世界史の現場探訪/英国駐在@えのもと

はじめまして、お越しくださりありがとうございます! 欧州を中心に世界史の現場を訪れてい…

世界史の現場探訪/英国駐在@えのもと

はじめまして、お越しくださりありがとうございます! 欧州を中心に世界史の現場を訪れています。高校時代に世界史が大好きだった自分のような学生さんや、元学生さんがロマンを感じる記事を書きたいと思っています。

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【自己紹介】世界史の現場探訪/英国駐在@えのもと

はじめまして、えのもとと申します。英国駐在中の会社員です。欧州を「中心に世界史の現場を訪れています。 高校時代に世界史が大好きだった自分のような学生さんや学生さんだった方がロマンを感じる記事を書くのが目標です。現場を訪れたからこそわかったことや考えたことを盛り込みます。 どうかよろしくお願いします! これまでの記事一覧を、国別にご紹介します。↓↓↓ 【イギリス】 【フランス】 【ハンガリー】 【ギリシャ】 【ポルトガル】 【オランダ】 【ベルギー】 【ソ

    • ドイツ旅)フランクフルト)神聖ローマ帝国とともに歩んだ街

      ドイツ南部のフランクフルトを訪れました。神聖ローマ帝国の起源、フランク王国の宮廷があり、皇帝の選挙と戴冠式の地であり、ドイツ国民のナショナリズムが結実した国民議会の地であります。帝国とともに歩んだ街の現場を巡りました。 神聖ローマ帝国の「聖地」 フランクフルトは神聖ローマ帝国の聖地といってもよい場所です。 そもそもフランクフルトが歴史に現れるのは749年のフランク王国カール大帝の文書です。かつてローマ人がマイン川沿いに防衛拠点を築き、やがて大帝の宮廷が置かれます。 カ

      • イギリス旅)ブレナヴォン②産業革命を 支えた製鉄の跡

        ウェールズ南部の産業革命遺産の街、ブレナヴォンを訪れました。前回は炭鉱跡を巡りましたが、今回は製鉄所。イギリスの鉄道の時代を生み出した舞台装置を間近に見ることができました。 ダービー父子によるコークス製鉄法 産業革命の製鉄法の一つの革新は、燃料を木炭から石炭に変えたことです。木炭はかねて製鉄に使われていました。しかしあまりにも大量に消費せざるを得ないのでイギリスの森林は切り倒され、木炭は枯渇するという事態になりました。 ここで石炭を燃料として使うことを発明したのがダービ

        • イギリス旅)ブレナヴォン)ラピュタのモデルの産業革命遺産と炭鉱のカナリア

          英ウェールズ南部の町、ブレナヴォンを訪れました。ラピュタのモデルとなった廃炭鉱があり、危機を察知する比喩として使われる「炭鉱のカナリア」の存在を間近に感じることができました。 産業革命遺産の町、ブレナヴォン ブレナヴォンは、18~19世紀の産業革命を代表する史跡として、地域一帯が世界遺産として登録されている町です。かつては石炭を採掘する炭鉱と製鉄所で栄えました。 1980年の廃坑で町は活気を失いましたが、跡地には「ウェールズ国立石炭博物館」が開かれました。かつて使われた

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        • イギリス旅・世界史現場探訪
          11本
        • フランス旅・世界史現場探訪
          4本
        • ハンガリー旅・世界史現場探訪
          5本

        記事

          イギリス旅)ブリストル②鉄製吊り橋に鉄道に、産業革命が生んだ天才ブルネルを辿る

          イングランド西部の街、ブリストルを訪れました。19世紀の「イーロン・マスク」と呼ばれる起業家、ブルネルが生み出した鉄製吊り橋や鉄道といった足跡を辿ることができました。 現存する世界最古の鉄製吊り橋「クリフトン」 ブリストルの街のシンボルとなっているのが、現存する最古の鉄製吊り橋「クリフトン・サスペンションブリッジ」です。この吊り橋を設計したのは、またもやブルネルです。 橋の下にの深い谷底にはエイボン川が流れ、荒れた山肌が見える断崖絶壁となっています。 ここに鉄製の橋を

          イギリス旅)ブリストル②鉄製吊り橋に鉄道に、産業革命が生んだ天才ブルネルを辿る

          イギリス旅)ブリストル)19世紀の「イーロン・マスク」、ブルネルと産業革命

          イングランド西部の街、ブリストルを訪れました。19世紀の「イーロン・マスク」と呼ばれる起業家、イザムバード・キングダム・ブルネルと産業革命の足跡を存分に感じることができました。 19世紀の「イーロン・マスク」ことブルネル イザムバード・キングダム・ブルネルを知っている日本人は少ないかもしれません。実は英BBCが選んだ偉大なイギリス人100人のランキングで、ウィンストン・チャーチルに次いで2位にランクインしているのがブルネルです。 ブリストルのブルネル博物館では、館内の案

          イギリス旅)ブリストル)19世紀の「イーロン・マスク」、ブルネルと産業革命

          スロバキア旅)ブラチスラバ②)マリア・テレジアとナショナリズムとツーリズム

          先週に続いて、中欧のスロバキアの首都、プラチスラバを訪れています。ハプスブルク家下のハンガリーの重要な都として、さらにハンガリー・ドイツ・ユダヤ人の消滅という歴史もあります。揺れながらもナショナリズム・ツーリズムで統合を模索するスロバキアの姿に触れました。 ハンガリー王はブラチスラバの聖マルチン教会で戴冠 プラチスラバはハプスブルク家のオーストリア女王、マリア・テレジアが愛した街です。ハンガリーは16世紀前半、オーストリア大公だったハプスブルク家を国王として選びます。

          スロバキア旅)ブラチスラバ②)マリア・テレジアとナショナリズムとツーリズム

          スロバキア旅)ブラチスラバ)ナポレオンも鉄のカーテンも見たデヴィン城

          中欧のスロバキアの首都、プラチスラバを訪れました。ドナウ川沿いに建つ要衝デヴィン城は、交通の要衝。かつてはナポレオンに攻められ、さらに冷戦期には「鉄のカーテン」の最前線となりました。スロヴァキア・オーストリアの国境にあり、チェコ・ハンガリーも臨めるという、中欧の地政学の最前線に立つ城でした。 ハンガリーに対しての「スロヴァキア」 スロヴァキアは、日本人にとってはなかなかなじみのない国かもしれません。スロヴァキアは「スラブ人の地」という意味。ただスラブ人は中東欧一帯にいる民

          スロバキア旅)ブラチスラバ)ナポレオンも鉄のカーテンも見たデヴィン城

          イギリス旅)バース③寺院の扇形天井とローマ帝国の温泉インフラ

          イングランド西部の街、バースを訪れました。ため息が出るほど美しいバース寺院と、ローマ帝国の「温泉インフラ」力を実感しました。 抜けるような白さと光が美しいバース寺院 冒頭の写真はバース寺院です。これまでいくつもの寺院や大聖堂をヨーロッパで訪れましたが、その中でも一、二を争うほど美しいと感じました。内観の美しさに心が表れる気持ちとなりました。 秘密はやはりまず「バースストーン」でしょう。下記の記事でも紹介したバースストーンをふんだんに使い、建物がぬけるような白さと軽やかさ

          イギリス旅)バース③寺院の扇形天井とローマ帝国の温泉インフラ

          イギリス旅)バース②ローマ帝国が愛した温泉の街

          イングランド西部の街、バースを訪れました。バース(Bath・お風呂)の由来はローマ帝国が2世紀に温泉街を作ったことです。「浴場博物館」は、当時の様子が実際の遺跡をもとに再現され、その雰囲気に浸れる素敵な場所でした。 ローマ浴場博物館へ バースの目玉は、「ローマン・バス(ローマ浴場博物館)」です。実はバースの電車の駅も「バース・スパ」という名前です。日本でいうと「箱根湯本」駅や「加賀温泉」駅というようなイメージでしょうか。 表題の写真はローマン・バスのメイン浴場です。前回

          イギリス旅)バース②ローマ帝国が愛した温泉の街

          イギリス旅)バース)ジョージアン貴族が愛した蜂蜜色の街

          イングランド西部の街、バースを訪れました。街自体が世界遺産なのは世界でも珍しいです。実際に訪れると、それを納得するほど素敵な「蜂蜜色」の石でできた街並みでした。かつてはローマ帝国が愛し、近代にはジョージアン時代に上流階級の別荘地として親しまれました。 街全体が世界遺産に!秘密は「バースストーン」 街にいたバースの市民から「街全体が世界遺産になっているのは、イタリアのヴェネツィアとバースぐらい」との話を聞きました。それも納得です。表題の写真は奇跡的に虹がかかった街並みです。

          イギリス旅)バース)ジョージアン貴族が愛した蜂蜜色の街

          スペイン旅)グラナダ)イスラム文明との交差点と出会い

          スペイン南部、グラナダを訪れました。イベリア半島のイスラム勢力最後の拠点として名高いのアルハンブラ宮殿だけではなく、イスラム教とキリスト教の文明が交わる交差点として、色々な出会いがありました。 スロバキア人アーティストとの出会い アルハンブラ宮殿の外観の全景が見える、サンニコラス広場で出会ったのはスロバキア人アーティストのグレゴールさんです。冒頭の画像は、彼による宮殿のスケッチです。不思議な魅力を感じて買いました。 写真ではどうしても全景を捉えることができませんが、スケ

          スペイン旅)グラナダ)イスラム文明との交差点と出会い

          スペイン旅)グラナダ)難攻不落のアルハンブラ宮殿

          スペイン南部、グラナダのアルハンブラ宮殿を訪れました。イベリア半島のイスラム勢力最後の拠点として名高い場所です。キリスト教勢力のスペイン王国による「レコンキスタ(国土回復運動)」に抵抗を続けました。 実際に現場を訪れると、何重にもそびえる城壁と防御塔、水道橋が備えられて水の補給もばっちり。イスラム勢力の最後の抵抗にふさわしい難攻不落の要塞都市ということがわかりました。 イベリア半島小史 現在はスペインとポルトガルが支配しているイベリア半島。かつては古代ローマ下のヒスパニ

          スペイン旅)グラナダ)難攻不落のアルハンブラ宮殿

          イギリス旅④ロンドン)テンプル騎士団とガンジー、海賊、中央大学

          前回は十字軍運動で奪還したエルサレムの守り手としてテンプル騎士団が誕生しましたが、同地の陥落とともにフランス王の陰謀で解体に追い込まれた経緯をみました。 テンプル騎士団のイングランド本部は、その後は法律家養成機関となり、インド独立の父「ガンジー」、「海賊」、日本の「中央大学」を生み出すという色々なエピソードにあふれます。再び現場を訪れました。 法律家養成機関に、ガンジーを輩出 フランス王の謀略で解体されたテンプル騎士団の本部は、その後法律家養成機関として使われるようにな

          イギリス旅④ロンドン)テンプル騎士団とガンジー、海賊、中央大学

          イギリス旅③ロンドン)テンプル騎士団とマグナ・カルタ

          中東でのイスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が激化しています。12世紀にキリスト教の聖地エルサレムの奪還を目指した十字軍運動で創設された「テンプル騎士団」の拠点はロンドンのシティーにもあります。 イングランド国王の権利を制限する「マグナ・カルタ」の成立や、インド独立の英雄ガンジーを生み出す法律家養成機関としてなど、イギリス史の色々な局面にかかわることになります。現場を訪れました。 テンプル騎士団の創設とイングランド本部 11世紀後半の第1回十字軍では、キリスト教側は聖地

          イギリス旅③ロンドン)テンプル騎士団とマグナ・カルタ

          フランス旅)パリ)ラグビーW杯と革命の断頭台②

          前回はパリが古代ローマの軍事都市として成立した後、シテ島の「コンシェルジェリー」にフランスのカペー朝の王宮と高等法院が置かれ、行政と司法の中心地として栄えた歴史について書きました。 今回はいよいよ、フランス革命期にたくさんの処刑者を生み出した、負の歴史について書きたいと思います。 フランス革命時に「革命裁判所」に フランス革命とともに「コンシェルジュリー」のパリ高等法院は廃止されますが、裁判所と牢獄の機能は引き継がれました。1793年春、宮殿には政治犯を裁くための革命裁

          フランス旅)パリ)ラグビーW杯と革命の断頭台②