書いたり、セミナーや研修をやることがそのまま営業活動につながった。
結果論だけど、このプロモーション活動がなかったら今の状況はないと思う。
自分の単価については、自分で決めずに何人かの友人に「自分の適性価格」を相談して、その金額を交渉するようにした。
なんだか「自分で決めた額を交渉する」という状態に耐えられなかったので、「人に言われたから、これが適正価格に違いない」という金額を交渉する状態にしたのである。

このあたりの得手不得手はあると思うので、営業活動が苦手なエンジニアやコンサル屋に個人事業主はあまりお勧めしない。
それよりは志を同じくする会社を見つけて、その会社でパフォーマンスを発揮するほうが良いと思う。


そして、ブログの最後でこうやって研修を広告するのである。
興味ある方もない方も、見るだけはタダなんで会社のHPでも見てやってください。


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